監督：マイク・ニューウェル・・・『フォー・ウェディング』『魅せられて四月』
脚本：シェラ・ディレイニーShelagh Delaney・・・『蜜の味』
撮影：ピーター・ハナン
音楽：リチャード・ハートレー
1954年、ロンドン。 ホステスとしてウェストエンドのクラブを任されていたルースは、店の客として来ていたアッパー･ミドル･クラスの道楽息子デイビッドと、出会ったその日に深い仲に。 デイビッドはふたりの子持ちで離婚調停中であるルースに結婚してくれと甘い言葉をささやく一方で、時に酒に溺れて暴力を振るうようになる。 ルースには自分を真剣に愛してくれる実直なデズモンドという崇拝者がいながらも、彼を男としてみることが出来ず、ますます愛憎半ばするデイビッドとの関係は深みにはまってゆく。 愛、嫉妬、裏切り、暴力・・・そして修羅の果てにルースが選んだ結末は？
1955年にイギリスで絞首刑を執行された最後の女性となったルース・エリス事件を映画化。映画のタイトルは、ルースの好きだったペギー･リーの歌"Would You Dance With A Stranger?"から。
1926年、北ウェールズの海辺の町Rhyl生まれ。
両親の家はロンドン南部ブリクストン近くHerne Hill Road,SE 24にあるため、後にルースは夫のジョージに「ブリクストン出身のあばずれ」と罵倒されることになる。ルースの父も酒に酔っては妻に暴力を振るっていた。ルースが映画の中でも時々めがねをかけている場面があるが、彼女は実際子供の頃から近視でめがねが必要だった。ただ、容姿を気にしてなるべくかけないようにしていたので、ニュースを映画館に見に行った時もめがねをかけていない。
最初は既婚のフランス系カナダ人と恋におちたことがあり、のちに子供を養うためにソーホーのカメラクラブでヌードモデルの仕事につく。映画の中でもモデル時代のことに触れられている場面がある。
ルースの前夫George Ellisはマンチェスター出身の飲んだくれで、ルースにもしばしば暴力を振るっていた。その後1958年に自殺している。
このルースエリス事件をモデルにした映画としては、他に『Yield to the Night』 (1956) がある。
imdb.com/Title?0049019
デイビッドは名門パブリックスクール(Shrewsbury School)出のアッパーミドルクラス。彼のカントリーハウスはPenn(Buckinghamshire)に、彼の実家はロンドン北部の高級住宅地ハムステッドにあった。
1929年6月17日、4人兄弟の末っ子としてシェフィールドに生まれる。
デビッドが5歳のとき、医師である父Dr. John Blakelyは女性殺害容疑で逮捕される（中絶手術中に急死したため)。
1940年に両親は離婚、母は1941年にHumphrey Wyndham Cook氏と再婚。Cook氏はイギリスで最も著名なレーシング･カー･ドライバーのひとりにして実業家だった。彼は義父のコネで、経営の研修生としてHyde Park Hotelで働くようになるが、1952年10月クビになってしまう。
1952年に義父であるCook氏が死んだことにより、7,000ポンドの遺産が入り、デイビッドは自分の道楽に潤沢な資金をつぎ込むことができた。ロンドン滞在中は28 Culross Streetの家に住んでおり、ルースと出会った一ヵ月後(1953年11月11日)にデイビッドはヨークシャーの資産家の娘Linda Dawsonと婚約し、ルースを嫉妬に狂わせる（シルバーストーンにレースを見に行ったとき、婚約者にキスされているのを発見）。 ルースは、婚約者を連れてクラブにやってきたデイビッドにかんしゃくを起こして騒ぎとなり、首になる。
ルースにはしばしば暴力を振るうようになり、彼の子を妊娠していたところを流産させたことも。
デズモンドはワーキング・クラス出身で、British Automobile Racing Associationのメンバーでもある。自動車のディーラーとして成功して資産を得る。
ルースの雇い主モリーことMorris Conleyは、ウェストエンドにいくつものナイト・クラブを持つやり手の経営者。ルースはConleyが経営するCarrollで常連客の人気を集め、後に同じく彼が経営するナイツブリッジの「リトル・クラブ」(27 Brompton Road)の支配人となり、常連客のみ二階で"特別の"サービスを提供していたらしい。
ルースたちがブライトンと思われる海岸リゾート地に遊びに行き、桟橋にあるゲームセンターで遊んでいる場面が。
デイビッドの実家に行って、階級の違いをまざまざと感じ取る。閑静なカントリーサイドにある邸宅で、ルースが車で待っている間、猟犬をつれて狩りに行く途中の人々が通る。
事件当時ルースは28歳、住まいはKnightsbridge(44 Egerton Gardens)
4月10日、日曜日午後9時、ハムステッドSouth Hill Parkにあるパブ「The Magdala Tavern」で友人のクライブと飲んでいたデイビッドが外に出てきたところに向けて5発（または6発）発砲。犯行に使われたのは38口径のスミス＆ウェッソンで、事件が起きる前にハムステッドや近くのEpping Forestで射撃練習をしていたという説もあるが定かではない。
ルース･エリス事件の公判は、1955年6月20日にロンドンの中央刑事裁判所(通称Old Bailey)で開かれる。それからわずか3週間後の1955年7月13日、Holloway Prisonで絞首刑が執行され、20世紀15人目にして最後の女性死刑囚となった。
フィンドレイター夫妻は1956年に離婚
ルースの元夫ジョージ・エリスは1958年に自殺している。
ルースの息子アンディも後に自殺している
カンヌ映画祭ヤング映画賞受賞
Miranda Richardson .... Ruth Ellis
Rupert Everett .... David Blakeley
Ian Holm .... Desmond Cussen (Ruthに好意を持つ)
Stratford Johns .... Moorie Conley ("Little Club"のオーナー)
Joanne Whalley .... Christine ("Little Club"のホステス)
Tom Chadbon .... Anthony Findlater (Davidの友人・通称トニー)
Jane Bertish .... Carole Findlater (Davidの友人・トニーの妻)
David Troughton .... Cliff Davis (レーシング・カー・ドライバー)
Matthew Carroll .... Andy (ルースの息子)
Nicholas McArdle .... カントリー･パブの主人
Colin Rix .... パブ 'Magdala'の主人
Paul Mooney .... Clive Gunnell (Magdalaで飲んでいたDavidの友人)
_Ruth Ellis: The Last to Hang_ by Thomas L. Jones
www.crimelibrary.com/classics2/ellis/
(1984年 イギリス 103分)
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