18世紀初頭のイギリス。姉夫婦の家に世話になっている孤児ピップは、偶然出会った脱獄囚に脅され、彼に食料を与え助けるという不思議な経験をしていた。
ある日近所に住む変わり者ミス・ハヴィシャムの屋敷に招かれ、養女のエステラというお高くとまった美少女に恋をしてしまう。やがて姉の夫ジョーの見習いとして鍛冶屋の修行を始めて20歳になった時、ピップのもとに驚くべき知らせが届く。匿名の資産家の好意により、彼が莫大な遺産の相続人になったと言うのだ。紳士としての教養を身に付けるためにロンドンに向かったピップを、数奇な運命が待ち受けていた・・・。
Charles Dickens(1812-1870)
イングランド南部ポーツマスに、海軍経理局の下級職員の子として生まれる。 家の経済状態が良くなかったため、12歳から町工場に働きに出る。 しかしそうした環境にも負けず独学を続け、15歳で弁護士事務所の下働きに、18歳で新聞記者になる。 1833年頃から短編を雑誌に発表するようになり、名声を博す。 ロンドンのウェストミンスター寺院に葬られた。
代表作に『オリバー・ツイスト』『クリスマス・キャロル』『二都物語』『デイヴィッド・コパーフィールド』などがある。『大いなる遺産』は1860-1年の著作。
原文テキスト:Bibliomania.com
ピップが少年時代を過ごしたテムズ河口の湿地帯にある田舎町は、ケント州のロチェスターにある。モデルとなったのはロチェスターのGad's Hill。ジョーの鍛冶場はChalk村の白い外壁の小屋、囚人マグウィッチが飛び掛かってきた教会墓地は、Higham村のSt. Mary's Churchにある。
- 参考:イギリス : ナショナル・ジオグラフィック海外旅行ガイド (p124に特集あり)
- Christopher Somerville (原著) 日経ナショナルジオグラフィック社 ; ISBN: 4931450040
- 『大いなる遺産』Great Expectations(1946)
- デイビッド・リーン監督の手による永遠の名作と称えられる作品。
ジョン・ミルズ(ピップ)、ヴァレリー・ホブソン(エステラ)、マーティタ・ハント(ミス・ハヴィシャム)、フィンレイ・カリー(マグウィッチ)- 『大いなる遺産』Great Expectations(1998) imdb
- 舞台を現代のフロリダとニューヨークに移したAlfonso Cuaron監督作品。
イーサン・ホーク(ピップ)、グイネス・パルトロウ(エステラ)、アン・バンクロフト(ミス・ハヴィシャム)、ロバート・デニーロ(マグウィッチ)- 『大いなる遺産』Great Expectations(1999)
- Julian Jarrold監督作品。 BBCが実力派キャストで丁寧に仕上げた見ごたえあるTV作品。
ヨアン・グリフィズ(ピップ)、ジャスティン・ワデル(エステラ)、シャーロット・ランプリング(ミス・ハヴィシャム)、バーナード・ヒル(マグウィッチ)
監督・脚本:David Lean
製作総指揮・脚本:Anthony Havelock-Allan
制作・撮影・脚本:Ronald Neame
原作:Charles Dickens
名匠デイビッド・リーンによるディケンズの小説の映画化。
囚人は教会の沼地でひとりで遊んでいたピップを脅し、何か食べるものと鎖を切るためのやすりを持ってくるように命令する。ピップが持ってきたのはブランデーとポークパイ。ポークパイは、パイ生地に挽肉を詰めて焼いた惣菜。
ピップが少年時代を過ごしたテムズ河口の湿地帯にある田舎町は、ケント州のロチェスターにある。モデルとなったのはロチェスターのGad's Hill。ジョーの鍛冶場はChalk村の白い外壁の小屋、囚人マグウィッチが飛び掛かってきた教会墓地は、Higham村のSt. Mary's Churchにある。
乗り合い馬車でやってきた終点は、ロンドンのセント・ポール寺院。(当時のロンドンはシティを中心としたロンドン東部が一番の繁華街。セント・ポールもこの地域にある。)
ジャガースの指示により、ピップはハーバート・ポケットという青年とフラットをシェア(共同生活)することになる。ピップが部屋に行くと、ハーバートは彼を歓迎しようとコヴェント・ガーデンで買った果物を抱えて帰ってきた。現在はアンティーク市で有名だが、当時のコヴェント・ガーデンは青物市場。(参考:『マイフェア・レディ』)
ピップを尋ねて田舎から人の良いジョーが上京してきた。今や紳士的マナーを身に付けたピップは、ハーバートの前で田舎者まるだしのジョーをもてなすのが恥ずかしい。ハーバートがコーヒーか紅茶を勧めても緊張して舞い上がるばかり。しまいには豪華なしつらえのティーセットの上に・・・!
ロンドンで初めてエステラに会う場面。ティールームに誘って、一緒に紅茶を飲む。
ジャガースの弁護士事務所から、公開処刑とそれを見物に集まる人々が見える。当時タイバーン刑場などで行われていた公開処刑見物は庶民の娯楽であり、普通でも1万人くらい、多い時で5-10万人もの観衆が詰め掛けたという。
Sir John Mills
1976年にナイトに叙される。クーラ・シェイカーのVo.クリスピアンの祖父。Valerie Hobson
当時の夫はこの作品の制作者Anthony Havelock-Allan。のちに1954年に政治家ジョン・プロヒューモと結婚して女優業を引退するが、1963年のプロヒューモ・スキャンダルにより、彼の政治生命は絶たれる。(参考:映画『スキャンダル』)
多くのイギリス映画に出演。他、ジェームズ・ホエール監督作品『フランケンシュタインの花嫁』エリザベス役など。Lord Bernard Miles
1969年にナイト叙爵されSirの称号を受け、1979年には一代貴族としてLordの称号を賜る。Jean Simmons
オリヴィエ版ハムレットのオフェーリアなど、数多くの作品で活躍。
米アカデミー賞2部門受賞:撮影賞(Guy Green)、美術賞(John Bryan、Wilfred Shingleton)
3部門ノミネート(作品賞、監督賞、脚色賞)(その他)1999年度英国映画協会によるベスト100作品:5位にランクイン
John Mills .... Pip
Anthony Wager .... Young Pip
Martita Hunt .... Miss Havisham(風変わりな資産家の老嬢)
Valerie Hobson .... Estella(Miss Havisham)/Molly(Mr Jaggersの家政婦)
Jean Simmons .... 少女時代のEstella
Bernard Miles .... Joe Gargery (Pipの姉の夫・鍛冶屋)
Freda Jackson .... Mrs. Joe (Pipの年の離れた姉・親代わり)
Eileen Erskine .... Biddy(Joeの後妻)
Hay Petrie .... Uncle Pumblechook (Pipの叔父)
Finlay Currie .... Magwitch(脱獄囚)
Alec Guinness .... Herbert Pocket(ロンドンでのPipの親友)
Francis L. Sullivan .... Mr Jaggers (弁護士)
Ivor Barnard .... Mr Wemmick(Mr Jaggersの秘書)
Torin Thatcher .... Bentley Drummle (エステラの求婚者)
DVD
大いなる遺産
ジョン・ミルズ DVD (2001/03/23) パイオニアLDC/東北
(1946年 イギリス 118分)
監督:Julian Jarrold
脚本:Tony Marchant
音楽:Peter Salem
衣装:Odile Dicks-Mireaux
原作:チャールズ・ディケンズ (Charles Dickens)BBCが実力派キャストで丁寧に仕上げた見ごたえあるTV作品。
[あらすじ・・・原作者ディケンズ・・・物語の舞台・・・その他の映像化作品]
BAFTA TV Award:衣装賞受賞(Odile Dicks-Mireaux)
エミー賞ノミネート
Royal Television Society賞、3部門受賞
Ioan Gruffudd .... Pip
Justine Waddell .... Estella
Charlotte Rampling .... Miss Havisham(風変わりな資産家の老嬢)
Bernard Hill .... Abel Magwitch(脱獄囚)Clive Russell .... Joe Gargery (Pipの姉の夫・鍛冶屋)
Lesley Sharp .... Mrs Joe (Pipの年の離れた姉・親代わり)Daniel Evans .... Herbert Pocket(ロンドンでのPipの親友)
David Horovitch .... Matthew Pocket(Herbertの父)
Sandra Voe .... Camilla Pocket
Selina Cadell .... Sarah PocketIan McDiarmid .... Jaggers (弁護士)
Laila Morse .... Molly (Mr Jaggersの家政婦)
Nicholas Woodeson .... Wemmick(Mr Jaggersの秘書)
James Hillier .... Bentley Drummle (エステラの求婚者)
Jo Cameron Brown .... Miss Skiffins
Emma Cunniffe .... Biddy(Joeの後妻に)
Tony Curran .... Orlick
Roland Manookian .... Pipの召使[子供時代]
Gabriel Thomson .... Young Pip
Gemma Gregory .... Young Estella
Laurence Dobiesz .... Young Herbert
Timothy Tranter .... Young Orlick
Laura Aikman .... Young Biddy (Pipの友達)
(俳優&女優データを載せていないキャストについて)
シャーロット・ランプリング:imdb.com
ヴィスコンティの『地獄に堕ちた勇者ども』、リリアーナ・カヴァーニの『愛の嵐』、『さらば美しき人』『蘭の女』『鳩の翼』等、国際的に活躍する大女優。バーナード・ヒル:imdb.com
『旅する女シャーリー・バレンタイン』『数に溺れて』『ザ・クリミナル』他、『ロード・オブ・ザ・リング二つの塔』にも出演予定ジャスティン・ワデル:imdb.com/www.justine-waddell.co.uk
TV版『テス』(共演:ジェイソン・フレミング)のタイトルロール他、映画『ドラキュリア』などダニエル・エヴァンズ:imdb.com
ウェールズ出身の実力派舞台俳優ゲイブリエル・トムソン(子供時代のピップ):imdb.com
ジュード・ロウ&ジョセフ・ファインズの映画『スターリングラード』のサーシャ少年役で観客の涙を誘った名子役イアン・マクダミド:imdb.com
ロンドンのアルメイダ劇場で芸術監督として活躍。俳優としてはスターウォーズシリーズ、『スリーピー・ホロウ』『恋の闇、愛の光』などに出演。
Soundtrack
Amazon.co.jp / Amazon.com(1)-(2)
(1999年 イギリス 190分)
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