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『ミス・ブロディの青春』 The Prime of Miss Jean Brodie (1969)

監督:Ronald Neame
原作戯曲:Jay Presson Allen
原作小説:Muriel Spark (murielspark.com)

Story

1932年9月、スコットランドの首都エディンバラ。伝統ある女子高に勤務するミス・ブロディは、自由奔放な教え方や派手な服装で校長を始めとする保守的な人々からは疎んじられていたが、生徒たちからは絶大な人気を博している型破りな教師。娘のように思う可愛い生徒たちを教え導くことを生きがいとし、"今が私の青春"と教師という職業に誇りを持っていた。

特に彼女を慕う4人の女生徒は課外時間にも彼女と行動をともにし、強い影響を受けてゆく。そんな彼女は同僚の男性達から見ても魅力的な存在で、妻帯者のテディ・ロイドや家柄のいいロウザーらは彼女にすっかり魅了されていた。彼女につれなくされたロイドは生徒のサンディを愛人にするが、どうしてもブロディを忘れられないロイドの態度に、サンディは深く傷つく。

事あるごとに校長はミス・ブロディを辞めさせようとその機会をうかがっていたが、ついに彼女の影響でスペイン内戦に参加しようとした女生徒が爆死し・・・

英国の女流作家ミリュエル・スパークの同名小説を、ジェイ・プレッソン・アレンが舞台劇に脚色したものを、ロナルド・ニームが映画化。主演のマギー・スミスはこの作品でオスカー女優となる。

Check!

スコットランドの首都エディンバラ

この作品の舞台は古都エディンバラ。世界遺産にも指定されている石畳が残る古い街並みが印象的な町。ミス・ブロディは生徒たちを連れてエディンバラ城(女王メアリーが赤子をヒモを付けた籠に入れて脱出させたエピソードなどを語る)や、グレイフライヤーズ教会(ここでスコットランド人が長老派に改宗した)に連れて行く場面が。

スコットランド人、中でもエディンバラっ子は誇り高く、ミス・ブロディも「あなたたちはヒューム(David Hume)とボズウェル(James Boswell)を生んだエディンバラ市民よ」と生徒たちに語りかける。

第一次大戦とフランドルの激戦

ミス・ブロディは第一次大戦末期に亡くなったヒューという名の恋人のことを話す場面がある。彼は休戦(1918年11月)の1ヶ月前に激戦地フランドル(現在のベルギー)で戦死したのだが、この地は多くのイギリス人が命を落とした場所として有名。

子沢山のカトリック

美術教師テディ・ロイドは妻帯者でありながら、ミス・ブロディに夢中で彼女を追い掛け回す。彼はカトリック信者で、そのためもあってか子供が6人もいる。一昔前のカトリックは避妊を禁じ、「生めよ増やせよ」を良しとしていたからだ。モンティ・パイソンのスケッチにも"子沢山のカトリック"をネタにしたものがあるほど。

クラモンドの城

ミス・ブロディに思いを寄せている音楽教師ロウザー先生は、城で生まれ育った名家の出。週末にはミス・ブロディとその生徒たちがクラモンド(エディンバラ郊外)にある彼の城に遊びに来る。四柱式のベッドや調度品にも注目。

由緒ある家柄の男性らしく、ロウザー先生は時々スコットランド人の正装であるキルトを身につけている。

ピクニック・バスケット

ミス・ブロディは取り巻きの女生徒たちを連れて、しばしばピクニックに出かけている。藤の籠の中には陶器の皿がセットされており、イギリスらしいピクニック風景が展開される。

ティータイム

メアリーがロイド先生の絵のモデルになったと聞いて、様子を聞くためにミス・ブロディはサンディを自宅に招く。 たっぷりのスコーンに銀のティーセットなど、lovelyなティータイムを過ごしている様子が伺える。

スペイン内戦

イタリアのムッソリーニを称え、スペインのフランコ将軍のために献金するミス・ブロディは親ファシスト的な思想を持った人物。その影響で、彼女を慕っていた女生徒メアリー・マグレガーは、オックスフォードからスペイン内戦に参加していた兄を追って、フランコ側に参戦するために出向いた矢先に爆死する。 実は彼女の兄はフランコ将軍と敵対する人民戦線側の支援をするためにスペインに赴いていたのだが。この時代、オックスフォードやケンブリッジの学生など、イギリスの知識層でファシスト政権に反対する者たちが、人民戦線側に参戦していた。

ロケ地

Donaldson's School for the Deaf, Henderson Row, Edinburgh

・・・ミス・ブロディが勤務する女子校として

The Edinburgh Academy
42 Henderson Row, Edinburgh, Scotland, EH3 5BL
www.edinburghacademy.org.uk

Barnbougle Castle, Dalmeny, Edinburgh

・・・Lowther先生のCramondにある屋敷として

地図(www.streetmap.co.uk)
www.geo.ed.ac.uk

Greyfriars Kirk, Edinburgh

Greyfriars Place, Candlemaker Row, Edinburgh EH1 2QE
www.greyfriars.org.uk

Edinburgh Castle, Edinburgh

Castle Hill,Edinburgh EH1 2NG
www.historic-scotland.gov.uk

The Vennel, Grassmarket, Edinburgh

Iver Heath, Buckinghamshire

 

Awards

米アカデミー賞:
主演女優賞受賞(マギー・スミス)、歌曲賞ノミネート

英アカデミー賞(BAFTA)
主演女優賞受賞(マギー・スミス)、助演女優賞受賞(シーリア・ジョンソン) 

米ゴールデン・グローブ賞:
歌曲賞受賞(ロッド・マッキューン)

キャスト

Maggie Smith .... Jean Brodie(歴史教師)
Robert Stephens .... Teddy Lloyd (美術教師・妻帯者)
Gordon Jackson .... Gordon Lowther(音楽教師)
Celia Johnson .... Miss Mackay(校長)

[ミス・ブロディの取巻きたち]
Pamela Franklin .... Sandy(眼鏡をかけた生徒・後にTeddyの愛人に)
Diane Grayson .... Jenny (赤毛の美しい女生徒)
Jane Carr .... Mary Macgregor (吃音気味の転校生・資産家の孤児)
Shirley Steedman .... Monica ()

Lavinia Lang .... Emily Carstairs (転校生)
Antoinette Biggerstaff .... Helen McPhee
Margo Cunningham .... Miss Campbell
Isla Cameron .... Miss McKenzie
Rona Anderson .... Miss Lockhart(化学の先生)
Ann Way .... Miss Gaunt (校長の秘書)
Molly Weir .... Miss Alison Kerr
Helena Gloag .... Miss Kerr
John Dunbar .... Mr. Burrage
Heather Seymour .... Clara
Lesley Paterson .... Prefect (as Leslie Patterson)

美術教師テディ・ロイドを演じたSirロバート・スティーブンスはこの映画撮影当時マギー・スミスの夫(1974年離婚)。二人の間にはトビー・スティーブンスとクリス・ラーキンが生まれる。

参考資料とソフト

imdb.com/title/tt0064840

輸入版VHS(字幕なし)

 

(1969年 イギリス 116分)


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