監督・脚本:Pat Murphy 共同脚本:Gerard Stembridge 原作:Brenda Maddox『ノーラ―ジェイムズ・ジョイスの妻となった女』 ダブリンにあるジョイスの像>> |
20世紀初頭のダブリン。アイルランド西部の町ゴールウェイから首都ダブリンにやってきた娘ノーラは、ジェイムズ・ジョイスという青年にデートに誘われ、まもなく若いふたりは情熱的な恋に落ちる。 やがてふたりは自由に生きるために、故国を離れイタリアへ渡る。 ノーラはジョイスのミューズとして彼の創作活動に影響を与えるが、ふたりの子供を抱えた外国暮らしは決して楽なものではなかった。 のちにジェイムズは弟のスタニーを呼び寄せるが、執筆活動に行き詰まりを感じると彼は酒びたりになり、また妻へのあらぬ疑いから嫉妬に苦しんでゆく・・・
『ユリシーズ』『ダブリンの市民』等の作品で知られるアイルランドの文豪ジェイムズ・ジョイス。彼とその妻ノーラ・バーナクルの出会いから『ダブリンの市民』出版前までを、故国アイルランドへの愛着と憎悪や若いふたりの相克をからめて、ノーラの視点から描く。ユアン・マクレガーがアイルランドの文豪ジェイムズ・ジョイスを演じて話題に。
ジェイムズ・ジョイス
James Augustine Aloysius Joyce(1882 - 1941)
20世紀を代表する作家のひとりと称えられる。1882年2月、ダブリン郊外に収税吏の子として生まれる。イエズス会の寄宿学校で厳格なカトリック教育を受け、ユニヴァーシティ・カレッジで学ぶ。
ノーラ・バーナクル
Nora Barnacle (1884-1951)
ゴールウェイに生まれる。 両親の不和から、少女時代は祖母の元に預けられたり、修道院に入れられたりしていた。暴力をもって激しくノーラを叱責していたのは母方のおじTom Healy(ノーラに"父親でもないくせに!"といわれていた)。 ノーラをかばっていた青年Michael Bodkinは、のちに『ダブリンの市民』"The Dead"に登場人物のモデルの一人となった。 ノーラはプロテスタントの青年と交際を始めたことで母やおじの怒りを買い、単身ダブリンに上京し、ホテルのメイドとして働き始める。
ノーラとその家族は、1896年にゴールウェイの中心部Bowling Greenに移り住み、現在その家は「The Nora Barnacle House Musuem」として一般公開されている。
Bowling Green
トリエステでノーラたちは「セント・パトリックス・デイ」を祝う。 これは3/17にアイルランドの守護聖人セント・パトリックを祝うもので、アイルランドや外国に移住したアイルランド系移民の一大イベント。 ケーキの上面にはアイルランドを象徴するハープの絵、側面にはシャムロック(三つ葉、アイルランドの国花)の模様がついている。
この映画に登場するのは、1904年のノーラとジョイスの出会いから、1912年の『ダブリンの市民』出版直前まで。
1902 | ジェイムズ、University College(86 St. Stephen's Green)を卒業し、家族のもとを離れパリに渡る |
1903 | 8月、ジェームズの母亡くなる。 死の床で跪いて祈ることを拒む |
1904 | 6月、Finn's HotelでメイドをしていたノーラとNassau streetで出会う 8月、ジェイムズのコンサートにノラがやってくる 10月、ジェイムズとノラはイタリア・トリエステに渡り、ジェイムズはベルリッツで英語教師の職に就く。(1915年までトリエステ滞在) |
1905 | 7月、ノーラ、未婚の母のまま長男ジョルジオを出産 |
1907 | 詩集『室内楽』出版 7月、ノーラ、長女ルチアを出産 |
1909 | ノーラをトリエステに残し、4ヶ月間ダブリンに滞在。ダブリン最初の映画館創立にかかわる。この時ジェイムズは悪友たちにノーラに関する悪い噂を吹き込まれる。 ノーラは誤解を解くべく手紙を書き送り、ジェイムズと官能的なやりとりをする。 |
1911 | ジェイムズ、画家のPreziosoとノーラの仲を疑う |
1912 | ジェイムズとノラ、一時帰国。ノーラは子供たちを連れてゴールウェイへ。 ジェイムズ、『ダブリンの市民』をめぐってダブリンの出版社のGeorge Robertsと衝突。 生涯二度とダブリンに戻らなかった。 |
1914 | 短編集『ダブリンの市民』、ロンドンで出版 |
1916 | 自伝的長編『若い芸術家の肖像』 |
1918 | 第一次大戦勃発。中立国スイスのチューリッヒに移る。経済的に困窮し、また眼病が悪化する。 |
1920 | パリに移住、以降20年間とどまる |
1922 | 長編『ユリシーズ』出版 |
1931 | 7月、ノーラと正式に結婚。ジェイムズの父死亡。 |
1939 | 『フィネガンズ・ウェーク』完成 (1923年より執筆) |
1941 | ジェイムズ没 |
アイルランド:ダブリン、ゴールウェイ
Cherbourg-Octeville Festival of Irish & British Film:最優秀女優賞受賞(スーザン・リンチ)
IFTA Awards:最優秀女優賞受賞(スーザン・リンチ)
Ewan McGregor .... James Joyce
Susan Lynch .... Nora BarnaclePeter McDonald .... Stanislaus Joyce (Jamesの弟)
Aedin Moloney .... Eva Joyce (Jamesの妹)
Roberto Citran .... Roberto Prezioso(トリエステの画家)
Darragh Kelly .... Cosgrave (Jamesの悪友)
Alan Devine .... Gogarty (Jamesの悪友)
Veronica Duffy .... Annie Barnacle(ノーラの母)
Vinnie McCabe .... Tom Healy(ノーラの母方のおじ)
Andrew Scott .... Michael Bodkin(Galway時代のノーラの崇拝者)
Monica Scattini .... Amalia Globocnik
Adrian McCourt .... Eyers (トリエステの友人)
Ignazio Oliva .... Alessandro Francini(トリエステの友人)
Stefania Montorsi .... Clothilde Francini Bruni
Eamonn Hunt .... George Roberts (ダブリンの出版社)
Pauline McLynn .... Miss Kennedy
Neili Conroy .... ホテルのメイド
James Joyce Centre, Dublin
http://www.jamesjoyce.ie/IQ Infinity: the unknown James Joyce
The Nora Barnacle House Musuem
『ノーラ―ジェイムズ・ジョイスの妻となった女』 Nora: a Biography of Nora Joyce
Brenda Maddox (著), 丹治 愛 (翻訳)集英社文庫 ISBN: 4087603784 (2001/06/01)
(2000年 アイルランド=英=伊=独 107分)
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