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タイトル*わ


『若草の祈り』The Railway Children (1970)

監督・脚本:Lionel Jeffries
原作:Edith Nesbit (小説)

Story

20世紀初頭のエドワード朝ロンドン。幸せで裕福な一家の暮らしは、クリスマスの夜に父親が突然ふたりの男に連行されたことにより暗転した。メイドたちには暇を出し、残された3人の子供は母親とともにヨークシャーの片田舎に引っ越す。

カントリーサイドの生活で、子供たちはしだいに近くを通る蒸気機関車に魅せられていく。それはあのクリスマスの夜に父からもらったSLの玩具の幸せな記憶に通じる想いだった。オークワース駅の駅長代理パークス氏や、乗客の優しい老紳士との心のふれあい・・・子供たちの周りの人々はいつもさりげなく彼らを温かく気遣ってくれる。

ヨークシャーの自然と心のふれあいを叙情豊かに描いた名作。

1999年度英国映画協会によるベスト100作品:66位にランクイン

Check!

□子供たちが暮すヨークシャーにある3本煙突の家

古めかしい食器棚にはブルー&ホワイトの美しい食器が飾られていた。庭には薔薇が咲き乱れ、時折母が籠を片手に摘んでいる。野原には黄色いきんぽうげの花。

Oakworth

真っ赤なゼラニウムの大きな鉢植えがいくつも飾られ、駅名は地面に大きく書かれている。蒸気機関車なので、燃料用の石炭が積まれている。スコットランドとロンドンを結ぶ列車が通る。

列車が通る時間になると、駅長代理のパークス氏は木柵をあけ、レールを切り替え、到着した列車のドアを開けて乗客を降ろす。

□優しい老紳士

スコットランド行き急行列車の常連客の紳士は、母親の病気を見舞って大きなハンパー(かご)に花束や食料などを詰めて贈ってくれた。彼はいつも一等列車にゆったりと席をとって、子供たちの挨拶に笑顔で手を振ってくれる。

□母の教養

駅で行き倒れになっていたロシア人は英語が話せなかったので、3きょうだいの母が流暢なフランス語で事情を聞いた。子供たちもある程度のフランス語は操れる様子。学校へは行かず、勉強は母親が教えていた。

伯母のエマも教養人だったようで、ガヴァネス(家庭教師)としてインドへ赴いた。

 

ロケ地

□ハワース(ヨークシャー)

メインストリートは、子供たちがパークス氏への贈り物を集める場面に使われている。

Bronte Parsonage Museum(かつてブロンテ一家が暮していた)は、フォレスト先生の家に、ツーリスト・インフォメーションの建物は肉屋として使われている。

The Keighley & Worth Valley Railway, West Yorkshire

WebSite

この鉄道が使われた作品:『ヤンクス』(1979)、『フェアリーテイル』

他の主な保存鉄道について調べるなら、こちらのサイトをおすすめ。
UK Heritage Railways

 

キャスト

Jenny Agutter .... Bobbie(長女ロバータ)
Sally Thomsett .... Phyllis(次女)
Gary Warren .... Peter(末っ子)
Dinah Sheridan .... 3姉弟の母
Iain Cuthbertson .... 3姉弟の父
Bernard Cribbins .... Albert Perks (Railway Porter)
Debbie Davis .... ネル(パークス夫人)
William Mervyn .... 老紳士
Brenda Cowling .... Mrs Hilda Viney (手伝いに来てくれる隣人)
Peter Bromilow .... フォレスト先生(医師)
Gordon Whiting .... ロシア人作家シェパンスキー
Christopher Witty .... Jim (老紳士の孫)
Ann Lancaster .... Ruth(意地悪なメイド)
Beatrix Mackey .... Emma伯母さん

参考資料とソフト

(1970年 イギリス 102分)


102102 Dalmatians (2000)

監督:Kevin Lima
原案・脚本:Kristen Buckley & Brian Regan
原作:Dodie Smith _The One Hundred and One Dalmatians_
衣装:アンソニー・パウエル

Story

前作『101』で小犬誘拐したことで服役していた邪悪な毛皮マニアのクルエラは、3年後パブロフ博士の心理療法によりすっかり"愛犬家"に変身していた!仮釈放されたクルエラは動物愛護団体に寄付するなどして、一躍マスコミの寵児に祭り上げられていたが、そうは問屋が卸さない。ビッグ・ベンの鐘の音とともにむくむくと彼女の本性が目覚め、ダルメシアンの小犬たちに再び魔の手が・・・!

前作で誘拐された犬から生まれた子犬でぶちのないダルメシアン犬"オッドちゃん"とその飼い主クロエ、そして捨て犬保護センターの心優しき青年ケヴィンと彼が飼っているオウムが大活躍。

 

Check!

□国会議事堂とウェストミンスター・ブリッジ

クロエの事務所はビッグ・ベンの向かいにあるという設定。窓から時計の文字盤が良く見える。
国会議事堂からビッグ・ベン、ウェストミンスター・ブリッジまで、ダルメシアン模様に染め上げられてしまうシーンは壮観。

□"bird"

"bird"というのはスラングで「女」とか、もっとくずして「ネェちゃん」といった意味。オウムのワドルワースがクロエを見て「nice bird!」なんていうのだからたまらない。

□パンチとジュディ(Punch and Judy)

ケヴィンとクロエがそれぞれのペットを連れて遊びに行った公園(リージェント・パーク)の見世物小屋でやっていたのは、「パンチとジュディ」という、イギリス伝統の人形劇。1660年にイタリアから持ち込まれたという説もある。パンチという男とその妻ジュディを主人公にした劇で、よくパンチがジュディを殴って観客を笑わせたりする。

パンチとジュディを歌ったマザーグースもある。

Punch and Judy fought for a pie;
Punch gave Judy a knock in the eye.
Says Punch to Judy, Will you have any more?
Says Judy to Punch, My eye is sore.

(参考:『マザー・グース』谷川俊太郎・訳/平野敬一・監修/講談社)

□疑いを知らない青年ケヴィン

捨て犬シェルター"Second Chance"を経営するケヴィンは、子供の心のまま大人になったような純粋な青年。買い物をしてお釣を数えないなんてイギリスでは考えられないことだ(イギリス人はよくお釣を間違える)。クロエと"Tony's Restaurant"に出かけた時、パスタソースを口の周りにつけて拭いてもらったり、終始半ズボンをはいたりしている姿がとってもラブリー。演じているのは本国でBBCのドラマ「ホーンブロワー」シリーズで大人気のウェールズ人俳優ヨアン・グリフィズ

□クルエラの屋敷

クルエラは先祖の肖像画が飾ってあったりする趣ある豪邸に住んでいる。執事のアロンゾは典型的な執事の制服に身を包んできめているがドジばかり。パーティーのドレスなどクルエラの衣装の豪華さには目をみはる。

□オリエント・エクスプレス

クルエラたちが乗ったオリエント・エクスプレスは、クラシカルな蒸気機関車が牽引している。駅から出る場面は"Flying Scotsman"という愛称で知られるかつてロンドン−エディンバラ間を走っていた蒸気機関車。

Orient-Express Trains & Cruises

□その他

パンフレットや公式リリースなどで「ロンドン塔の鐘の音」とあるのは「ビッグ・ベンの鐘の音」の誤り。またケヴィンを演じている俳優の名は「イオン・グラファド」でなく「ヨアン・グリフィズ」と発音する。

オウムの声の出演をしているのは、元モンティ・パイソンのエリック・アイドル。彼の冴え渡ったしゃべりっぷりを堪能するために、ぜひぜひ吹き替えでなく字幕版でご覧ください!ジェラール・ドパルデューのヘンなフランス人ぶりも笑える。

(私見ですが、もしこの作品をイギリスで制作していたら"ブチのない可哀想なオッドちゃんが周りと同化できてハッピー♪"とせず、ブチがないことををそのまま個性と受け止めてくれたような気がする・・・)

 

ロケ地

キャスト

Glenn Close .... Cruella De Vil(毛皮マニア)
Gerard Depardieu .... Jean-Pierre Le Pelt (フランスの毛皮デザイナー)
Tim McInnerny .... Alonso(クルエラの執事)

Ioan Gruffudd .... Kevin Sheperd (捨て犬シェルター所長)
Eric Idle .... Waddlesworth (オウム)声の出演
Ben Crompton .... Ewan (Kevinの助手)

Alice Evans .... Chloe Simon(クルエラの保護観察官・ダルメシアン犬の飼い主)
Carol MacReady .... Agnes (Chloeの同僚or秘書?)

Ian Richardson .... Mr Torte
Jim Carter .... Detective Armstrong(Kevinを逮捕しに来た警官)
Ron Cook .... Mr Button
Timothy West .... Judge
David Horovitch .... Doctor Pavlov
Tony Robinson .... クルエラの仲間

Tony Robinsonは「ブラック・アダー」シリーズの奇人ボールドリック役で知られる個性派俳優。

参考資料とソフト

オフィシャルサイト(USUK日本)

国内盤DVD

Video
Soundtrack
(1)_(2)

(2000年 アメリカ 102分)


『ワンダとダイヤと優しい奴ら』A Fish called Wanda(1988)

監督:チャールズ・クライトン Charles Crichton
製作:Michael Shamberg
脚本:ジョン・クリーズ/チャールズ・クライトン
撮影:アラン・ヒューム
音楽:ジョン・デュプレ

Story

ロンドンの宝石店を襲撃してまんまとダイヤを手にした四人組、イギリス人のジョージとケン、そしてアメリカ人のオットーとワンダ。 首領のジョージの愛人でありながら、仲間に引き入れた新恋人オットーとひそかに通じていたワンダは、ふたりで結託してダイヤを奪ってやろうとジョージを警察に密告する。 ところがジョージのほうが一枚上手で、捕まる前にお宝をどこかに隠してしまった! ワンダは、ダイヤのありかを知る唯一の手がかりを握るジョージの顧問弁護士アーチーに色仕掛けで近寄ろうとするのだが・・・?

イギリスの笑劇集団モンティ・パイソンの元メンバーたちが繰出すブラック・ユーモアと、アメリカ人のパワフル・ギャグの織りなすcross-cultural コメディ。

冒頭にいきなり大写しになるタワー・ブリッジからはじまり、登場人物たちがロンドン中を駈け回る。

 

Check!

□ハットン・ガーデンの宝石店

四人が襲撃するロンドンの宝石店のある界隈は「ハットン・ガーデン」と呼ばれる世界有数の宝石商の集まる地区で、ユダヤ人街としても有名。(地下鉄Central LineのChancery Lane駅からすぐ)

□アッパーミドルクラスのアーチー

弁護士アーチーの家庭が「いかにも」アッパー・ミドルクラスといった様子で笑える。妻は庭の芝生にガーデン・チェアを出して「Country Life」(題名の通り、英国人の憧れる田園生活に関する記事とカラー写真が盛りだくさんの週刊誌。比較的上流階級が好むとか)のページをめくり、娘は乗馬をたしなむ。屋根裏にはクラシカルでお値段も張りそうないい木馬が置いてある。

アーチーが泥棒が入ったように見せかける細工をしていた時に使った袋はHarrodsのもの。アーチーはあまり妻に愛されていないようで、妻が娘とオペラに出かけた夜の食事は冷蔵庫に入ったミート・パイとセロリとリンゴだけ。

妻の父は英国情報部に勤務していたというが、情報部はエリート中のエリート、家柄のいい学歴の高い者が集まる場所。彼女の家柄の良さを匂わせる設定。 また、アーチー自信もオックスフォードを出た(拳闘部に籍を置いていた)ばりばりの法廷弁護士で、事務所がリンカーンズ・イン・フィールズにあるということからも、彼が超一流の弁護士であることがわかる。

娘に「ポーシャ」と名づけるところも、弁護士らしい。
*ポーシャとはシェイクスピアの『ベニスの商人』で弁護士に扮して活躍した女性の名。

□イギリス人とアメリカ人

イギリス人(アーチー、ケン、ジョージ)とアメリカ人(ワンダとオットー)の対比がまた面白い。特にワンダをめぐる恋のライバルであるアーチーとオットーのかけあいが見物。アメリカ人にとってベトナム戦争は敗北ではなくあくまで「引き分け」らしい。

□フィッシュ&チップス

「イギリス人の食文化に果たした最大の貢献は、チップスを魚と一緒に食べるのを発明したこと」??(そう言いながら、チップスにケチャップをつけて食べるオットー。英国人なら塩と酢で食べる。) 吃音で動物を愛するケンがペットの復讐のために立ち上がる・・・!原題の「A Fish called Wanda(ワンダという魚)」というフレーズはこのあたりで活きてくる。一般的な「The End」のかわりに「Fin(Finaleの略)」という言葉を最後に持ってきたのも、「終わり」と「魚のひれ」のかけことば。

 

ロケ地

Awards

英アカデミー賞:主演男優賞受賞(ジョン・クリーズ)、助演男優賞受賞(マイケル・ペイリン)
米アカデミー賞:助演男優賞受賞(ケヴィン・クライン)、監督賞&脚本賞ノミネート

1999年度英国映画協会によるベスト100作品:39位にランクイン

キャスト

[強盗団の一味]
Jamie Lee Curtis .... Wanda Gershwitz (米国人・ジョージの愛人だったが…?)
Kevin Kline .... Otto West (米国人・おばかなサイコ男)
Michael Palin .... Ken (動物を愛する吃音気味の男)
Tom Georgeson .... George (ボス)

[アーチーとその家族]
John Cleese .... Archibald 'Archie' Leech (法廷弁護士)
Maria Aitken .... Wendy(妻)
Cynthia Cleese (Cynthia Caylor) .... Portia Leech(娘)

[その他]
Patricia Hayes .... Mrs Coady(目撃者の老婆)
Geoffrey Palmer .... 裁判長
Stephen Fry .... 空港でオットーに搭乗券を奪われる旅行者

ジョン・クリーズは実の娘と役の上でも親子共演(ポーシャ役Cynthia CaylorまたはCynthia Cleese)

参考資料とソフト

Screenplay

(1988年 アメリカ 108分)


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