タイトル*
監督:Dennie Gordon
原作戯曲:William Douglas-Home (play The Reluctant Debutante)
脚本:Jenny Bicks/Elizabeth Chandler
米国ニューヨークのチャイナ・タウンで育った17歳のダフネはママのリビーと二人暮し。シングルマザーとして立派に育て上げてくれたママのおかげで寂しい思いをすることはなかったが、時折自分が生まれる前に別れてしまったという父親にひと目逢いたいという気持ちを抑えることができない。ボヘミアン的な旅暮らしをしていた歌手のママは、旅先のモロッコで出会ったヘンリー・ダッシュウッドという青年と熱烈な恋をして彼の母国であるイギリスに行ったのだが、伝統的な英国貴族であるヘンリーの実家は二人の結婚を快く思わず、リビーはヘンリーに妊娠を知らせないままアメリカに帰ったのだった。
別れから17年、政治家として国会議員に立候補しようとしていたヘンリーのところにひょっこりダフネが現れる。ヘンリーは数週間後に結婚を控えており、やり手の婚約者とその連れ子がダッシュウッド家に居座っていた。伝統的なイギリスの上流社会に飛び込んできたヤンキー娘の出現に貴族たちは大混乱、マスコミも大騒ぎ。ロンドンに到着したてのダフネに親切にしてくれたミュージシャンのイアンともいい雰囲気になり、父のヘンリーとも心を通わせて行くが・・・
イギリスの議会は日本と同じく上院・下院の二院制をとっているが、上院は世襲貴族・一代貴族・司教等から構成され、下院は選挙によって選出される。貴族であるヘンリーは選挙で選出されなくても上院議員となれる資格を持っているのだが、あえてその議席を返上し下院議員の選挙に立候補することになった。
アメリカ娘のダフネは、イアンが電話のことを「Dog & bone」と言ったり、トイレのことを「ルー(loo)」と呼ぶのを聞いて意味がわからず戸惑う。「Dog & bone」はCockney Rhymingといわれるロンドンの下町言葉の一種で「Phone」のこと。また、「ルー(loo)」はロンドンに限定されないが、トイレの意味でイギリスでごく一般的に使われる言葉で、アメリカ英語にはない表現。
おばあさまとの対面に感激したダフネは思わず抱擁(hug)しようとするが、祖母のジョスリンは「ハグはやめて、イギリス人が愛情(affection)を示すのは犬と馬だけよ」と言う。アメリカ人のダフネは構わずハグしてしまうのだが。イギリス人はアメリカ人に比べると一般的にシャイな人が多く、特に上流階級は感情を抑制する傾向が強い。
シャーロット王女は愛犬がダフネに懐くのを見てごきげん。ヘンリーに、ダフネが"シーズン"中はこちらにいるのかどうか尋ねる。上流階級がいう"シーズン"とは夏季の「社交期間」のこと。普段はカントリーサイドの邸宅に住まう貴族たちも社交シーズンになるとロンドンに出てきて、アスコット競馬やヘンリー・レガッタなどの行事やロンドンのタウンハウスで催されるパーティーなどに顔を出す。
正式には「ヘンリー・ロイヤル・レガッタ」という世界的に有名なボート・レース。上流階級の社交シーズンのハイライトのひとつとしても知られ、ロイヤル・ファミリーも来臨する。
テムズ川上流ヘンリー・オン・テムズで行われる歴史あるボートレースで、第一回のレースは1839年に開催された。
http://www.hrr.co.uk/
オーウッド卿の双子の娘の名前は、なんとピーチ(桃)とペア(洋梨)。彼女たちの母親は果物や野菜に執着してそんな奇妙な名前をつけたらしく、他に「パースニップ」という名前の姉(妹)もいるらしい。「パースニップ」はイギリスでは一般的な白いニンジンのような形をした野菜で、ローストしたりゆでたりして食べる。ほのかな甘みがあって美味しい。女の子の名前としてはあまりにも不適切だが。
ダフネの父は由緒ある貴族ダッシュウッド卿。この作品のロケ地となったWest Wycombe Parkは現在実際にSir Edward Dashwood一家が住んでいることからこのような名前になったようだ。
コリン・ファースは『高慢と偏見』の大ヒットで"英国女性の心の恋人"となったのだが、この『高慢と偏見』の原作者ジェイン・オースティンによる『Sense and Sensiblity(『いつか晴れた日に』のタイトルで映画化)』の主人公一家も「ダッシュウッド」という姓で、ジェイン・オースティンつながりを連想させる。ヘンリーがダフネにご先祖の肖像画を見せる場面で、先祖の一人に「ビングリー・ダッシュウッド」という人物がいるが、「ビングリー」も『高慢と偏見』に登場する名。また、DVDの未公開シーンの映像でヘンリーの故郷は「ウィッカム」だと言う場面があるが、これは撮影に使用されたWest Wycombe ParkがHigh Wycombe(ハイ・ウィッカム)という町にあるからだろうが、『高慢と偏見』の登場人物「ウィッカム」も連想させられる。
ちなみにグリニス役のアナ・チャンセラーはジェイン・オースティンの遠縁にあたるとか。
DVDのコメンタリー音声でも詳しく解説されているが、ニューヨークのチャイナタウンもニュージャージーの結婚式の場面も全てイギリスで撮影されている。
ダッシュウッド家の館として。
ダフネとイアンが二人でボートに乗る場面の池もこの屋敷の一部。
この屋敷はナショナル・トラストの管理下にあり一般公開されているが、実際にSir Edward Dashwood一家が住んでいる。
NYのチャイナタウンとして
・・・ダフネがイアンに出会ったユースホステルとして。
『ブリジット』ではここが広いんのフラットという設定。
(英国犯罪史上有名な大列車強盗が計画された場所としても知られる。)
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・・・イアンが公衆電話からダッシュウッド家に電話をしていた場面
http://www.cuttysark.org.uk/
Painted Hallがロイヤル・ドレス・ショウの会場として、チャペルはヘンリーが下院立候補を辞退するスピーチをした場面で使用された
Painted Hall |
Royal Naval College |
・・・アマンダのお披露目の舞踏会の場面
・・・ピーチとペアのお披露目舞踏会の場面。
ロスチャイルド家の邸宅で、映画『理想の結婚』にも登場
http://www.raf.mod.uk/rafhalton/
・・・ヘンリーがアリステアと入っていくクラブ
107 Pall Mall, SW1
・・・ヘンリー・レガッタの場面
Amanda Bynes .... Daphne Reynolds
Kelly Preston .... Libby Reynolds (Daphneの母)Colin Firth .... Lord Henry Dashwood(Daphneの父・英国貴族)
Eileen Atkins .... Jocelyn Dashwood(Henryの母)Anna Chancellor .... Glynnis Payne(Henryの婚約者)
Jonathan Pryce .... Alistair Payne(Glynnisの父)
Christina Cole .... Clarissa Payne(Glynnisの娘)Oliver James .... Ian Wallace(Daphneのボーイフレンド)
Ben Scholfield .... Armistead Stuart(Clarissaのボーイフレンド)
James Greene .... Percy (Dashwood家の執事)Roger Ashton-Griffiths .... Lord Orwood
Cassie Powney .... Peach Orwood
Connie Powney .... Pear OrwoodSylvia Syms .... Princess Charlotte
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