ホテルを出てアンブルサイドにあるレストランへ。平日だったが次々に予約客が到着して気が付いたら満席に。
ここは昔郵便局だった建物で、2014年にレストランとしてオープン。かの桂冠詩人ウィリアム・ワーズワースは1813年に第二代ロンズデール伯爵ウィリアム・ラウザーより印紙販売官に任じられここで勤務していた。
店は半地下になっている |
ワーズワースが働いていたことを示すプレート |
テイスティングメニュー(デギュスタシオン)の他にアラカルトでも注文できる。ウェブサイトに掲載されているのはサンプルメニューのみで、実際の料理は季節やその時々に入荷する食材によって変わる。湖水地方やその周辺の食材にこだわった料理が特徴。
我々は前菜と主菜を一つずつアラカルトで注文。
まずはホゲット(一般に生後12〜24か月程度の羊、ラムとマトンの中間)のブロス(スープ)が供される。
続いてさっくりとしたテクスチャーのブラックプディング入コロッケと、スモークトマカレル(鯖の燻製)とビーツのスナック。どちらも食欲を刺激する味でこれからの料理に期待が膨らむ。
地元の材料を使っているというパンもまた美味。皮はカリッとサクサクで中身はしっとり。添えられたバターも上質。
ブラックプディング入コロッケ |
スモークトマカレル(鯖の燻製)とビーツのスナック |
さて、わくわくするような料理の登場
●夫の前菜:帆立貝柱のローストRoasted Scallop 14.50ポンド
Pork belly - pumpkin puree, seeds and pickle - Parmesan
ローストした帆立の貝柱2個に豚バラ肉、カボチャ(ピュレ・種・ピクルス)の組合せ。パルメザンチーズもアクセント
●私の前菜:Cured trout 10.00ポンド
Potted shrimps - cauliflower - spiced mead veloute
ミキュイ(半生)に仕上げたトラウト(鱒)を主体に、揚げた鱒の皮、海老、カリフラワーのピュレで彩っている。蜂蜜酒(ミード)を加えたヴルーテ(ソース)をつけて頂くと美味しい。
●夫の主菜:Cartmel vallery mallard duck 22.00ポンド
Parsnip - endive - hen of the wood - red wine sauce
湖水地方南部カートメルバレー産 真鴨のロースト(胸・脚)で、良い感じの火入れ。パースニップ(甘みのある根菜)のロースト、舞茸、イチジクのスライスなどの付け合わせで赤ワインソース。
●私の主菜:Yew tree Farm Herdwick hogget 28.00ポンド
Girolles - Roscoff onion - artichoke
ユーツリーファーム産ハードウィック種のホゲットを、ピンクに仕上げたロースト、網脂で包んだ煮込み、目の細かいパン粉を付けたクロケットと3種類の調理法で。付け合わせはジロール茸、玉葱やアーティチョーク。
ユーツリーファームは映画『ミス・ポター』でヒルトップのロケ地として使われたこともある有名な農場。ここで育てられたホゲットが絶妙の火入れで供される。ホゲットはラムより育っていてマトンより若い仔羊。ラムに比べるとより羊の風味が感じられるので、私のような羊肉好きにはたまらない食材。おまけに羊は羊でも湖水地方の象徴の一つともいえるハードウィック種の羊。ピーターラビットの作者ビアトリクス・ポターもこの羊の保護に尽力している。ここで頂いたホゲットがあまりに絶品だったため、ドライブ中にハードウィック種の羊を見かける度に「食べたい!食べたい!」と興奮していた。
Roasted Scallop |
Cured trout |
Cartmel vallery mallard duck |
Yew tree Farm Herdwick hogget |
美味しそうなハードウィック種の羊 |
ハードウィック種の羊のぬいぐるみ |
全体的に、吟味した材料を使って丁寧に繊細に仕上げた料理で、盛り付けも奇麗で大満足。
「この内容ならいつミシュランの星を獲ってもおかしくないね!」と言っていたら・・・実際にこの旅行から2週間ほど経った頃 ミシュランはこの店を新たに一つ星にしたことを発表した。我々の印象は間違っていなかったのだ。
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