■映像化された主な作品
『真夏の夜の夢』A Midsummer Night's Dream (1999)
・・・マイケル・ホフマン監督によるオールスターキャスト版『夏の夜の夢』A Midsummer Night's Dream (1996)
・・・RSCの監督エイドリアン・ノーブルによる舞台劇の映像化『真夏の夜の夢』A Midsummer Night's Dream (1984)
・・・リンゼイ・ケンプによる台詞を省いた異色作『夏の夜の夢』A Midsummer Night's Dream (1981)
・・・BBC製作版『真夏の夜の夢』A Midsummer Night's Dream(1935)
・・・ウィリアム・ディターレ&マックス・ラインハルト監督によるアメリカ作品
■Story
アテネの公爵シーシュース(Theseus)とその婚約者ヒポリタの結婚式の準備が行われていた頃、アテネではイージアスの娘ハーミアをめぐって問題が起きていた。彼女は父親が定めた結婚相手ディミトリアスではなく、かねてから恋仲のライサンダーとの結婚を望んでいたからだ。ライサンダーとハーミアは駆け落ちするために森に逃れるが、ディミトリアスに心を寄せていたヘレナは彼にそのことを告げ口してしまう。
一方森の中では、妖精王オベロンが妻である女王タイターニアが可愛がっている少年を要求して諍いが起きていた。少年を取り上げるためにオベロンは妖精パックに命じて惚れ薬となる花の汁をとってこさせる。その頃、公爵の婚礼祝いの出し物を練習していた素人劇団のひとりボトムを魔法でロバの姿に代え、タイターニアがロバに夢中になってしまうように仕向ける。
オベロンはハーミアたちを追って森に入ってきたディミトリアスがヘレナを冷たくあしらっているのを気の毒に思い、パックにこの男にも惚れ薬を瞼にたらすように命じるが、手違いでライサンダーに付けてしまった。間の悪いことにライサンダーは、魔法の力でちょうど通りがかったヘレナに恋をしてしまい、大事な恋人のハーミアをおいて追いかけだすが・・・?
[Midsummer Night=夏至祭の夜]
"Midsummer"とは"真夏"ではなく"夏至"のこと・・・1年で一番日が長い6月下旬を指す。1年中で最も精霊が活発に横行する時とされ、この魔法と関係の深い祭りの夜には恋占いも盛んに行われたとか。しかし、シーシウス一行が森で横たわっている4人の恋人たちを見つけた時「きっと五月祭の花を摘もうとしてこの森に来たのだろう」という台詞からもわかるように、この物語は五月祭(5月1日)の前夜に起きたという設定。夏至祭、5月祭というふたつの祭りに共通した祝祭的な雰囲気にインスパイアされたものと考えられている。(参考:『夏の夜の夢』小田島雄志・訳/白水uブックスより)
■登場人物
[妖精] Oberon .... 妖精王 Titania .... 妖精の女王 Puck .... オベロンの部下・別名Robin Goodfellow Cobweb(蜘蛛)
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[人間] Theseus .... アテネの公爵 Hippolyta .... アマゾンの女王・Theseusの婚約者 Hermia .... Lysanderを恋する乙女・Egeusの娘。 Helena .... Demetriusを恋する乙女・Hermiaの幼なじみ Lysander .... Hermiaを恋する青年 Demetrius .... Egeusが定めたHermiaの婚約者 Egeus .... Hermiaの父 Philostrate .... Theseusの饗宴係 [職人] |
■関連リンクと資料
原作のテキスト全文>The Complete Works of William Shakespeare
翻訳
- 『夏の夜の夢』シェイクスピア全集 〔12〕 小田島 雄志・訳/白水Uブックス (1983/01/01)
- 『夏の夜の夢・間違いの喜劇』シェイクスピア全集 (4) 松岡 和子・訳/ちくま文庫 (1997/04/01)
- 『夏の夜の夢,あらし』福田 恆存・訳/新潮文庫(1971/07/01)
- 『真夏の夜の夢』三神 勲・訳/角川文庫クラシックス (1996/12/01)
『真夏の夜の夢』 A Midsummer Night's Dream (1999)
監督:マイケル・ホフマン・・・「恋の闇 愛の光」「オックスフォード・ラブ」
アメリカ人監督によるオールスターキャスト。ハリウッドからミシェル・ファイファー、ケヴィン・クライン、カリスタ・フロックハート(アリーmyラブ)、サム・ロックウェルなどの人気俳優、個性派コメディアンのスタンリー・トゥッチ、フランスからソフィー・マルソーを迎えている。
あらすじ、役名については上記参照
■Check!
□舞台と時代
「自転車が流行し、高い襟とスカートの後ろをふくらませる腰当て(バスル)の習慣が終わるころ」・・・と、舞台を19世紀のイタリア・トスカーナ地方に移して映画化。文明的な人間の世界では襟元の詰まった抑制のきいた衣装を着ていた4人の男女も、森に入ると次第に解放されたいでたちになって行く。 自転車を使った演出はRSCのエイドリアン・ノーブル版『夏の夜の夢』 (1996)にインスパイアされたか?
□美術
森の中にはニンフやメデューサなどのクリーチャーがいっぱい。水の中で戯れるニンフたちの姿は、ラファエロ前派の絵画(ウォーターハウス)そっくり。
■ロケ地:イタリア・トスカーナ地方
トスカーナのモンテプルチアーノ
ヴィラ・デステ(シーシアスの邸宅内部)
Caprarolaのパラッツォ・ファルネッシ(邸宅の外と結婚式の宴)
■音楽
メンデルスゾーンの"A Midsummer Night's Dream"(参考:A Midsummer Night's Dream )
「友よ、さあ飲み明かそう(乾杯の歌)」〜歌劇「椿姫」第一幕より(ヴェルディ)
「冷たい手を」〜歌劇「ラ・ボエーム」第一幕より(プッチーニ)
「清らかな女神よ」〜歌劇「ノルマ」第一幕より(ベルリーニ)
「人知れぬ涙」〜歌劇「愛の妙薬」より(ドニゼッティ)
■キャスト(役名については上記参照)
Rupert Everett .... Oberon
Michelle Pfeiffer .... Titania
Stanley Tucci .... PuckAnna Friel .... Hermia
Calista Flockhart .... Helena
Christian Bale .... Demetrius
Dominic West .... Lysander
Bernard Hill .... Egeus
David Strathairn .... Theseus
Sophie Marceau .... Hippolyta
John Sessions .... PhilostrateKevin Kline .... Nick Bottom
Sam Rockwell .... Francis Flute
Roger Rees .... Peter Quince
Max Wright .... Robin Starveling
Gregory Jbara .... Snug
Bill Irwin .... Tom Snout■関連リンクとソフト
Amazon.Japan:サウンドトラック
Amazon.com: Video/Soundrack
(1999年 アメリカ 121分)
『夏の夜の夢』 A Midsummer Night's Dream(1996)
監督・脚本:エイドリアン・ノーブル・・・1991年からRSCの芸術監督
RSC(ロイヤル・シェイクスピア・カンパニー)の芸術監督、エイドリアン・ノーブルが、自ら手がけた舞台版を映像化した作品。 舞台版の初演は1994年、バービカン劇場にて。
少年の寝室から始まった物語全体は、この少年の夢という形で進行する。 少年が一種の傍観者としてキャラクターたちに寄り添っている演出が面白い。 ベッドサイドに置かれた絵本の挿絵はアーサー・ラッカム。
カラフルな傘、森の中のドアなど小道具も効果的。時に非常にセクシュアルなイメージを喚起される演出がされていて、ドキリとさせられることも。 シンプルに見えて実は奥の深い作品。
あらすじ、役名については上記参照
■キャスト
Alex Jennings .... Theseus/Oberon
Lindsay Duncan .... Hippolyta/Titania
Desmond Barrit .... Nick Bottom
Finbar Lynch .... Philostrate/Puck
Osheen Jones .... The BoyMonica Dolan .... Hermia
Emily Raymond .... Helena
Kevin Doyle .... Demetrius
Daniel Evans .... Lysander
Alfred Burke .... EgeusHoward Crossley .... Tom Snout/Fairy
Robert Gillespie .... Robin Starveling/Cobweb
John Kane .... Peter Quince/Mustardseed
Mark Letheren .... Francis Flute/Peaseblossom
Kenn Sabberton .... SnugOsheen Jones .... 1980年代に一世を風靡した歌手ハワード・ジョーンズの息子。『ベルベット・ゴールドマイン』(ジャック・フェアリーの少年時代)、『タイタス』(小ルーシャス)など、名子役として活躍。
■関連リンクとソフト
Royal Shakespeare Company
Amazon.Japan:国内盤DVD/サウンドトラック(音楽:ハワード・ブレイク)
Amazon.com: Video(1996年 イギリス104分)
『夏の夜の夢』A Midsummer Night's Dream (1984) (TV)
監督:Celestino Coronada
あらすじ、役名については上記参照
■Check!
リンゼイ・ケンプが演出・主演した話題の舞台劇の映画化。台詞を極限まで少なく抑え、舞踏とパントマイムで表現した異色作。オベロンが小姓に欲しがったのが"少年"でなくなまめかしい"青年"だったり、花の汁を瞼に塗られたライサンダーが目覚めて最初に見るのがディミトリアスだったり(同性同士で求め合うことに)、Queerで倒錯的な雰囲気に満ち満ちている。
その他に原作からアレンジを加えているところは、森へ行ったハーミアとライサンダーが裸でひとつのマントにくるまって眠っているところ(原作では離れて眠っている)、素人劇団の職人たちが"ピラマスとシスビー"ではなく"ロミオとジュリエット"を上演すること(でも筋は"ピラマス…"とほぼ同じ)などなど。
テレビジョン・エスパニョーラ&英チャンネル4の共同制作。
■キャスト(役名については上記参照)
Lindsay Kemp .... Puck
Michael Matou ....Oberon
"The Incredible Orlando" .... Titania
Francois Testorg .... Changeling Boy
Neil Caplan .... Theseus/The beast
Manuela Vargas .... Hippolyta
David Meyer .... Lysander
David Brandon(David Haughton) .... Demetrius
Annie Huckle .... Hermia
Cheryl Heazelwood .... Helena
Atilio Lopez .... Bottom(1984年 スペイン=英 78分)
『夏の夜の夢』 A Midsummer Night's Dream (1981)
BBC
監督:Elijah MoshinskyBBCシェイクスピア・シリーズとしてNHKで放映されていた作品。 実力あるやう者じんをそろえた見ごたえある仕上がりとなっている。 特にヘレン・ミレンの妖艶な妖精の女王は必見。
あらすじ、役名については上記参照
■キャスト(役名については上記参照)
Phil Daniels .... Puck
Helen Mirren .... Titania
Peter McEnery .... Oberon
Estelle Kohler .... Hippolyta
Nigel Davenport .... Theseus
Hugh Quarshie .... Philostrate
Geoffrey Lumsden .... Egeus
Pippa Guard .... Hermia
Nicky Henson .... Demetrius
Robert Lindsay .... Lysander
Cherith Mellor .... HelenaGeoffrey Palmer .... Quince
Brian Glover .... Bottom
John Fowler .... Flute
Don Estelle .... Starveling
Nat Jackley .... Snout
Ray Mort .... Snug(1981年 イギリス 113分)
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