タイトル*よ
監督:Michelangelo Antonioni
原作:Julio Cortazar
音楽:ハービー・ハンコック
舞台は60年代のスウィンギング・ロンドン。ロールスロイスのオープンカーを乗り回すトーマスは売れっ子カメラマン。彼に写真を撮ってもらいたがるきらびやかなファッションモデルたちはあとをたたない。ある日アンティークショップに出かけたついでに、向かいの公園で戯れているカップルの姿をファインダーにおさめる。若い女と中年男−−何かいわくがありそうな間柄だ。写真を撮られたことに気付いた女は、フィルムを取り返そうとするが、トーマスは別のネガを渡して現像してしまった。ところが引き伸ばした写真を見ているうちに、彼は思いがけない発見をする・・・
(原題"Blow-up"は"写真の引き伸ばし"を意味する。)
くすんだレンガ作りの家と近代的な高層ビルが同居するロンドン。
その時代の空気、ファッション、風俗、音楽が、この作品を一層印象づけている。
ミステリアスな魅力を放つ若き日のヴァネッサ・レッドグレイヴのほか、サラ・マイルズ、ジェーン・バーキンと、豪華キャストがミニスカートで闊歩する。
骨董品だかガラクタだか、区別のつかないさまざまな品が店頭に並べられている。トーマスが買ったのも、およそ実用とはかけ離れたものだった。
ライブハウスで演奏しているのはヤードバーズ。Jimmy Page、Jeff Beck、Chris Dreja、Jim McCarty、Keith Relfと、そうそうたる顔ぶれ。ハービー・ハンコックの音楽が印象的。
『オースティン・パワーズ』のモデルの一人は、この映画の主人公のカメラマンとも言われている
第20回カンヌ映画祭グランプリ
(その他)1999年度英国映画協会によるベスト100作品:60位にランクイン
トーマスがカップルの写真を撮った公園。子供達がパントマイムをしていたテニスコートもこの公園内にある。
ロンドン東部(テムズ南岸)、Woolwich Road(A206)とMaryon Roadの交差したあたりにある。トーマスはアンティーク・ショップに行く途中にこのWoolwich Roadを通る。
(冒頭でトマスが立っていた通り)
近くのPottery Laneも。
ケンジントン地区にある公園。地下鉄Holland Park駅下車。
David Hemmings .... Thomas(写真家)
Vanessa Redgrave .... Jane(公園で見掛けた女性)
Sarah Miles .... Patricia
John Castle .... Bill
Jane Birkin .... 押しかけてきたモデル(金髪)
Gillian Hills .... 押しかけてきたモデル(ブルネット)
Susan Broderick .... アンティーク店の主人
(1966年 イギリス 112分)
監督・脚本:ケン・ローチ
原作:Nell Dunn 小説_Poor Cow_
まだ少女の面影を残す若妻ジョイは幼子ジョニーを出産したばかり。ろくでもない暴力亭主は泥棒や強盗などヤクザ稼業に手を染めていて、ついに逮捕されてしまう。取り残されたジョイは夫の仲間デイブと恋におち、赤子と共に貧しいながらも幸せな毎日を送るようになるが、その生活もデイブまでも懲役12年の刑を宣告されたことによりピリオドを打たれる。まだ若くて美しい彼女のこと、ひとりデイブの帰りを待つことに耐えかね、密かに浮気を繰り返すように・・・。
ジョイがビデオカメラの前で独白するという形式により、リアルでドキュメンタリータッチの味付けがされている。ワーキングクラスの人々を見つめたケン・ローチ監督の映画デビュー作。
18歳で妊娠したため、暴力亭主と早すぎる結婚をしたジョイ。生れたのはロンドンの南西の外れFulhamという町。のちにジョイが大家に「Chelseaに空き部屋はない? Wandsworthは最低よ」とこぼす町Wandsworthは、テムズ川を挟んでFulhamの向かい。Chelseaは高級住宅地。
エムおばさんが10人兄弟だったということは、ジョイの父も子沢山の貧しい家庭に生れたらしい。
ジョイの夫のトムも、13の歳から犯罪に手を染めていたというろくでもない男。
エムおばさんのフラットのまわりでは、みな外観を気にするほど生活に余裕がないので、洗濯物は紐にかけて戸外に干す。ジョイとデイブが暮す低所得者向けフラットでも、窓から窓に紐を渡して、洗濯物を干している。
サッカー(football)もワーキングクラスに熱狂的に支持されるスポーツだが、デイブもFulhamの大ファン。
ジョイの夫、デイブがこのチームの大ファン。
Craven Cottage, Stevenage Road,London SW6 6HH
印象的に挿入される60年代ポップスの数々はDonovanによるもの。
映画『イギリスから来た男』で、テレンス・スタンプの若かりし頃の場面として、『夜空に星があるように』の彼の映像が使われている。
・・・トムに金が出来た時に移り住んだ町。赤い屋根のTerraced House(何軒かつながった形の集合住宅)が並ぶすすけた街並み。>UK Street map
・・・ジョイとデイブがジョニーを連れてキャンプに行った場所
・・・ジョイがジョニーを連れて遊びに行った海岸。桟橋、遊園地が見える。
カルロヴィ・ヴァリ映画祭 主演女優賞(キャロル・ホワイト)
1969年ゴールデン・グローブ賞 最優秀外国映画作品賞ノミネート
Carol White .... Joy
John Bindon .... Tom (Joyの夫)
Terence Stamp .... Dave (Joyの恋人)
Queenie Watts .... Aunt Emm (Joyのおば)
原作:_Poor Cow_ by Nell Dunn (Paperback・Hardcover)
書籍:『ケン・ローチ』グレアム フラー(編)
フィルムアート社 単行本(2000/10/01)
(1967年イギリス101分)
監督・脚本:ケネス・ブラナー
売れない役者ジョーは故郷の教会を救うために、そこを借りてクリスマスに『ハムレット』を上演する計画を立てる。エージェントのマギーが600ポンドを出資してくれたので、新聞広告を出して出演者を募る。ド近眼、ゲイ、完全主義者・・・書き入れ時のクリスマスに予定が入っていないような連中は、どれも何らかの問題を抱えた役者ばかり。寄せ集めの役者6人とエキセントリックな美術監督ファッジ、ジョーの妹モリーを加えた教会での練習の日々は混乱を極める。無事クリスマス・イヴに『ハムレット』を上演できるのか? そして彼らの抱えた憂鬱は・・・?
楽屋裏をある時はコメディ・タッチで、またある時はドキュメンタリー調に描いた佳作。シェークスピア劇の演出や映画化で活躍するケネス・ブラナーが、監督に専念してシェークスピア劇の楽屋裏をある時はコメディ・タッチで、またある時はドキュメンタリー調に描いた佳作。
原題"In the Bleak Midwinter"は、イギリスでクリスマスに歌われる讃美歌のひとつ。作曲はイギリスを代表する作曲家のひとりGustav Holst(1874-1934)、作詞はChristina G. Rossetti(1830-1894)。
こちらのサイトでMIDIファイルを聴くことができます。(楽譜付き)・・・Christmas Songbook
In the Bleak Midwinter
In the bleak midwinter, frost wind made moan,
earth stood hard as iron, water like a stone;
snow had fallen, snow on snow, snow on snow,
in the bleak midwinter, long ago.Our God, heaven cannot hold him, nor earth sustain;
heaven and earth shall flee away when he comes to reign.
In the bleak midwinter a stable place sufficed
the Lord God Almighty, Jesus Christ.Angels and archangels may have gathered there,
cherubim and seraphim thronged the air;
but his mother only, in her maiden bliss,
worshiped the beloved with a kiss.What can I give him, poor as I am?
If I were a shepherd, I would bring a lamb;
if I were a Wise Man, I would do my part;
yet what I can I give him: give my heart.
クローディアス王役のヘンリーが、畏敬の念を込めて語ったイギリスの伝説的な名優の名。
イングランド南東部サマセットKeinton-Mandeville生まれ。1895年に俳優として初めて爵位をもらった人物で、同時代の最高の役者と称えられた。ブラッドフォードでの公演中に死亡。
ゲイのテリーに腹を立てたヘンリーを、ジョーはこう言ってなだめる。実際シェイクスピアはバイセクシュアルだたという説がある。
食事当番の話をしていた時のテリーの台詞。この数字は大袈裟にしても、英国人のお茶を飲む頻度の激しさはすごい。
テーマソングのように各章に挿入されるのは、ノエル・カワードの"Why Must The Show Go On"。
この作品のタイトルにもなっているGustav Holstの"In The Bleak Midwinter"も。
ヴェネツィア映画祭金のオゼッラ賞
Michael Maloney .... Joe Harper (座長/Hamlet役)
Richard Briers .... Henry Wakefield (Claudius役)
Nicholas Farrell .... Tom Newman (Laertes/Fortinbras/messengers役)
Julia Sawalha .... Nina Raymond (Ophelia役)
John Sessions .... Terry Du Bois (Gertrude王妃の役)
Mark Hadfield .... Vernon Spatch (Polonius, Marcellus, and First Gravedigger役)
Gerard Horan .... Carnforth Greville (Rosenkrantz, Gildenstern, Horatio, and Bernardo役)
Hetta Charnley .... Molly (Joeの妹)
Celia Imrie .... Fadge (美術担当)
Joan Collins .... Margaretta D'Arcy (Joeのエージェント/劇のスポンサー)
Jennifer Saunders .... Nancy Crawford (映画プロデューサー)
VHS(輸入盤・字幕なし) USタイトル"A Midwinter's Tale"でリリース
(1995年 イギリス B&W 100分)
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