監督：Marc Forster
脚本：David Magee
原作戯曲：Allan Knee _The Man Who Was Peter Pan_
1903年のロンドン。新作の不評に落ち込んでいた劇作家バリは気晴らしに犬を連れてケンジントン公園に出かけ、そこで4人の子供たちとその母親シルヴィアに出会う。子供たちを相手に自分も子供のようなバリはすぐに打ち解けるが、三男のピーターだけは父を失った哀しみからかひとり大人になろうと無理をしているように見える。ある時は海賊に、ある時はインディアンになり、童心に帰って夢中で遊ぶバリ。シルヴィアとその子供たちの元に足繁く通ううちに、バリと妻の関係は次第に冷え冷えとしたものとなり、シルヴィアの母もバリの来訪を快く思っていない様子。やがてバリは子供たちをモデルに新作劇に取り組みだすが、シルヴィアには病魔が忍び寄っていて・・・
永遠の名作「ピーター・パン」の作者J.M.バリを、フィクションも織り交ぜて描いた秀作。監督は『チョコレート』のマーク・フォスター。
ジョニー・デップ、 ケイト・ウィンスレットを中心に、ダスティン・ホフマン、ジュリー・クリスティら実力派キャストが脇を固める。
スコットランド(Kirriemuir, Angus)の織工の息子で、代表作「ピーターパン」を始めとして数々の作品を送り出した脚本家・作家。1913年に准男爵の称号を与えられる。
Mary Ansellと1894年に結婚、のち1909年に離婚している。 Maryはこの映画にも登場した作家Gilbert Cannanと再婚する。バリにはデービッドという兄がいたが若くして亡くなったためバリの母は強いショックを受ける。バリは母を慰めるために、兄の服を着て見せたりしていたとか。
バリがLlewellyn-Davies家の兄弟と出会ったのは、実際は映画より数年早い1897年（または1898年)、ロンドンのケンジントンガーデンでのここと。映画ではシルヴィアは未亡人となっていたが、バリがLlewellyn-Davies家の子供たちと会った時に、シルヴィアの夫である弁護士のArthur Llewellyn-Daviesはまだ存命中だった。
五男Nicholas (Nico)は劇の執筆中に生まれている。シルヴィア亡き後はデイビス家の5人の子供の後見人となる。
長男のマイケルは1915年に戦死、マイケルは1921年に溺死(自殺とも言われている)。ピーターは1960年に自殺している。
この作品の時代背景は、繁栄を極めたヴィクトリア朝も終わり、世紀も変わってエドワード朝に移った頃。万事において堅苦しかった前世紀末から少しずつ自由で解放された空気が漂い始めた時期でもあった。
『金色の嘘』 The Golden Bowl (2000)や『眺めのいい部屋』A Room With AView(1986)も同時期を舞台した作品である。
バリは何十本もの脚本をヒットさせた売れっ子劇作家だったため、彼の家はメイドを何人も雇えるだけの経済力があり（シルヴィアの家はメイドを雇えない）、サマー･コテージ(Black Lake Cottage)を所有し、自家用車を保有する資産があった。
"永遠の少年"ピーター・パンと妖精ティンカー・ベルは、ダーリング家の子供たちウェンディー、ジョン、マイケルを不思議の国ネバーランドに誘う。ネバーランドではピーターと海賊フック船長との戦い等、子供たちがわくわくするような話が展開される。
初演は1904年12月27日Duke of York劇場。初演以来ピーターパンは女優が演じるのが伝統となっており、イギリスでは1982年に初めて男優がピーターを演じた。
バリの友人として登場する"コナン・ドイル"は、もちろんかの有名な『シャーロックホームズの冒険』で知られる作家、Sir アーサー・コナン・ドイル（Sir Arthur Conan Doyle:1859-1930)のこと。バリとドイルは年も近く、ともにスコットランド出身でエジンバラ大学の同窓生だったということから気も合ったのだろう。
バリとコナン・ドイルがクリケットを観戦する場面がある。白い服に身を包んだ選手たちを見守るギャラリーはのんびりとした優雅な雰囲気で、エドワーディアンの中上流階級の風俗がうかがえる。
・・・バリが子供たちとであった公園
ケンジントン公園はピーターパンの像があることでも有名。
http://www.royalparks.gov.uk/parks/kensington_gardens/
69, Brook St, London, W1K 4ER
・・・シルヴィアの葬儀の場面
Brompton Cemetery, Fulham Road, London SW10 9UG
www.royalparks.gov.uk/brompton.htm
・・・ピーターパンが上演されたDuke of York劇場として
The Green, Richmond, Surrey TW9 1QJ
Johnny Depp .... Sir James Matthew Barrie (戯曲家・作家)
Kate Winslet .... Sylvia Llewelyn Davies(4人の子供たちの母)Julie Christie .... Mrs. Emma du Maurier(Sylviaの母・社交界の名士)
Radha Mitchell .... Mary Ansell Barrie (Barrieの妻)
Dustin Hoffman .... Charles Frohman(アメリカ人興行主)
Freddie Highmore .... Peter Llewelyn Davies (三男)
Joe Prospero .... Jack Llewelyn Davies (次男)
Nick Roud .... George Llewelyn Davies (長男)
Luke Spill .... Michael Llewelyn Davies (四男)
Ian Hart .... Sir Arthur Conan Doyle (Barrieの友人・シャーロックホームズの作者)
Kelly MacDonald .... Peter Pan役の女優
Mackenzie Crook .... Mr. Jaspers - Usher
Eileen Essel .... Mrs. Snow(劇を見に来た老婦人)
Jimmy Gardner .... Mr. Snow(劇を見に来た老紳士)
Oliver Fox .... Gilbert Cannan (作家・Barrieの妻の愛人)
Angus Barnett .... Mr. Reilly（犬のNana役の俳優)
Toby Jones .... Smee (フックの手下)
Kate Maberly .... Wendy役の女優
Matt Green .... John
Catrin Rhys .... Michael Darling
Tim Potter .... Lord Carlton(Hook役の俳優)
Jane Booker .... Mrs. Darling
Paul Whitehouse .... Stage Manager
Catherine Cusack .... Sarah
Kali Peacock .... Emma(Barrie家のメイド)
http://uk.imdb.com/title/tt0308644/
(2004年 英＝米 100分)
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