タイトル*
監督:Alfred Hitchcock
脚本:Anthony Shaffer
原作:Arthur LaBern(小説『Goodbye Piccadilly, Farewell Leicester Square』)
元空軍パイロットのブレイニーはとことん運がない。勤めていたパブで盗み飲みが見つかってクビ、友人の果物商ラスクから大穴馬券の情報を教えてもらいながらも買い逃す。
折りしもロンドンではネクタイを使った連続絞殺魔が世間を騒がせており、ブレイニーの元妻もその犠牲になる。 犯人は異常な性的嗜好を満たすために彼女を困らせていたラスクだったのだが、たまたま妻を訪ねに来たブレイニーが目撃され、重要参考人として手配される。恋人のバブスに相談し、友人のポーター夫妻の元に身を寄せるが、そのバブスまでもが犠牲になる。友人と思ったラスクに助けを求めたところ逆に警察に密告され、不利な状況証拠からブレイニーの有罪が確定するが・・・ロンドンを舞台にしたアルフレッド・ヒッチコック晩年のスリラー。
『マイ・フェア・レディ』My Fair Lady(1964) でおなじみのコヴェント・ガーデンには昔青物市場があり、果物商ラスクの生活の場はこのコヴェント・ガーデン。現在はお洒落なショッピングエリアとして観光客で賑わっている場所で、アンティークマーケットやロイヤル・オペラハウスがある場所としても知られている。
http://www.covent-garden.co.uk/
冒頭、County Hallの前で政治家が演説していた時に、目の前のテムズ川でネクタイで絞殺された女性の全裸死体が発見される。それを見た紳士曰く「うちのクラブタイではないな」。 ロンドンの名門クラブではクラブごとにネクタイがあり、会員はそれを身につけることもある。
オックスフォードやケンブリッジの卒業生も、卒業後も学校のネクタイを締めて、自分のアイデンティティを意識している。
>>『私家版』Tire a part (1997)
クビにされるまでブレイニーは恋人のバブスと同じパブで働いていた。「To Saloon bar」という看板があるところを見ると、このパブは労働者階級向けのパブと中流階級向けのサルーンに内部がわかれていたのかもしれない。
メイジーという女主人が切り盛りするパブ(ブレイニーも来ていた)にやってきた二人の医者は、それぞれシェパーズパイとビールを注文していた。シェパーズパイはパブで食べられる定番メニュー。
ラスクの口癖は「lovely」。イギリス人が好んで口にする言葉だが、ラスクの場合は恐ろしさ・不気味さが漂う。
ベイズウォーターのホテル"The Coburg"にダブルの部屋を取ったブレイニー。未婚の男女が泊まるのは好ましくないことなので、とっさに口にした偽名は「オスカー・ワイルド夫妻」。
警視庁では典型的なイングリッシュ・ブレックファストに舌鼓を打つオックスフォード警部。彼はこのような単純な料理がすきなのだが、奥さんの方は最近習っているフランス料理の腕を披露したくて、わけのわからないフランス語のキテレツな料理ばかり食卓に並べる。魚のスープはこっそり入れ物に戻してしまうし(この時の青い皿はイギリスの伝統的な食器に使われるブルー・ウィローと呼ばれる柄)、ウズラや豚足(ピエ)など、うんざりさせられる。捜査結果を報告に来たスピアマン巡査にもマルガリータを勧めたが、彼も口をつけただけで退散してしまった。
3 Henrietta Street,London WC2 (ラスクのアパートとして)
29 Catherine Street, London WC2B 5
37, Bow St Covent Garden, London WC2E 7AU
冒頭の場面。ちょうどタワーブリッジの跳ね橋が上がっている。
冒頭で人々が集まっていた弧を描いた美しい建物。この前の川岸で絞殺死体が発見される。
長年ロンドンの行政をつかさどってきた場所だったが、現在はレジャー施設となっている。
County Hall
Riverside Building, Westminster Bridge Road, London SE1 7PB
www.londoncountyhall.com
冒頭の場面。
ブレイニーが待ち合わせしていた場所
Broadway, London SW1H 0BG
http://www.met.police.uk/
(Coburg Hotelとして)
ハイドパークに面した、マーブルアーチの近くに立つホテル。
129 Bayswater Road
Bayswater
London W2 4RJ
Jon Finch .... Richard Blaney (元空軍パイロット)
Barry Foster .... Robert Rusk (果物商・Richardの友人)
Anna Massey .... Babs Milligan(Richardの恋人・パブ勤務)
Barbara Leigh-Hunt .... Brenda Blaney(Richardの元妻・結婚相談所所長)
Jean Marsh .... Monica Barling (結婚相談所の秘書)
Alec McCowen .... Chief Insp. Oxford (連続絞殺事件捜査担当)
Vivien Merchant .... Mrs Oxford (オックスフォード警部の妻)
Bernard Cribbins .... Felix Forsythe(Richardが働いていたパブの主人)
Clive Swift .... Johnny Porter (Richardの友人)
Billie Whitelaw .... Hetty Porter (Johnnyの妻)
Michael Bates .... Spearman 巡査
(1972年 イギリス 117分)
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