監督・脚本:Chris Weitz & Paul Weitz
共同脚本:Peter Hedges
製作:ワーキングタイトル(ティム・ビーヴァン/エリック・フェルナー)
トライベッカ(ジェーン・ローゼンタール/ロバート・デ・ニーロ)
原作:ニック・ホーンビィ
撮影:Remi Adefarasin ・・・『エリザベス』『スライディングドア』
プロダクション・デザイナー:Jim Clay『フェリシアの旅』『コレリ大尉のマンドリン』
衣裳:Joanna Johnston ・・・『フォレスト・ガンプ』『プライベート・ライアン』
編集:Nick Moore・・・『フル・モンティ』『ノッティング・ヒルの恋人』
音楽:Damon Gough (Badly Drawn Boy)
一発屋としてヒットソングを遺した父の印税で働かなくても悠々自適の生活を送れるウィル・フリーマン、38歳独身。 アウディを乗り回し、壁を埋め尽くすDVDやCDの棚や高級オーディオシステムに囲まれ、気ままな人生を謳歌するウィルは、責任が付いてまわる結婚生活や定職に就くことなんて考えてもいない。 そんな彼が目をつけたのがシングル・マザー。
「シングルマザーなら別れる時の後腐れもなく、情熱的なラブ・アフェアを楽しめるだろう」という下心を持って、シングル・ペアレントの会SPATに参加する。 その会で知り合った若きシングルマザーのスージーとのピクニックについてきたのが、12歳の風変わりな少年マーカス。 学校ではいじめにあい、家に帰れば情緒不安定な母親がまた自殺未遂を図るのではないかという不安に押しつぶされそうになる日々。マーカスはなんとか自分の母親とウィルをくっつけようと放課後、彼のフラットに押しかけるようになり、ウィルの独身貴族生活はすっかりかき乱されてしまう。 母親との仲を取り持とうとするマーカスの試みは失敗するが、ウィルとマーカスの間には奇妙な友情のようなものが芽生えてゆく・・・
人生軽ーく送ってる三十男にヒュー・グラント、『シックス・センス』でもハーレイ・ジョエル・オスメントの母親役を演じたトニ・コレット、そしてウィルがひと目惚れする魅力的なシングルマザーにレイチェル・ヴァイスと、ハマリ役のキャスティングが楽しい。(検索用:レイチェル・ワイズ)
原作は1998年に出版されたニック・ホーンビィの大ベストセラー小説『アバウト・ア・ボーイ』。『Fever Pitch(邦題:ぼくのプレミアライフ)』、『ハイ・フィデリティ』に続く作品で、前作二つもすでに映画化されている。最新作は_How to be Good_。
『ぼくのプレミア・ライフ』 (原題:_Fever Pitch_) 新潮文庫 (2000/02/01)
>>映画化 Fever Pitch (1997) 日本未公開。imdb.com
コリン・ファース主演。アーセナル狂である主人公のサポーター人生の悲喜こもごもを描いた傑作。『ハイ・フィデリティ』 (原題:_High Fidelity_) 新潮文庫 (1999/06/01)
>>映画化『ハイ・フィデリティ』High Fidelity (2000) : imdb.com
スティーブン・フリアーズ監督、ジョン・キューザック主演
映画版では舞台をロンドンではなくアメリカのシカゴに設定し、中古のレコード店を経営する音楽お宅の30男の恋愛を描く。短編集『天使だけが聞いている12の物語』 (原題:_Speaking with the Angel_) ソニー・マガジンズ (2001/09/01)
ニック・ホーンビィをはじめとして、『ブリジット・ジョーンズの日記』のヘレン・フィールディング、『トレインスポッティング』のアーヴィン・ウェルシュ、『ザ・コミットメンツ』のロディ・ドイル、俳優のコリン・ファースなどによる短編アンソロジー。
この作品の舞台となったのは、ロンドン北部のイズリントン。 昔はガラが悪かったが、近年になってお洒落な業界人やシティ勤務のヤッピー、アーティストも移り住むようになったところ。 マイク・リーの映画『ビバ!ロンドン! ハイ・ホープス 〜キングス・クロスの気楽な人々〜』High Hopes (1988)にも、昔公営住宅が立ち並んでいた(=つまり貧困層が住んでいた)イズリントン界隈に、裕福なヤッピーたちが住むようになったさまが描かれている。
#ちなみにイズリントンと並ぶ「オシャレな地域」としてセレブ御用達になっているのは、『ノッティングヒルの恋人』Notting Hill (1999) でおなじみのノッティング・ヒルだが、『ビギナーズ』Absolute Beginners (1986)でも触れられているように、ここも昔はカリブ系移民が多く住む地域で人種間抗争に端を発した暴動も頻発する危ないエリアだった。 イズリントンといい、ノッティング・ヒルといい、昔と今では大違いなのだ。
マーカスの方はフットボールには全く興味がない変わり者の少年だが、レイチェルの息子アリの部屋には窓にアーセナルFCの旗が飾ってある。原作者のニック・ホーンビィはアーセナルの熱狂的なサポーターで、アーセナルへの愛を処女作『フィーバー・ピッチ(新潮文庫邦題:ぼくのプレミアライフ)』に綴っている。 この物語が展開するイズリントンは、いわばアーセナルのお膝元。 本拠地ハイベリー(スタジアム)もこの地域にある。
Arsenal Football Club plc
Arsenal Stadium, Avenell Rd Highbury, London N5 1BU(www.multimap.com)
ウィルが好んで口にする言葉は、本来はシェイクスピアより少し後に登場した形而上派詩人詩人ジョン・ダン(John Donne,1572-1631 エリザベス一世の時代から、次のジェイムズ一世の時代にかけて活躍した)の言葉。
No man is an island, entire of itself...any man's death diminishes me, because I am involved in mankind;しかしクイズ番組"Who Wants to Be a Millionaire"で「No man is an island」と言った人物を問う出題に自信たっぷりに「ジョン・ボン・ジョビ!(注:アメリカのロックミュージシャン)」と答えたのは、彼がこのフレーズをボン・ジョビの歌詞だと思い込んでいたため。
---John Bon Jovi の「Santa Fe」という曲の冒頭に「They say that no man is an island」という歌詞があります。(情報提供:Yokkoさん)
マーカスが転校してきたのは、"Finsbury Comprehensive School"という学校(実在しないようだ)。Comprehensive School"というのは、「あらゆる能力の子どもを受け入れ、1 つの地域の11歳から16歳、または18歳までの子どもの全員、またはほとんどに全範囲の中等教育を提供する総合中等学校」のこと。イギリスでは中学生の85%以上がこの主の学校に通っているとのこと。(参考:英国政府観光庁オフィシャルサイトUK NOW)
生徒の能力による選択を行わない学校というのは、平たく言えば「大多数の子供が通うことになる公立中学校」。裕福な子供や、特に学業にすぐれた子供は他にも選択肢がある。
ウィルが大きなカートを押して(およそ生活感のないものばかり買っているのが彼らしい)スーパーに買い物にいく場面が何度か出てくる。 ワインなど酒類の品揃えも豊富なようだ。 店内の内装の色合いからしてここはTescoっぽいのだがどうだろうか。
情報ありがとうございます!いくつか複数のスーパーが使われているという可能性も出てきました。
www.tesco.com/www.j-sainsbury.co.ukWillが良く買物に行ってるスーパーは恐らくTescoだと思います。店内の様子だけでなくレジ横に置いてあった有料のプラスティック・バッグの柄を見て間違いない、と。ちょうどIslingtonにTescoもありますし。(情報提供:Tnickyさん)
一番最初のスーパーはセンスベリーでした。(情報提供:ようこさん)
どことなく、セインズベリー・カラーのオレンジ色が随所に見られたように記憶しています。(情報提供:シェラさん)
シングル・ファーザーを装うために、ウィルが車のチャイルドシートを買っていたのは、イギリス中に支店があるベビー用品の店「マザーケア」。ウィルが買い物に行ったのは、おそらく繁華街Oxford Stにある店(461 Oxford St, London W1C 2PZ)。
www.mothercare.com
ウィルがマーカスに靴を買ってあげたのは、アメリカン・ブランド"Skechers"のお店。ロンドン一の繁華街のひとつOxford St.にある。(向かいにボディ・ショップの看板が見える)
Skechers USA Ltd(www.skechers.com)
291a/291c, Oxford St London W1C 2DT
暇な時にはTVの前で過ごすことが多いウィル。さまざまなTV番組が登場する。"Who Wants to Be a Millionaire"は、日本でもみんもんた司会で放映されているクイズ番組で、元祖はこのイギリス版(ITVで放映)。
http://www2.itv.com/millionaire/"Countdown"はチャンネル4で放映されている言葉遊び・数字遊びの番組。
www.channel4.com
アフリカン・クラフトのアクセサリーを身につけ、毛皮のようなふわふわ飾りのついた服を着たフィオナ(ウィルは"イエティ(雪男)みたい"と形容する)。菜食主義者(ベジタリアン)で音楽セラピーを職業にしているあたりも、ヒッピーっぽい。
マーカスに招待されて、ウィルはフィオナの家で催されたクリスマス・パーティーに参加する。 クリスマスとなれば日頃疎遠になっている家族が一堂に会するイベント(日本のお正月のように)。 しかし、この日はマーカスの父が現在の彼女とその年老いた母親まで連れてきているという、いささか奇妙な図となっている。 テーブルの上にはイギリス風のクラッカーが。
*円錐形のクラッカーはアメリカ式。 イギリスのは両端をひねったキャンディーのようなかたちで、中に紙の王冠とおもちゃが入っている。次のシーンで皆頭にクラッカーから出てきたと思われる紙の王冠を揃ってかぶっている。
クリスマスにくらべて大晦日の雰囲気はよりカジュアル。 ウィルは大晦日のパーティーでシングルマザーのレイチェルに一目ぼれする。 みなで声を合わせて新年へのカウントダウンを刷る風景が。
ウィルがビデオ店で手にしたのは、ジェイムズ・ホエール監督作品『フランケンシュタインの花嫁』。友達を求める孤独なモンスターが「Alone...Bad..., Friend...Good...」とつぶやくシークエンスなども挿入されている。
ラスト近くにウィルがつぶやく台詞"I created monster or he created me?"も、この作品を意識しているとみてよいだろう。『フランケンシュタインの花嫁』およびホエール監督の晩年を描いたイアン・マッケラン主演の映画『ゴッド・アンド・モンスター』を先に見ているとグッとくる効果的な引用。
ウィルのフラットがある地域。シティより少し北、ホーボーンより東のあたり
www.multimap.com
Regent Parkの北側。フィオナやレイチェルの家があるという設定
レイチェルの家の向かいには「St. Stephens Church」という教会が見えるが、このノッティングヒルからベイズウォーター界隈にあるのは、おそらく下記の教会だろう(未確認)。
St. Stephens Church
Westbourne Park Westbourne Park Rd London W2 5QH
ウィルとスージーがマーカスをつれて遊びにいったのは、ロンドン北部にあるリージェント・パーク。 この公園内にロンドン動物園があり、フラミンゴの檻(スージー&マーカスと遊びに行ったとき)やペンギンの檻(レイチェルと遊びに行ったとき)などが映っている。 また、リージェント・パーク内には春になるとバラが咲き誇る(この映画の撮影時は薔薇の季節でなかった)「Queen Mary's Garden」という場所があり、マーカスがパンを投げつけたのはここの池にいたカモ。
・・・ウィルがマーカスのことを実の子で無いと告白したレストラン。(情報提供:Tnickyさん)
なかなか予約が取れないことで有名な話題のモダン・チャイニーズ・レストラン。 お洒落なだけあってお値段もかなり張るが、ウィルにはぴったりのお店かも。
8 Hanway Place, London, W1T 1UE(multimap.com)
地下鉄最寄駅:Tottenham Court Roadwww.london-eating.co.uk/1680.htm
www.itchylondon.co.uk/venues/1214.html
ウィルに靴を買ってあげる場面など
ウィルがアンジーと待ち合わせていた映画館
1, Charlie Chaplin Walk South Bank Waterloo London SE1 8XR
「バッドリー・ドローン・ボーイ」のソングライター、デーモン・ゴフがサウンドトラックに全面参加。
他に、マーカスの母フィオナが好んで歌っていたのは、ロバータ・フラックの「Killing me Softly」。ベルをしつこく鳴らされたウィルがボリュームを上げていたのはU2.
Hugh Grant .... Will (30歳独身男)
Nicholas Hoult .... Marcus(Fionaの息子・12歳)
Toni Collette .... Fiona (マーカスの母)
Rachel Weisz .... Rachel (イラストレーター・シングルマザー)
Augustus Prew .... Ali (Rachelの息子・12歳)Sharon Small .... Christine (Willの妹)
Nicholas Hutchison .... John (Willの妹の夫)
Isabel Brook .... Angie(シングルマザー、Christineに紹介され付き合う)
Victoria Smurfit .... Suzie (SPATで知り合ったシングルマザー・Fionaの親友)
Nat Gastiain Tena .... Ellie(マーカスの気になる女の子)
Ben Ridgeway .... Lee(いじめっこ)
Mark Drewry .... Clive (マーカスの父)
Denise Stephenson .... Lindsey (マーカスの父の恋人)
Rosalind Knight .... Lindseyの母
オフィシャル・サイト
www.uipjapan.com/aboutaboy/
www.about-a-boy.com原作:『アバウト・ア・ボーイ』
ニック・ホーンビィ (著), 森田 義信 (翻訳)新潮文庫 ; ISBN: 4102202137 ; (2002/07/01)原作:_About a Boy_
Nick Hornby (著) ペーパーバック (2002/04) Riverhead Books『アバウト・ア・ボーイ 名作映画完全セリフ集スクリーンプレイ・シリーズ』
_About a Boy_
Nick Hornby (著), アラン・カミング!! (ナレーション)カセットテープ
カセット: サイズ(cm): 14 x 11
出版社: HarperCollins ; ISBN: 0001055003 ; Abridged Ed 版 (1998/04/20)
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