Cinema ロケ地別INDEX 俳優 A to Z 女優 A to Z Home

タイトル*


『ひかりのまち』 Wonderland (1999)

監督:マイケル・ウィンターボトム
脚本:Laurence Coriat
編集:Trevor Waite
音楽:マイケル・ナイマン

Story

11月初旬、ある週末のロンドン。ロマンスを求めて伝言ダイヤルで恋人探しをするナディア(27)は、ソーホーで働くウェイトレス。美容師の姉デビー(29)は離婚して息子(9)と二人暮らしだが、男の出入りが絶えない。元教師の妹モリーは臨月だが、夫エディは何か悩みを抱えている様子。三姉妹の両親は息子のダレンが家出して以来うまくいかず、母親は夫を罵ってばかり。心の奥に孤独を秘めた人々はさまざまな照明が溢れる夜のロンドンをさまようが・・・

撮影は手持ちカメラで照明もエキストラも一切使わないという徹底ぶりで、映画を撮っていると周囲に気付かれることなく生のロンドンの諸相をとらえた。

 

Check!

伝言ダイヤル

「私はナディア、27歳・・・まずはお友達から始めたいです。」恋人募集中のナディアは、伝言ダイヤルサービスにメッセージを登録してはロマンスの相手を探している。たとえばイギリスの情報誌Time Outなどをめくってみると、伝言ダイヤル業者の広告が山のように載っている。もっとも、このような媒体でやってくる男というのは、モテなそうなタイプや二股かけたりするいいかげんなタイプが少なくないのは、どこの国でも同じだが。

地下鉄

地中深く潜っている地下鉄のエスカレーターや階段は長い。よくエスカレーターの下や地下道で、小銭をもらう物乞いの姿もよく見られる。この作品にも子供がエスカレーターの下で小銭をねだる場面が。

サイズ6

デビーは"男探しパーティー"に行くのに「TopShop(店名)でサイズ6のトップを買う」と張り切っている。イギリスではサイズ8が日本の9号、サイズ10が11号くらい。デビーは小柄な方だが肉付きはいいので、サイズ6を着ればきっとボディラインもクッキリ。こんな台詞からも彼女の気合いが伝わってくる。

The Big Issue

金曜夜に街角で「Big Issue!」と声を上げている男の姿が。The Big Issueとは音楽や映画などエンターテインメント系の記事やエッセイを中心にした週刊誌で、売り子はほとんどホームレス。ホームレスに収入を与えて自立を助けるために始められた試み。
>>WebSite

ビンゴ・ホール

ナディアたちの母は、ひとりビンゴ・ゲームができるホールに出かける。イギリスではビンゴ・ゲームは大人気で、新聞に商品付きビンゴゲームが折り込まれてきたり、週末にはパブなどでビンゴ大会が開かれたりする。
参考:『ガールズ・ナイト』Girls' Night (1998) 特に地方都市では一大イベントに。

父子でフットボール(サッカー)観戦

ジャックは父ダン(母のデビーとはすでに離婚している)に連れられて、大好きなチーム"クリスタル・パレスFC"の応援に、セルハースト・パーク(競技場)に出かける。ダンは「アーセナルとかもっとましなのを応援しろよ」といいつつも、親子二代で同じチームに声援を送っているところがほほえましい。

>>Crystal Palace Football Club - Official Site
参考:Arsenal F.C.

スーパーSafeway

ナディアたちの父ビルは妻に冷遇されていて、ひとりで食料品の買い物に行かされている。その買い出しに行った先がスーパーのSafeway。隠し事が発覚して妻に責められたエディが「買い物に行って美味しい料理を作ってあげる」と出かけたスーパーもSafewayだった。
>>WebSite

移民の多い街ブリクストン

ビルとアイリーンの家があるのは、テムズ南岸のブリクストン。このあたりは移民が多い地域で、うるさい犬を飼っている隣の一家はポルトガル人家庭、ビルと仲の良いドナとその息子フランクリン親子も黒人。ドナやフランクリンが出かけた教会のミサに出席していたのはみな黒人ばかりだったので、それぞれの移民コミュニティが存在するのだろう。

誕生日に上京していたダレン

家出して久しいダレンは恋人のメラニーと誕生日を祝うために、ロンドンに遊びに来ていた。宿泊したのはウェストエンドにある高級ホテルランガム・ヒルトン。帰り際に駅から両親の家に電話する。駅の行き先表示板にマンチェスター。ミルトン・キーンズなどの文字が見えることから、ユーストン駅だと思われる。

The Langham Hilton
『ボヘミアの醜聞』、『四人の署名』などシャーロック・ホームズにもよく登場する高級ホテル

ボン・ファイヤー

父親の家に遊びに来ていたジャックは、ひとりで花火大会を見に出かけてしまう。場所はテムズ河近くの遊園地(移動遊園地?)。

この花火大会は11月5日のガイ・フォークス・デイ(Guy Fawkes Day)の催しかもしれない。17世紀初頭におこった火薬陰謀事件に起源を持つ行事で、子供たちはガイ・フォークス人形を引き回してかがり火を焚いたり、花火大会が催されたりする。詳しくはこちらをご覧ください。

ボン・ファイヤーに限らず、イギリスの花火大会は秋から冬に行われることが多い。

「次は福祉局だ」

ひとりで花火を見に出かけたジャック(9歳)は人込みの中で襲われ、ウォークマンなどを強奪されて警察に保護される。知らせを聞いて飛んできたデビーに警察は「次にこんなことがあったら福祉局に連絡する」と警告する。イギリスでは11歳以下の子供を家にひとりで留守番させたり、ひとりで遠くに出歩かせることを禁じる法律、児童保護法がある。親の監督が行き届かないとなると、強制的に親から引き離され施設に送られることも。
参考:『レディーバード・レディーバード』Ladybird Ladybird (1994)

ロケ地

[SOHO]
Fitchers & Piano(Dean street)・・・冒頭でナディアが伝言ダイヤルの相手と会ったピアノバー
Gerrard Street・・・チャイナ・タウンの中心。バーを飛び出したナディアが歩き回っていた通り
Old Compton Street・・・ナディアがウェイトレスとして働いているカフェのある通り
Shaftsbury Avenue・・・モリーが産気付いた場所

[ロンドン中心部]
Oxford Street・・・金曜日にエディが公衆電話(ピンクチラシでいっぱい)をかけていた場所。
Tottenham Court Road・・・フランクリンが勤める電器店のある場所。この周辺は秋葉原のような電器屋街。
Trafalger Square・・・ティムの家から帰る時、ナディアはここからナイトバスに乗った。後ろにナショナル・ギャラリーが見える。
Aldwych・・・ナディアが乗ったナイトバスが通ったところ
Embankment(WC2)・・・エディが深夜バイクで走っていた場所
Euston Station・・・ダレンが両親の家に電話をかけた、列車に乗り込んだ場所。
The Langham Hilton・・・ダレンが恋人と誕生日を祝って2泊した高級ホテル

[ロンドン南部]
Camberwell・・・ナディアのフラットがある場所。遠くにセントポール寺院が見える。
Newington Butts(SE1)・・・エディがバイク転倒事故を起こした場所。エレファント&カッスル駅近く
Brixton(SW9)・・・ナディアの両親や、ドナ&フランクリン母子が住んでいる
Vauxall・・・モリー&エディのフラットがあるところ。
Southwark Bridge・・・金曜夜にエディが佇んでいた橋。セントポール寺院やロンドン塔が見える。
Selhurst Park・・・ダンとジャックがCrystal Palaceのサッカー観戦に行ったスタジアム。

 

音楽

マイケル・ナイマンのスコアが美しい。挿入歌としてPulpやマッシヴ・アタックも。

>>Soundtrack
>>マイケル・ナイマンのCDを検索

 

Awards

英Independent Film Award:最優秀英国映画賞受賞、2部門ノミネート(監督賞・主演女優賞)

 

キャスト

Shirley Henderson .... Debbie(長女・29歳・美容師)
Gina McKee .... Nadia(次女・27歳・ウェイトレス)
Molly Parker .... Molly(三女・元教師)
Kika Markham .... Eileen(母)
Jack Shepherd .... Bill(父)
Enzo Cilenti .... Darren(ナディアたちの弟・家出中)

Ian Hart .... Dan(デビーの元夫)
Peter Marfleet .... Jack (デビーの息子)
John Simm .... Eddie(モリーの夫)
Stuart Townsend.... Tim(ダブリン出身のカメラマン)
Sarah-Jane Potts .... Melanie(ダレンの恋人)
David Fahm .... Franklyn (ナディアの両親の近所に住む黒人青年)
Ellen Thomas .... Donna (フランクリンの母)

(1999年 イギリス 109分)

OfficialSite(アスミック

Soundtrack

DVD(国内盤)あり


『ビューティフル・ピープル』 Beautiful People (1999)

監督・脚本:Jasmin Dizdar・・・ボスニア出身。現在はイギリスに帰化。

 

Story

ロンドンに逃れてきたボスニア難民たちと、その周囲のイギリス人たちとの関わりを、同時進行でおこる5つのエピソードを通して描いたスピード感溢れる作品。ひとつひとつのエピソードは独立しているように見えながら、実は微妙にリンクしているところが面白い。

[エピソード1]
偶然バスに乗りあわせたセルビア人とクロアチア人が、ボスニア紛争の恨みをそのままロンドンに持ち込んで大喧嘩をはじめる。大怪我をしたふたりは病院に担ぎ込まれ、なんと同じ病室に入院させられてしまう。隙を見ては相手を殺そうと虎視耽々と機会を窺うが、そこにもうひとりの同室患者ウェールズ人テロリストもからんで大混乱に。

[エピソード2]
ジャンキー(麻薬中毒)でフーリガン(熱狂的なサッカーファン)なグリフィンは、真面目を絵に描いたような両親の悩みの種。ワールドカップ予選でイングランドチームを応援するために、フーリガン仲間と試合のあるロッテルダムまで繰り出す。ところがイングランドが負けたせいで彼らは大荒れ。やけになってパブのトイレでヘロインを注射して意識が朦朧としたまま空港へ向かい、仲間とはぐれたグリフィンはばったりと貨物の中に倒れ込んでしまう。ところがその貨物は国連軍のボスニア救援物資。目が覚めたら戦場の真っ只中にいた・・・!

[エピソード3]
生活保護手続きをするために役所に行ったボスニア難民のペロ。英語が不自由な彼は思わぬトラブルに巻き込まれ、交通事故に遭い病院へ。彼の担当になった魅力的な研修医ポーシャは上流階級出身だったが、いつしかふたりは恋に落ちる・・・。

[エピソード4]
産婦人科医モルディは、妻が家を出ていってしまったため双子の男の子の世話で多忙な日々。そんな彼の元にやってきたのは暗い顔をしたボスニア人妊婦ジャミラと彼女を気遣う夫のイズメット。幸せな新婚生活を送っていた彼女は、民族浄化の名のもとに集団レイプされ、敵の子供を身ごもってしまったのだ。ふたりは胎児を堕ろしたいと相談に来たのだが・・・

[エピソード5]
BBC特派員のジェリーは妻の反対を押し切って、危険なボスニア紛争の現場を取材するために野戦病院を訪れていた。麻酔も無しに足を切断せざるを得ない戦場の阿鼻叫喚。自らも足に銃弾を受けてしまったため帰国するが、ロンドンに戻った後も何だか様子がおかしい。あまりの惨状を目の当たりにして心理的ショック状態に陥ってしまったのだが・・・。

Check!

設定は1993年

当時の首相は保守党のJohn Major氏(在任期間1990-1997)。

グリフィンたちが応援に行ったワールドカップ予選(イングランド対オランダ戦/会場はロッテルダム)は、実際に1993年10月13日に行われており、イングランドが0対2で敗れているそうだ。この93年秋はボスニア紛争が特に激化した時期だとか。
*オフィシャルサイト記事より

フーリガン

熱狂的なサッカーファンのことで、国粋主義的であることが多い。グリフィンのようにスキンヘッズにしている者も少なくない。国際試合にも自国チームの応援に駆けつけ、行く先々で暴れまわることで有名。グリフィンはリネカー選手の大ファンであるらしく、彼の背番号である10番をつけたユニフォームを着ている。

ボスニアからハシム少年を連れて戻った彼は、サッカーファンが集まるパブに連れて行き、「僕らのチームはトッテナム・ホットスパー」と言いながら、ハシムの顔にイングランドの旗(白地に赤十字の聖ジョージ旗)をペイントしてあげる。
Tottenham Hotspur F.C. (WebSite)

グリフィンの両親

父親は小学校の校長、母親は平凡な主婦・・・と、いかにもお堅い中産階級の家庭

民族浄化

ボスニアでは「民族浄化」として、女性だけを集めた収容所で計画的に暴行させることがあったらしい。若妻ジャミラもその犠牲者。

国連軍の援助

紛争地域にパラシュートを付けた救援物資を投下する国連軍。喜んだ村人たちが中を見ると、役に立たないカミソリばかりだったりする。

上流階級の偽善

偏見にとらわれない気さくな研修医ポーシャは、実は上流階級の令嬢。実家のインテリアも剥製の熊やたくさんの絵画・・・と、いかにもポッシュな雰囲気。ペロを招いた日は、食卓に野生の鹿のローストが。

ポーシャの父は保守党議員。彼の愛読紙はDaily Telegraphで、その父親(ポーシャの祖父)はThe Timesを読んでいる。TVや公の席では理解あるインテリを気取っていながら、本当はマイノリティに対する偏見がありあり。「有名人にも隠れカソリックがいるから」と、難民だけでなくカソリックにも差別意識がある。(イングランドでは少数派であるカソリックは、一段低く見られていることが多い。)

家族一同スノッブ(俗物主義的)で、まだ英語が不自由で気の利いた言いまわしが出来ないペロの言葉づかいをいちいち訂正する。
たとえば「トイレに行きたい(I go toilet)」というペロを、「そういう時は"失礼します(Excuse me)"って言うんだよ」とたしなめたり、「skill」という単語をわざわざ「capability」といった大仰な言葉(big word)に次々と置き換えていったりして、とっても嫌味。

移民局による国外追放

ペロとポーシャは、ペロの隣人オテッサが移民局により国外追放になるところを目撃してしまう。不況のためもあってか、イギリス政府は外国人不法労働者に厳しく、空港でも入国審査官が質問を繰り返し、少しでも不審な点があるとその場で送り返すということで知られている。

ウェールズ人の誇り

イングランドに敵意を燃やすウェールズ人テロリスト曰く、「イングランド人は仕事、石炭、水、プライドを奪ったが、言葉を奪うことだけは成功しなかった。」
ウェールズは良い石炭の産地として有名。年にエドワード一世に征服されていらい、イングランドの支配下に入ったが、現在でもウェールズ語を使用しつづけている。ウェールズに行くと看板はすべてウェールズ語と英語の二カ国語表記。ウェールズを舞台にしたヒット作品『ツイン・タウン』でもウェールズ語と英語の両方を話している。

朝食のいろいろ

ポーシャの家の上品な朝食、妻に逃げられたモルディ医師が双子に食べさせる缶詰のベイクドビーンズ、中産階級のグリフィンの父の朝食には「HPソース」が。

モルディ医師宅の近所を見ると、バラが咲き乱れていたりして、ガーデニングに力を入れている家が多そう。(実はその隣がグリフィンの家だったりする)

ボスニア戦争とイギリス関係の映画

『ウェルカム・トゥ・サラエボ』Welcome To Sarajevo(1997)
ITV特派員の著書を映画化。マイケル・ウィンターボトム監督作品

『ソルジャー/魂の銃弾』Shot Through the Heart (1998)
『司祭』のライナス・ローチと仏俳優ヴァンサン・ペレーズが、幼なじみでありながら民族の違いによって敵対していく悲劇を演じる。
国内版ビデオ:オンリーハーツより発売中。海外ビデオはこちら

 

音楽

ワールド・ミュージック的なポップな味わいの曲が多くて楽しめる
Garry Bell
Ghostland
Kirsty MacColl"Sail Away"・・・Randy Newmanのカバー
Marta Sebestyen
Outback
Roy Henley
その他:エルガーの『威風堂々』

ロケ地

ロンドン

Awards

1999年カンヌ映画祭「ある視点」部門グランプリ
1999年 カルロバルビロリ国際映画祭 全キリスト教会賞
1999年 エジンバラ国際映画祭正式出品作品
1999年 トロント国際映画祭正式出品作品

キャスト

Faruk Pruti .... クロアチア人
Dado Jehan .... セルビア人
Nicholas McGaughey .... ウェールズ人テロリスト
Linda Bassett .... 看護婦

Danny Nussbaum .... Griffin Midge (ジャンキーのフーリガン)
Roger Sloman .... Roger Midge(Griffinの父・教師)
Heather Tobias .... Felicity Midge(Griffinの母)
Steve Sweeney .... Jim (Griffinのフーリガン仲間)
Jay Simpson .... Bigsy (Griffinのフーリガン仲間)
Niell Ivers .... Hashim (Griffinが連れてきた少年)

Edin Dzandzanovic .... Pero (元兵士)
Charlotte Coleman .... Portia Thornton(研修医)
Charles Kay .... George Thornton (Portiaの父・保守党議員)
Rosalind Ayres .... Nora Thornton (Portiaの母)
Julian Firth .... Edward Thornton
Eaward Jewesbury .... Joseph Thornton

Nicholas Farrell .... Dr. Mouldy (医師)
Melee Hutton .... Mrs Mouldy(モルディ医師の妻)
Walentine McGaughey .... Dzemila (ボスニア人妊婦)
Radoslav Youroukov .... Ismet (Dzemilaの夫)

Gilbert Martin .... Jerry Higgins (BBC特派員)
Siobhan Redmond .... Kate Higgins (前衛芸術家・Jerryの妻)
Jessica Brandon .... Chloe Higgins (JerryとKateの娘)
Jonny Phillips .... Brian North (Jerryの同僚)
Andrew Logan .... サイコセラピスト

ジャミラ役で強烈な印象を残すWalentine McGaugheyは、ハンバーガーショップWimpyの店員だったそうだ。

(1999年 イギリス 107分)

Official Site(Japanese/English)


『秘密』Waterland (1992)

監督:Stephen Gyllenhaal
脚本:Peter Prince
原作:Graham Swift 小説_Waterland_
音楽:Carter Burwell・・・『ビッグ・リボウスキ』『ゴッド・アンド・モンスター』

Story

1974年のアメリカ・ピッツバーグ。アメリカに来て20年以上にもなる中年の歴史教師トム・クリックの妻、メアリーはある日とんでもない行動に出る。トムは反抗的な教え子マシューと対峙しているうちに、秘めた記憶が蘇ってくる。

第二次大戦下、イーストアングリア地方(イングランド東部)に広がるFensと呼ばれる干拓地。若い性を貪りあう16歳のトムとメアリー。トムには軽い知的障害を持つ兄ディックがおり、彼もメアリーに興味を持っているようだった。やがてディックをめぐる、トムの母方の先祖の暗い秘密が明らかになっていくが・・・

 

Check!

the Fens

イーストアングリア地方(イングランド東海岸)にある広い干拓地・沼沢地のこと
兄のディックは干拓作業員として、父のヘンリーは水門の管理人として働いていた。

ウナギ

ウナギ取りをする場面が何度か出てくるが、イギリス人は意外に(?)ウナギを好む人が多い。調理法としては「Jellied eel」というウナギを煮たものが人気(特に労働者階級に)。

イースト・アングリア地方は、昔からウナギとの関わりが深い。この地方にある900年の歴史を持つ大聖堂で有名な町"Ely"の語源は、怠け者の僧侶が罰としてウナギ(eel)に変えられたという言い伝えから。

母方の祖父Ernest Atkinson

アーネストは三代に渡ってビール"Atkinson Ale"を醸造してきた裕福な実業家。ジョージ五世(1910-1936)の戴冠の祝賀ムードに熱狂する群集によって、醸造所が放火されてしまう。Noblis Obligeの精神だろうか、醸造を止めた屋敷は、第一次大戦(1914-1918)後に戦争傷病者のための施設として提供される。

望まぬ妊娠

イギリスでは1967年まで堕胎行為は違法だったため、この時代は民間療法的なものに頼るか、モグリの医者に莫大な謝礼を払って処置してもらうしかなかった。
参考:『アルフィー』 Alfie (1966)

その他

ジェレミー・アイアンズの衣装提供は、ラルフ・ローレン。

1970年代のトムとメアリーを演じたジェレミー・アイアンズとシニード・キューザックは、実生活でも夫婦。

 

ロケ地:ノーフォークを中心に

Walsingham, Norfork

Hockwell Station

Sprowston Manor Hotel, Norwich

草創は1559年まで溯れる由緒あるマナーハウスで、19世紀に再建された。レストランふたつ、プールやスパ(温泉)などの設備も充実。釣りやゴルフも楽しめる。客室数87。シングル105ポンドより。
Wroxham Road, Norwich, Norfolk NR7 8RP

The Hampshire Hotel, London

5つ星クラスの高級ホテル。
Leicester Square, London WC2H 7LH

ピッツバーグ(アメリカ)

 

キャスト

(現在・1974年)
Jeremy Irons .... Tom Crick
Sinead Cusack .... Mary Crick (Tomの妻)
Ethan Hawke .... Mathew Price (Tomのクラスの生徒)
John Heard .... Lewis Scott (Tomの学校の校長)

(回想・第二次大戦中)
Grant Warnock .... Tom Crick
Lena Headey .... Mary(Tomのガールフレンド)
David Morrissey .... Dick Crick (Tomの兄)
Pete Postlethwaite .... Henry Crick (Tomの父)
Stewart Richman .... Ernest Atkinson (Tomの母方の祖父・ビール会社経営)
Siri Neal .... Helen Atkinson (Tomの母)
Callum Dixon .... Freddie Parr (Tomの幼なじみ・密売屋)
Matyelok Gibbs .... Martha Clay

(1992年 英=米 92分)

Video
Book/_Waterland_ by Graham Swift
Audio Cassette/ナレーター:Christian Rodska

原作_Waterland_についての資料があるサイト
http://landow.stg.brown.edu/post/uk/gswift/wl/wlov.html

 


『ビギナーズ』 Absolute Beginners (1986)

監督:ジュリアン・テンプル
脚本:Richard Burridge/Don MacPherson/Christopher Wicking
原作小説:Colin MacInnes
音楽:ギル・エヴァンス

Story

舞台は1958年のロンドン・ソーホー地区。戦後の混乱から抜け出し、階級や所得、人種、セクシュアリティの垣根を越えたティーンエイジャーの文化が花開こうとしていた時代のこと。19歳の若きカメラマンのコリンはそんなボヘミアン生活を謳歌していた若者の一人だったが
、恋人のシュゼットがファッション・モデルとして抜擢されて離れてしまった心の隙間を埋めるように、芸能界やビジネスの世界に足を踏み入れるように。 やがて移民排斥運動や彼が住んでいたノッティングヒル界隈の再開発計画の後ろにいる黒幕の存在に気づき・・・

数々のミュージシャンのビデオ・クリップを手がけてきたジュリアン・テンプルによる、MTVを思わせるポップとジャズを融合させたミュージカル。 エイス・ワンダーのヴォーカル、パッツィ・ケンジットをヒロインに迎え、デビッド・ボウイやシャーデーも出演。

Check!

移民排斥運動とノッティングヒルの暴動

コリンが暮らしていた"ナポリ"と呼ばれる下町は、ノッティング・ヒル界隈のことらしい。 この場所を指して「W11」や「ノッティング・ヒル」という台詞も出てくる。

現在のノッティング・ヒルは週末ごとに世界中から観光客を集め、セレブレティや業界人がこぞって住居を構える高級住宅地だが、1950年代後半にはこの地域で実際に人種間の対立を原因とする暴動が起きる不穏な空気が漂っていた。当時急増していたカリブ系移民を排斥しようとする動きに反発してのことだった。

ブルー・プラーク

ブルー・プラークとは、かつてそこに歴史上重要な人物や有名人が住んでいたことを示す青い円形の看板。

芸能プロの社長ハロルドは、家の壁にブルー・プラークを模した丸い看板をつけている。「ハロルド・チャームズのStable Homes」と。
ウィズが商売をしているフラットには、シェリーのブルー・プラークが付いている。

ロケ地

ロンドン・ソーホー

音楽

デビッド・ボウイ「Absolute Beginners」「That's Motivation」
エイス・ワンダー(パッツィ・ケンジット)Having it All
シャーデー(歌手役で出演)「Killer Blow」
スタイル・カウンシル「Have you ever had it blue」

キャスト

Eddie O'Connell .... Colin(カメラマン)
Patsy Kensit .... Suzette(モデル)

James Fox .... Henley of Mayfair (ファッション・デザイナー)
David Bowie .... Vendice Partners (不動産ディベロッパー)
Ray Davies .... Arthur
Mandy Rice-Davies .... Flora
Eve Ferret .... Big Jill (レズ)
Tony Hippolyte .... Mr Cool (黒人トランペッター・コリンの友人)
Graham Fletcher-Cook .... Wizard "ストリートの落し子"
Joe McKenna .... Fabulous Hoplite "下町のオスカーワイルド"
Steven Berkoff .... The Fanatic
Sade .... Athene Duncannon (歌手)
Edward Tudor-Pole .... Ed the Ted (リーゼントのテディ・ボーイ)
Bruce Payne .... Flikker (移民排斥運動に加担する男)
Alan Freeman .... Call-Me-Cobber (TVプロデューサー)
Anita Morris .... Dido Lament (アメリカ人女性ゴシップライター)
Paul Rhys .... Dean Swift (ミュージシャン)
Julian Firth .... The Misery kid
Chris Pitt .... Baby Boom
Lionel Blair .... Harry Charms (芸能プロ社長)
Gary Beadle .... Johnny Wonder
Robbie Coltrane .... Mario

参考文献・ソフト

国内盤DVD

 

(1986年 イギリス 107分)


Cinema ロケ地別INDEX 俳優 A to Z 女優 A to Z Home

Copyright (c)1998 Cheeky All Rights Reserved
当サイトに掲載されている情報・記事・画像など、全ての内容の無断転載を禁止します。
引用される際は、必ず出典として当サイト名とURLを明示してください。