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タイトル*


『チキ・チキ・バン・バン』Chitty Chitty Bang Bang (1968)

監督・脚本:ケン・ヒューズ
脚本:ロアルド・ダール
原作:イアン・フレミング
音楽:Richard M. Sherman / Robert B. Sherman
プロダクションデザイン:Ken Adam

Story

夢多き発明家ポッツ氏は少々変わり者だが、妻亡き後は男手ひとつでふたりの子供たちを育て上げた良き父親。子供たちにせがまれてポンコツ車を買い取り、独自の改造を加えてレストアし「チキ・チキ・バン・バン」と名付ける。最初は喧嘩ばかりしていた製菓会社の勝ち気なお嬢さまトゥルーリーとも、家族ぐるみでいい雰囲気に。ある日トゥルーリーと子供たちを連れて海岸でハイキングをしていた時、外国から船でやってきたボンバスト男爵にチキ・チキ・バン・バン号を狙われ・・・

007シリーズの原作者として知られるイアン・フレミングの童話をミュージカル化。

 

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車が貴重品だった時代

車がまだ一握りの金持ちか好事家のものだった時代の物語。トゥルーリーのような資産家の娘でなければ、当時は女性がひとりで車を運転するなど考えられなかっただろう。チキ・チキ・バン・バン号は蒸気機関車より速く走れ、海も空も自在に制覇できる名車。

ボンバスト男爵のスパイたち

男爵の命を受けてふたりのスパイがチキ・チキ・バン・バン号を奪おうと潜入する。「イギリスに来たらすることは?」「クリケットだ。」「いや、イギリス人に変装することだ!」・・・そして出来上がったふたりの変装は、あまりにステレオタイプな服装で、その怪しい態度とあいまって笑いを誘う。

ヴァルガリア国=ドイツ?

ボンバスト男爵の居城のロケに使われているのは、何とあの有名なノイシュヴァンシュタイン城(ルードヴィヒ2世が建築)。町の人々の服装もドイツ的で、男爵はスパイたちに「失敗したら頭にザワークラウト(ドイツの伝統的な食べ物。キャベツの酢漬け)を詰め込んでやる」と言って脅す。

ロケ地

Turville windmill, Buckinghamshire・・・ポッツの家

Hambledon, Buckinghamshire

Russell's Water, Buckinghamshire

Oxfordshire

ホワイトクリフ(イングランド南岸)・・・チキ・チキ・バン・バンが飛び立つ場面

ドイツ:ノイシュヴァンシュタイン城/Rohrbach, Rhineland-Palatinate

フランス

Awards

米アカデミー賞:音楽賞ノミネート
ゴールデングローブ賞:歌曲賞、作詞・作曲賞ノミネート

キャスト

Dick Van Dyke .... Caractacus Potts(発明家)
Sally Ann Howes .... Truly Scrumptious(製菓会社の社長令嬢)
Heather Ripley .... Jemima (Caractacusの娘)
Adrian Hall .... Jeremy (Caractacusの息子)
Lionel Jeffries .... Grandpa Potts (Caractacusの父)
James Robertson Justice .... Lord Scrumptious (製菓会社社長・Trulyの父)
Gert Frobe .... Bomburst男爵
Anna Quayle .... Bomburst男爵夫人
Benny Hill .... Vulgariaの玩具職人
Robert Helpmann .... VulgariaのChild Catcher
Alexander Dore .... スパイ1
Bernard Spear .... スパイ2
Desmond Llewelyn .... Coggins

参考資料とソフト

imdb.com/Title?0062803

DVD

(1968年イギリス144分)


『チキン・ラン』 Chicken Run (2000)

製作・監督・原案:ピーター・ロード / ニック・パーク
脚本:Karey Kirkpatrick

Story

舞台はヨークシャーにあるとあるトゥイーディー養鶏場。強権を振るう冷酷な女主人の支配下で、鶏たちは囚人のように管理された暮らしを強いられていた。勇気ある雌鳥ジンジャーはあらゆる手段を使って脱走しようとしていたが、その度に連れ戻されてしまう。

ある日巡業中のサーカス団から逃げ出してきた"空飛ぶニワトリ"ロッキーが、この養鶏場に飛び込んできた。彼に空の飛び方を特訓してもらって、全員でここを逃げ出したい!ニワトリたちは一念発起、日々飛行訓練に励むようになるが、卵を産む量が少なくなってきたことに業を煮やしたトゥイーディー夫人は、恐るべきチキン・パイ製造マシーンを導入しようとしていた。絶体絶命のニワトリたちに明日はあるのか・・・?!

クレイ・アニメ「ウォレスとグルミット」シリーズのアードマン・アニメーションズがスピルバーグ率いるドリームワークスと組んだ新作長編。

 

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アードマン・スタジオ

1972年に学校の同級生だったピーター・ロード(当時16歳)とデヴィッド・スプロクストンによって設立。1985年にニック・パークが参加、ピーター・ゲイブリエルのビデオ・クリップ「スレッジ・ハンマー」で注目を集める。アードマンの仕事として最も知られるのは「ウォレスとグルミット(グロミット)」シリーズ。米アカデミー賞を初めとして数々の輝かしい受賞暦を誇る。

『チーズ・ホリデー』A Grand Day Out (1989)23分
1990年アカデミー賞アニメーション部門最優秀賞ノミネート
1990年ブリティッシュ・アカデミー・フィルム&テレビジョン・アーツ(BAFTA)グランプリ
1990年ザグレブ映画祭アニメーション部門グランプリ

『ペンギンに気を付けろ!』The Wrong Trousers (1994)29分
1993年シカゴ映画祭グランプリ
1994年アカデミー賞アニメーション部門最優秀賞受賞
1994年ザグレブ映画祭グランプリ

『ウォレスとグルミット、危機一髪』A Close Shave (1996)31分
1995年ブリティッシュ・アカデミー・フィルム&テレビジョン・アーツ(BAFTA)グランプリ
1996年アカデミー賞アニメーション部門最優秀賞受賞
1996年サンフランシスコ国際映画祭ゴールデンゲート賞受賞

Wallace & Gromit日本語オフィシャルサイト
http://global-rights.co.jp/WandG/

アードマン

ノーム

脱走を企てていたジンジャーが、追いかけてきた犬にくわせたのは、"ノーム"と呼ばれる陶器製の小人の人形。イギリスではよく庭に置いて飾りにする。『フル・モンティ』にも登場。

RAF

ファウラーが昔在籍していたというRAFとは、Royal Air Force(英国空軍)のこと。

RAF: http://www.raf.mod.uk/

『ブレイブハート』の名台詞

空飛ぶ雄鶏ロッキーが何処から来たのかと尋ねられた時「自由(freedom!)の国からだ」と答えると、「スコットランドか?」と聞き返される。これは、ロッキーの声をあてているメル・ギブソンがスコットランドの英雄ウィリアム・ウォレスを演じた映画『ブレイブハート』Braveheart(1995)でも「Freedom!」と叫んだ場面があったことを踏まえたジョークだろう。

また、ロッキーについての「第一、奴はヤンキーかどうかもわからないぞ」なんていう台詞も、NY生まれだがオーストラリア育ちのメル・ギブソンを意識したものだろう。

チキン・パイ

鶏肉を野菜と一緒にソース煮込んで、パイ生地をかぶせて焼いた料理"チキン・パイ"は、パブのメニューや家庭料理でもおなじみの定番英国料理。この映画ではグレービーソースで煮込んでいるが、クリーム・ソースで煮込むのも美味しい。この料理に使うパイ生地"パフ・ペイストリー"の作り方はこちら。

地名表示板

組み立てた飛行機のプロペラに"ランカスター"や"ハリファックス"という地名のついた看板が使われていた。

声優の魅力

ド迫力の養鶏場の女主人を演じたのは、『スリーピー・ホロウ』でも鬼気迫る演技を見せたミランダ・リチャードソン。ジュリア・サワラ(ジンジャー)とジェイン・ホロックスは、ともにイギリスの人気コメディ「アブソルートリー・ファブラス」のレギュラー。ちなみにジュリア・サワラとベンジャミン・ウィットロウ(ファウラー)は、BBCの人気ドラマ『高慢と偏見』でも共演。映画にTVに活躍するイメルダ・ストーントン、『さらば青春の光』のフィル・ダニエルズ、『秘密と嘘』のティモシー・スポールなど、豪華声優陣が魅力。できればぜひ吹替えでなく字幕版でご覧ください。

キャスト

Tony Haygarth .... Mr Tweedy (養鶏場主人)
Miranda Richardson.... Mrs Tweedy (養鶏場主人)

[養鶏場の鶏たち]
Julia Sawalha .... Ginger
Imelda Staunton .... Bunty (卵を産むのが得意)
Jane Horrocks .... Babs (いつも編み物をしている)
Benjamin Whitrow .... Fowler (RAF出身?)
Lynn Ferguson .... Mac (数学が得意・眼鏡をかけている)

Mel Gibson .... Rocky Rhodes (ロード・アイランド出身のヤンキー雄鶏)

[便利屋のネズミたち]
Timothy Spall .... Nick the Rat
Phil Daniels .... Fetcher the Rat

参考資料とソフト

uk.imdb.com/Title?0120630

オフィシャルサイト(英語日本語)

アードマン

(2000年 イギリス 84分)


『チャーリー』 Chaplin (1992)

監督:リチャード・アッテンボロー
原作:
Charles Chaplin _My Autobiography_
David Robinson _Chaplin: His Life and Art_
音楽:ジョン・バリー

Story

イギリスでの極貧にあえいだ幼少期の思い出から、ハリウッドでの輝かしい成功と赤狩りによるアメリカ追放、そしてスイスでの晩年・・・喜劇王チャーリー・チャップリンの生涯を描いた伝記映画。

 

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Charles Chaplin

1889年4月16日、ロンドンの貧民街ランベス地区に生まれる。(Kennington Road287番地に記念のプレートが。) 父チャールズと母ハナはミュージックホールの芸人で、この作品の"The Honeysuckle and The Bee"の場面で描かれているようにチャーリーは1894年に5歳で初舞台を踏む(Aldershot, Hampshire)。チャーリーが7歳の時に母は精神に異常をきたし、彼と異父兄のシドニーは孤児院に預けられる。その後ミュージカル劇団などを経て、17歳の時にフランク・カーノー率いるヴォードヴィル劇団に加わり人気を博す。

カーノ一座のアメリカ巡業中に喜劇映画の名プロデューサーであるマック・セネットに気に入られ、1913年に彼と契約を交わしてハリウッドに進出。以降、大スターとなり数々の映画作品を生み出してゆく。しかし、1952年にいわゆる"赤狩り"によってハリウッドを追われ、そのままスイスに移住。後年になってアメリカでも彼の名誉が回復され、1972年には米アカデミー賞(特別賞)を受賞、1975年には本国イギリスでナイトの位を授けられる。1977年12月25日、スイスのVeveyで死去。

しばしばチャーリーはユダヤ系とも書かれているがこれは誤りで、彼の異父兄シドニーの父親がユダヤ人だったとか。シドニーは後にアメリカに渡ったチャーリーのマネージャーを務める。

チャップリンをめぐる女たち

Mildred Harris(結婚:1918-1920)
チャップリン28歳、ミルドレット16歳で結婚

Lita Grey(結婚:1924-1927)
チャップリン35歳、リタ16歳で結婚
15歳で彼の子を妊娠。1924年に正式に結婚した。 結婚生活は三年で破局したが、リタはチャップリンとの間にふたりの男の子(俳優Syd ChaplinとCharles Chaplin Jr)をもうけている。

Paulette Goddard (結婚:1933-1942)
チャップリン44歳、ポーレット19歳で結婚

Joan Barry
チャップリンに付きまとい、次第に精神を病んでいく女性。血液鑑定で否定されたにもかかわらず、チャップリンは彼女のお腹の子の養育費を払うように裁判所に命じられる

Oona O'Neill (結婚:1943-1977)
チャップリン54歳、ウーナ18歳で結婚
作家のユージン・オニールの娘。8人の子供をもうける(女優Geraldine Chaplinを始めとしてJosephine、Christopher、Jane、Eugene、Michael、Victoria、Annette-Emilie)

カーノ一座での生活、芸人への差別

ロンドンの「ハックニー・エンパイア」に出演しているところが描かれている。www.hackneyempire.co.uk

舞台の後、チャーリーとヘティは紳士淑女のようななりをして(実は舞台衣装)、高級レストランに行く。ところが、彼らが芸人だとわかったとたん、レストランの案内係は"予約が入っていない"と追い返してしまう。

イギリスへの凱旋帰国、パブのある風景

ハリウッドで喜劇王としての名声を勝ち得ていたチャーリーは、1921年に祖国イギリスを訪れる。 駅には彼をひと目見ようと詰め掛けた群衆に出迎えられた。

パブに行ったところ、「戦争中ももうけていたんだろう」と絡まれ嫌な思いをする。第一次大戦は近代イギリスが体験した最大の消耗戦となり、精神的にも物理的にも大きな傷跡を残していた。そんな時に第一次大戦の戦場から遠く離れたアメリカにいたチャーリーに対し、酔っ払いたちもつい絡みたくなったのかもしれない。

イギリスのパブは中が二つにしきられているものがあり、労働者階級がわいわいと集まる"パブリック・バー"と、少し内装が小奇麗で中産階級がゆったりと落ち着いて飲める"サルーン・バー"と呼ばれるスペースに分かれている。 貧民街で育った芸人のチャーリーは、昔だったら労働者階級側の入口から入っていただろうが、成功した今となっては"サルーン"側で飲む身分に。彼にからんできた男は"パブリック・バー"側のスペースで飲んでいた。

イギリス国籍へのこだわり

30年間アメリカに住んでいながら、アメリカ国籍取得を申請しなかった。このこともチャーリーが非米活動委員会に睨まれる原因となった。

 

ロケ地

St Pancras Chambers, St Pancras Station, London

Cliveden Reach, Cliveden Estate, Buckinghamshire

Smithfield Market, London(EC1)
ヘティと一緒にコヴェント・ガーデンに行く場面

Cheney Road, behind Kings Cross Station, London
チャップリン一家が住む地域として

Wilton's Music Hall, London
ミュージック・ホールの場面
1 Grace's Alley,Wellclose Square,London E1 8JB

その他、スイス(Vevey)、アメリカなど

 

Awards

1993年英アカデミー賞・主演男優賞受賞(R.ダウニーJr.)ほか、3部門ノミネート
米アカデミー賞3部門ノミネート
ゴールデン・グローブ賞3部門ノミネート

キャスト

Robert Downey Jr. .... Charlie Chaplin
Anthony Hopkins .... George Hayden (自伝の編集者)

[チャップリンをめぐる女たち]
Moira Kelly .... Hetty Kelly(初恋の人)/Oona O'Neill(最後の妻)
Milla Jovovich .... Mildred Harris
Deborah Moore .... Lita Grey
Diane Lane .... Paulette Goddard
Nancy Travis .... Joan Barry(精神を病んだ)

[イギリス時代]
Geraldine Chaplin .... Hannah Chaplin(チャーリーの母)
Paul Rhys .... Sydney Chaplin (チャーリーの異父兄)1885-1965
John Thaw .... Fred Karno (座長)
Mary Healey .... Mrs. Karno

[ハリウッド時代]
Kevin Kline .... Douglas Fairbanks(俳優・チャーリーの親友・Maryの恋人)
Maria Pitillo .... Mary Pickford"アメリカの恋人"と呼ばれた人気女優
Dan Aykroyd .... Mack Sennett (喜劇映画のプロデューサー) 1880-1960
Marisa Tomei .... Mabel Normand(女優)
Penelope Ann Miller .... Edna Purviance(女優)
Kevin Dunn .... John Edgar Hoover (FBI長官)
Jack Ritschel .... William Randolph Hearst (メディア王)
Heather McNair .... Marion Davies(女優・ハーストの愛人)
James Woods .... Lawyer Scott(Joan Barryの弁護士)

参考資料とソフト

imdb.com/Title?0103939

DVD

(1992年 英=米 143分)


『血を吸うカメラ』 Peeping Tom (1960)

監督:マイケル・パウエル『天国への階段』『黒水仙』『赤い靴』
原案・脚本:レオ・マークス
撮影:オットー・ヘラー『マダムと泥棒』『国際諜報局』『パーマーの危機脱出』
音楽・ブライアン・イースデイル『赤い靴』『黒水仙』

Story

映画撮影スタジオでカメラマンとして働きながら、時折いかがわしい写真を撮影するバイトもこなす青年マーク。子供の頃学者だった父の実験台にされたために心に深いトラウマをかかえ、公園にいるカップルを覗き見したり、断末魔の女性の表情をフィルムに納めて喜ぶような、歪んだ性癖を持つようになってしまった。階下に住む若い女性ヘレンとの恋を育てながらも、娼婦、女優の卵、モデルなど次々に犠牲者を増やしていくが・・・。

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"Peeping Tom"とは 〜コヴェントリーのレディ・ゴダイバ〜

原題の"Peeping Tom"とは、覗き屋、出歯亀のこと。

この表現には由来がある・・・11世紀にイングランド中部コヴェントリーの領主が領民に重い税金をかけようとした時、その奥方であるゴダイバ夫人(Lady Godiva)が民を苦しめないで欲しいと懇願した。 領主は妻に"おまえが裸で町を一周できるなら考え直してやる"と冗談交じりに言ったのだが、夫人はそれを実行してしまった。お優しいゴダイバ夫人が恥ずかしい思いをしないように、みな通りに面した窓を閉じ、彼女は人っ子ひとりいない町内を馬に乗って裸で一周した。めでたしめでたし・・・のはずだったが、ただひとり洋服屋のトムという男が裸のゴダイバ夫人を覗き見していたのだ。 覗き屋トム(Peeping Tom)は罰が当たって目が潰れてしまった。・・・高級チョコレート「ゴディバ」の名の由来も、このコヴェントリーの伝説にある。ゆえにゴディバの商品には、髪を長く垂らした裸の女性が馬に乗っているマークがつけられているのだ。

「ニュースエージェント」

News Agentとは、イギリスの街角によくある新聞雑誌販売店のこと。お菓子やタバコ、その他小物も一緒に売っていることが多い。(この映画でも少女がお菓子を買いに来る場面がある)

新聞あれこれ

イギリスでは、その人がどんな新聞を読んでいるかで、階級や思想が明確に区別できる。

The Observer
(殺人現場を撮影していた"どこの記者だ?"と聞かれたマークが、反射的に"The Observerだ"と答えて納得される場面がある)
政治的にはやや左(労働党)寄りで、インテリ層に好まれる毎週日曜発行のクオリティ・ペーパー(高級紙)。現在は"The Guardian"紙の傘下に入っている。
 
The Times
Daily Telegraph
(ニュースエージェントにポルノ写真を買いに来た紳士が最初に注文した新聞)
"The Times"はイギリスを代表するクオリティ・ペーパー(高級紙)で、"Daily Telegraph"も大部数を誇る高級紙。このようなタイプの新聞を読む紳士が、アングラ写真をこっそり買いに来るというギャップが笑える。(写真一枚"5シリング"というのにも時代を感じる)
The Mirror
(ニュースエージェントの店先に並んでいた、マークが殺した娼婦の写真が一面トップに載っていた新聞)
思想的には労働党寄りのタブロイド紙。 犯罪や芸能人・王室ゴシップ生地が好まれ、派手な見出しがセンセーショナルに雰囲気を盛り上げる。

「どんな雑誌が一番売れる?」と聞かれて、マークは「裸の女性が表紙の雑誌(Those with girls on the front covers and no front covers on the girls.)」と答えるが、"The Mirror"や"The Sun"のようなタブロイド紙にもグラビアページがついている。

「セシル・ビートンが来たわ」

これはニュースエージェントの二階にやってきたマークを見て、モデルの一人がつぶやいた言葉。セシル・ビートンはイギリス出身の有名な写真家。

「21歳の誕生日」は特別

マークは父の遺産である屋敷の一部をスティーブンス家やトニーに部屋貸ししているが、その一階に住むヘレンの誕生パーティを覗き見る場面がある。ヘレンはパーティーの主役として"21歳の誕生日おめでとう"と書かれたケーキのろうそくを吹き消し、大きな鍵の模型をプレゼントされる。欧米では「21歳の誕生日」は、その日から大人として認められる特別なもの。その象徴としてこのように大きな鍵の模型を渡されることも、よくあることだったらしい。

キャストについて

ロケ地

29 Rathbone Place, London

(MarkがバイトするNewsagentとして)

5 Melbury Road, London

(Markの自宅)

Newman Passage, London

(Doraのフラット)

Whitefield Secondary Modern School, Claremont Road, Cricklewood, London

(ヘレンが勤める図書館)

Clitterhouse Housing Estate, Claremont Road, Cricklewood, London

(マークが図書館から出てくるヘレンを待ち伏せするカウンシルフラット)

Pinwood Studios近辺, Iver Heath, Buckinghamshire

Fitzrovia, London W1

Percy StreetとRathbone Placeのあたり

Awards

1999年度英国映画協会によるベスト100作品:78位にランクイン

2002年オンライン映画批評家協会(OFCS)による「映画史上最も偉大な悪役Top 100」:
(The Greatest Screen Villain Of All Time Top 100, by The Online Film Critics Society)
カール・ベーム演じるマーク役が第95位にランクイン

キャスト

Carl(Karlheinz) Bohm .... Mark Lewis
Moira Shearer .... Vivian(Markに殺される代役女優)
Anna Massey .... Helen Stephens(Markに思いを寄せる、階下の女性)

Maxine Audley .... Mrs Stephens(ヘレンの母・盲目)
Brenda Bruce .... Dora
Miles Malleson .... 新聞屋に"写真集"を買いに来た紳士
Esmond Knight .... Arthur Baden(映画監督)
Martin Miller .... Doctor Rosan
Bartlett Mullins .... Mr Peters(新聞屋店主)
Michael Goodliffe .... Don Jarvis
Jack Watson .... Inspector Gregg (警部)
Nigel Davenport .... Sergeant Miller (その相棒、巡査)
Shirley Ann Field .... Diane Ashley
Pamela Green .... Milly (ポルノ写真モデル)
Brian Wallace .... Tony(Markのフラットの下宿人)
Susan Travers .... Lorraine (顔に傷のあるポルノ写真モデル)
Michael Powell .... A.N. Lewis教授(Markの父)
Columba Powell .... Markの子供時代

参考資料とソフト

imdb.com/Title?0054167

 

(1960年 イギリス 97分)


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