タイトル*は
監督:Charles McDougall・・・ 『心理探偵フィッツ』
脚本:Jimmy McGovern・・・『司祭』『心理探偵フィッツ』
製作:グラナダ・フィルム・プロダクション
配給:シネカノンTV界出身のチャールズ・マクドガル監督のデビュー作。『心理探偵フィッツ』で英アカデミー賞(BAFTA)のBest Single Drama Series Awardを獲得。
売れっ子脚本家Jimmy McGovernはリバプール出身。『司祭』もこの作品もリバプール近郊を舞台にしている。
イングランド北部の田園地帯を横切る列車に乗り込んできた鮮血が滴るバッグを大事そうに持つ女性。まだ新しい墓を掘り返してそれを埋めようとしているところを警官に取り押さえられた。逮捕された彼女の供述から明らかになった恐るべき事件とは・・・。
心臓疾患を持つ飛行機便のパイロットGaryは、妻Tessと激しく口論しているうちに発作を起こし、車椅子生活を余儀なくされていた。体が不自由となった夫を置いて、かねてから彼女に言い寄っていた人気放送作家Alexと激しい情事を重ねるTess。ところがある日、Garyは突然の交通事故で脳死状態となった若者の心臓を移植されることになる。手術は成功しGaryは健康と妻の愛を同時に取り戻す。
心臓の提供者に興味を持ったGaryは、当時の新聞記事を調べてその母親Mariaを訪ねる。たったひとりの息子を失ったMariaは、行き場のない悲しみに暮れていたが、Garyの体内で息子の心臓が息づいていることに一筋の光明を見出し、異常なまでにGaryに付きまとうようになった。一方で、一度はAlexとの関係を絶ったTessだったが、彼からの執拗なアプローチに再び情事にのめり込むようになる。嫉妬に狂ったGary、息子への想いを断ち切れないMaria。そして運命の歯車はTessとAlexをも巻き込んで、予想もしなかった惨劇へと・・・!
ゲイリーとテス夫婦の家は緑に囲まれた一軒家で、青々した芝生の周りには野趣に富んだ花が咲き乱れる典型的イングリッシュ・ガーデン。人気作家アレックスは、古城のような雰囲気ある建物に住んでおり、庭には特に手をかけていない。シングルマザーのマリアは、セミデタッチド・ハウス(2軒つながった形の家の半分)に住んでおり、窓から薔薇が見える。
TVプロデューサーのTessは多忙で、食卓に並ぶのは出来合いの惣菜(Pre-packed)ばかり。自分の息子の心臓を持つGaryを大切に思うMariaは、スーパーで新鮮な野菜を買って届けるが、Tessは迷惑顔。マークス&スペンサーなど、イギリスのスーパーでは電子レンジで温めるだけ、オーブンで焼くだけのPre-packed食品が非常に充実しており、忙しい家庭ではこうした商品を利用することが多いとか。
「ショーン(Sean)」という名前はアイルランド人に多いもの("Sean"はEnglandでいう"John"にあたる)で、「McCardle」という姓もアイリッシュを連想させる。母のマリアは常に十字架のペンダントを胸元に覗かせており、カトリック系小学校の教師をしていることからも、カトリック信者らしいことがわかる。(アイルランド人やアイルランド系移民にはカトリックが多いが、イングランドでは少数派)
テスがピルを服用していることを知り顔をしかめるのも、Garyに子供を作ってもらって息子の命を次世代に残したいという願いが裏切られた哀しさと、カトリック信者としての避妊への抵抗感のあらわれでは。
ショーンの父親はどうなったのか詳しい事情は語られないが、マリアは16歳で息子を出産したようだ。17歳の息子がいたのに、彼女の年齢はGaryやTessとほとんど変わらないことになる。
Manchester
MersysideGary夫婦の家から最寄りの鉄道は、Liverpool〜Lincorn線という設定なので、この物語の舞台はイングランド北西部ということらしい。実際のロケ地もマーシィサイド(リバプール近郊)と、マンチェスター。
それぞれの曲の使われ方が、何とも言えないブラック・ユーモアに溢れている。特に心臓手術の場面に使われる「Anyone Who Had a Heart」は印象的。
I'm gonna tear your playhouse down
Spin Spin Sugar (ス二一カー・ピンプス)・・・Tess Alexの情事の場面
Sugar Cane (Space Monkeys)
Roll on
Anyone Who Had a Heart(ディオンヌ・ワーウィック)・・・手術の場面など
Wrap it up
Tired of being alone (Al Green)
Nothing last forever (Echo and the Bynnymen)
Somebody's on your case
When you're smiling
Cop shoot cop
Looking for a kiss (New York Dolls)
We'll have to go
Fade into you
Feel the need in me
This Old Heart of Mine(アイズレー・ブラザーズ)・・・エンディング
Saskia Reeves .... Maria Ann McCardle (心臓提供者ショーンの母親)
Christopher Eccleston .... Gary Ellis
Kate Hardie .... Tess Ellis (TVプロデューサー)
Rhys Ifans .... Alex Madden (作家)
Bill Paterson .... 心臓外科医クレイトン
Anna Chancellor .... Nicola Farmer (ドラッグ中毒)
Matthew Rhys .... Sean McCardle (将来有望なアマチュアボクサー、17歳)Rhys Ifans・・・『ノッティングヒルの恋人』のおかしな同居人とは全く違った役柄ですてき。
Kate Hardie・・・『モナリザ』の少女娼婦がこんなに大きくなっていたとは。
(1998年イギリス84分)
監督:イアン・ソフトリー・・・『バック・ビート』
原作:ヘンリー・ジェームズ『鳩の翼』(講談社文芸文庫刊)
脚本:ホセイン・アミニ・・・『日蔭のふたり』
撮影:Eduardo Serra・・・パトリス・ルコント作品『髪結いの亭主』など
衣装:サンディ・パウエル・・・『恋に落ちたシェイクスピア』『ベルベット・ゴールドマイン』
美術:ジョン・バード・・・『未来世紀ブラジル』『明日に向かって・・・』
〜イノセントな魂、ヴェニスの魔力が愛に囚われた恋人達をときはなつ〜
1910年ロンドン。没落した中産階級の娘ケイトは、名門出身の母を亡くし酒浸りで生活力のない父と暮らしていた。上流階級の因習に縛られた母方の叔母モードは子供がいないこともあってか後見人として彼女を引き取るが、新聞記者をしているかねてからの恋人マートンとの交際を快く思っておらず、貴族のマーク卿と引き合わせようとする。ケイトはマートンからプロポーズを受けながらも、彼と結婚すれば叔母からの遺産を相続できないこと、かつて財産のない父と結婚した母が苦労して亡くなったことなどを考えると、彼の腕に飛び込んでいくこともためらってしまう。マートンに財産さえあれば・・・!
そんな時ケイトは、莫大な遺産を相続しながらも身寄りのないアメリカ人ミリーにに出逢い、その天使のような寛容さに心を奪われる。ところがミリーは不治の病に冒されていたのだった。病のことを周囲に悟られないように、限られた人生を精一杯生きようとするミリー。ケイトはミリーがマートンに惹かれていると知るとある策略を思い付き・・・
ケイト、ミリー、そしてマートン。伝統と因習に縛られたロンドンから神秘と官能にあふれたヴェニスへの旅。恋の迷路に迷い込んだ三人の運命は・・・?
今世紀初頭、エドワード朝のロンドン。地下鉄が人々を運び、街には自動車が走る。
貴族や上流階級の大邸宅、城の豪壮さ。重厚な室内装飾にも注目。
ヒロインたちが身に纏うのは、サンディ・パウエルによる贅を尽くした衣装。羽根飾りのついた帽子、金糸の刺繍を施したパーティ・ドレス、アンティーク・ジュエリー・・・エドワード朝の粋を集めた美しさ。
マーク卿のような貴族も城を維持管理していくために切りつめた生活をしている。ケイトたちが招かれたときも暖房のない寝室で寒さに震えていた。
ステイタスはあっても財産のない貴族たちは、裕福な中産階級と縁を結ぶこともしばしば。モード叔母に連れられて出席したパーティでも、財産のある結婚相手を見つけようと相手探しに余念のない人々を目にする。叔母モードは資産家だが貴族ではないので、マーク卿と姪のケイトを娶わせて地位も手に入れようと画策する。
ケイトの母は財産や地位より愛を選んで結婚したが、結局は不幸な人生を送った。そんな母を見ていたこともあってか、ケイトはマートンとの身分違いの恋に身を投げ出せない。
身を持ち崩し、Old Streetにある場末のパブで娼婦に囲まれている。アルコール中毒であるだけではなく、時には阿片窟にも入り浸る。
筒のような形をしたロンドンの地下鉄"tube"。大きな羽根飾りのついたつばの大きい帽子をかぶり、いかにも高級そうな服を見に纏ったケイトが、労働者階級と見られる人々で一杯の狭苦しい地下鉄に乗り込むのはいかにも場違い。マートンはケイトを見ると無言で席を譲り彼女の前に立つが、リフト(エレベーター)で二人きりになるまではお互い他人のように口もきかない。
ミリーがケイトとマーティンに再会した場所ではクリムトの展覧会が催されていた。「接吻」「ダナエ」「ユーディット」「水蛇」・・・死と性愛のメタファーに彩られた耽美的な作品の数々が、物語の行方を象徴する。
月光に照らされ水面をすべるように進むゴンドラ、エロティックな夜の仮装舞踏会。瑞々しいヴェニスの魅力がロンドンの灰色の空と対照的に美しく描かれる。
因習に縛られたイギリス人がイタリア旅行を通じて劇的な変化に直面する・・・という設定の作品はこれまでにも多数存在する。例:『眺めのいい部屋』、『天使も恐れる恋ゆえに』、『魅せられて四月』
〜I wish I had wings of the dove so I could fly away.〜
限られた時を生きながらも、サンマルコ大聖堂のテラスから世界を見下ろすミリーの無垢な魂は、誰よりも自由への飛翔を望んでいた。因習に縛られ飛び出すことのできないケイトと対照的に。
Luton Hoo
Knebworth House
Carlton House Terrace
The National Liberal Club
(1 Whitehall Place, London SW1)Kensington Gardens
Syon House
Richmond Fellowship
8 Addison Road, London, W14 8DJ (Website)Brompton Cemetory
Painshill Park
Portsmouth Road, Cobham, Surrey KT11 1JE
Painshill Park Trust
ヨーロッパで最も美しい18世紀の風景庭園の一つ。Freemason's Hall, Great Queen Street
The Royal Naval Collage, Greenwich
Helena Bonham Carter .... Kate Croy
Linus Roache .... Merton Densher(新聞記者・ケイトの恋人)
Alison Elliott .... Millie Theale(米国人・莫大な遺産を相続)
Elizabeth McGovern .... Susan Stringham(ミリーの忠実な付添い)
Michael Gambon .... Lionel Croy(ケイトの父)
Charlotte Rampling .... Maude (ケイトの叔母)
Alex Jennings .... Lord Mark (ケイトの婚約者)
(1997年 イギリス 101分)
制作:Christian Slater
監督・脚本: Radha Bharadwaj・・・本作は、『クローゼット・ランド』に続く2作目。
原作:Wilkie Collins(小説)
19世紀、ヴィクトリア朝のイギリス、コーンウォール半島にそびえる大邸宅ウィンダミア・ホール。由緒ある家柄の子息バジルは、貴族の伝統を重んじる厳格な父と病弱な母のもとで、多くの召使いにかしずかれ暮していた。ある時兄のラルフが屋敷の見学に来たウィンザー在住の教師一家の娘と恋に落ち、彼女を妊娠させてしまう。怒り狂った父はラルフを勘当し、ヨークシャーの片田舎へ追いやる。
やがて母も病死し、父の親友の娘で身寄りのないクララと、父との3人の生活が始まる。バジルはオックスフォード大学に進学したものの、父の言い付けで勉学に励むあまり、友人もできなかった。休暇でコーンウォールに帰省したバジルは、危ないところを助けてくれた旅行者ジョン・マニヨンと親しくなる。
世間知らずのバジルにとって、マニヨンとの交際は何もかもが新鮮。家族でロンドンに出かけた時に、父やクレアの目を盗んで彼の下宿を訪ねる。
そこで出逢った謎の美女ジュリア。生意気で美しい彼女に、世間知らずのバジルはめろめろ。彼女はマニヨンの雇い主の娘だった。のぼせ上がったバジルは父親の承認も得ずに秘密裏に結婚するが、それは巧妙に仕組まれた復讐劇の始まりだった・・・。
撮影はオックスフォードやロンドンをはじめとして、イングランド各地とウェールズで行われた。バジル、マニヨン、ジュリアと主な登場人物三人はハリウッド勢だが、脇をSirデレク・ジャコビらが固めて引き締めている。
バジルの父は、カントリーサイドにある本邸のほかに、ロンドン滞在時に使用するタウンハウスを所有。どちらも数多くの肖像画、重々しいカーテン、見事な調度品でいっぱい。
商人の娘ジュリアが住むどこかエキゾチックな家と好対照。
19世紀に活躍した推理小説の先駆者Wilkie Collinsの小説が原作となっている。
イングランド(ロンドン、オックスフォード、コーンウォール)
ウェールズ
Jared Leto .... Basil
Derek Jacobi .... Frederick (Basilの父)
Joanna John .... Agnes (Frederickの妻)
Rachel Pickup .... Clara Fairfax (Frederickの親友の娘)
Christian Slater .... John Mannion (Sherwin生地商会会計士)
Claire Forlani .... Julia Sherwin
David Ross .... Mr Sherwin (ジュリアの父・織物商人)Crispin Bonham-Carter .... Ralph (Basilの兄)
Jenny Downham .... Anna(Ralphの妻)
Stephanie Bagshaw .... Emma Mannion (ジョンの姉)
Christopher Owen .... Mannion(ジョンの父)
(1998年アメリカ)
監督:Bernard Rose・・・『アンナカレーニナ』(1997)、『不滅の恋ベートーベン』(1994)
脚本:David Yallop
舞台は第二次大戦中、1944年10月ロンドン。映画スターを夢見る売れない踊り子"ジョージナ・グレイスン"と、シカゴから来たギャングというふれこみの軍人"リッキー・アレン少尉"。本当の自分を隠したふたりは、互いにハリウッドスターとカポネファミリーの大物ギャングの幻影を抱きつつ、壮絶な犯罪ゲームにのめり込んでいくが・・・
ハマースミス地区で実際に起きた事件を再現したドラマ
物資が不足していたため、ジョージナはナイロンストッキングも満足に手に入らない。リッキーが調達して来てくれた時に非常に喜んだ。
アメリカの軍人たちがロンドンの街をジープや軍用車で乗り回している様子も。このようにアメリカやカナダからやってきた軍人と、イギリス人女性が恋に落ちることは珍しくなかった。
参考:
『スカートの翼広げて』The Land Girls (1998)
『戦場の小さな天使たち』 Hope and Glory (1987)
『ヤンクス』Yanks (1979)
ロンドン・ハマースミス地区(W6)
地下鉄ハマースミス駅など
Kiefer Sutherland .... "リッキー・アレン少尉"ことKarl Hulten
Emily Lloyd .... "ジョージナ・グレイスン"ことBetty Jones
Keith Allen .... Lenny Bexley ("リッキー"の友人?)
Patsy Kensit .... Joyce Cook ("リッキー・アレン"を慕う堅気の娘)
John Surman .... Mr Cook (ジョイスの父)
Janet Dale .... Mrs Cook (ジョイスの母)
Alexandra Pigg .... Violet (第一の被害者)
John Junkin .... George Heath (第二の被害者・タクシー運転手)Emily Lloyd:『あなたがいたら少女リンダ』、『リバー・ランズ・スルー・イット』などに出演。
(1990年 英=米 102分)
監督:アルフレッド・ヒッチコック
制作・脚本:デビッド・O・セルズニック
原作:Robert Hichens
1946年、若い美貌の未亡人パラダイン夫人は、年の離れた盲目で資産家の夫を毒殺したという容疑で逮捕された。彼女の弁護を担当することになったのは、ロンドンでも評判の弁護士アンソニー・キーン。謎めいてつかみどころのないパラダイン夫人の魅力に抗しきれず、いつしかキーンは夫人に特別な感情を抱くようになり、仕事にとり憑かれた様になったキーン氏を見て妻はひとり苦しむ。
キーン氏は調査を進めるがいっこうに解明の糸がつかめない。湖水地方にあるカントリーハウスを訪問し、パラダイン家の使用人アンドレ・ラトゥールがパラダイン大佐の死に関係しているのではないかと疑い、彼を法廷に証人喚問する。法廷の場で起こった悲劇、そして明らかになった真実とは・・・?
建物がある通りの名から"Old Bailey"の愛称で親しまれるロンドンの中央刑事裁判所(Central Criminal Court)。この中で法廷劇が繰り広げられるという設定。(ただしロケは外観のみで、室内はセットで撮影。)屋根についている剣と天秤を持った女神像がトレードマーク。
Address: Old Bailey, London EC4 (地下鉄St. Paul's駅下車)
貴族や資産家はロンドンにタウンハウスを、田舎に豪壮なカントリーハウスを持つことが多い。パラダイン大佐も湖水地方北部に大きな屋敷を持っていた。窓からは湖が眺められる優雅な環境。
Central Criminal Court, Old Baily Street, London (外観のみ。内部はセット)
Cumberland station
Alida Valli .... Mrs Maddalena Anna Paradine
Gregory Peck .... Anthony Keane, Council for the Defense
Ann Todd .... Gay Keane (Anthonyの妻)
Charles Laughton .... Lord Thomas Horfield (判事)
Ethel Barrymore .... Lady Sophie Horfield (Lord Tomasの妻)
Charles Coburn .... Sir Simon Flaquer (パラダイン家の顧問ソリシター)Joan Tetzel .... Judy Flaquer (SirSimonの娘・Gayの友人)
Louis Jourdan .... Andre Latour(パラダイン家の使用人)
Leo G. Carroll .... Sir Joseph, Council for the Prosecution
(1947年 イギリス 114分 B&W)
監督:アルフレッド・ヒッチコック
脚本:Sidney Gilliat/Frank Launder
原作:Ethel Lina White (小説_The Wheel Spins_)
音楽:Louis Levy
悪天候のため中央ヨーロッパの小国バンドリカに足止めを食った乗客一同は、小さなホテルに宿泊することになる。富豪の娘アイリスと、彼女の安眠を妨害する大胆不敵な青年ギルバート、バンドリカで6年家庭教師をしていた老婦人ミス・フロイ、クリケットの試合が気になって仕方がない英国紳士たち・・・
翌朝列車は無事ロンドンへ向けて出発し、アイリスは具合の悪い彼女を介抱してくれたミス・フロイと親しくなる。ところがアイリスがうたた寝から覚めると、同じコンパートメントに乗っていたはずのミス・フロイの姿が消えていた。フロイと言葉を交わしたはずの乗客も、食堂車のボーイも、他の乗客たちも誰もそんな客は乗っていなかったと答える。混乱したアイリスはギルバートに助けを求めるが、この失踪事件には思わぬ陰謀が絡んでいた・・・
列車の遅延でクリケットの試合結果が気になって仕方のないふたり。ヘラルド・トリビューン紙(アメリカ系新聞)のどこを探しても野球の記事ばかりで憤慨する。翌日は英豪優勝決定戦があったので、なんとしても定刻までにロンドンに着かなければと焦るふたり。
列車の中でアイリスとギルバートがこのふたりを探している時に「ティータイムにはイギリス人は必ず食堂車にいるものだ」と、食堂車に向かうとそこには案の定お茶を飲むふたりの姿が。
中央ヨーロッパ?
ロンドンのヴィクトリアステーション
イズリントン(ロンドン)
Longmoor Military Railway
Woolmer Forest, Hampshire
NY批評家協会賞:監督賞(アルフレッド・ヒッチコック)
1999年度英国映画協会によるベスト100作品:35位にランクイン
Margaret Lockwood .... Iris Henderson(富豪令嬢)
Michael Redgrave .... Gilbert Redman(英国人青年)
Paul Lukas .... Dr. Hartz (医師)
Dame May Whitty .... Miss Froy (バンドリカで教師をしていた老婦人)Cecil Parker .... Eric Todhunter (不倫旅行中の法律家)
Linden Travers .... 'Mrs ' Margaret Todhunter (不倫旅行中の婦人)
Naunton Wayne .... Caldicott (クリケット狂の英国人)
Basil Radford .... Charters (クリケット狂の英国人)
Mary Clare .... アイリスと同じコンパートメントの男爵夫人
Zelma Vas Dias .... Signora Doppo(イタリア人奇術師)
Catherine Lacey .... The Nun (看護尼)
Emile Boreo .... Boris(バンドリカのホテル支配人)
(1938年 イギリス 98分)
監督:ピーター・ヒューイット・・・『ビルとテッドの地獄旅行』
製作:ルース・ジャクソン
脚本:ベン・スタイナー・・・シェフィールド出身
撮影:デヴィッド・タッターソル・・・『スター・ウォーズ エピソード1』
美術:ジェンマ・ジャクソン・・・『ブリジット・ジョーンズの日記』
衣装:マリー・フランス・・・『ビルとテッドの地獄旅行』『コーンヘッズ』
ジョン・トラボルタに象徴されるディスコ・ブームがイギリスを席捲していた1977年。 夜な夜な部屋でディスコ・ダンスの練習に励むヴィンスは、同じ法律事務所に勤めている可憐なお嬢さまジョアンナに片思いしていた。なんとなく素直に想いを伝えられずにぐずぐずしているうちに、今度は偶然見掛けた過激なパンク・ガールにひと目惚れ。彼女に少しでも近づきたくて、ヴィンスは自らもパンクスに転身していった。
一方、彼の父ハロルド・スミスはすでに退職して大好きなTVを前にしてパイプをくゆらす悠々自適の生活を送っていたが、ある日かの有名な超能力者ユリ・ゲラーに触発されてスプーン曲げに挑戦しているうちに、自分にも超能力が備わっていることに気づく。プロのマジシャンとして活躍している長男レイのすすめもあって、嫌々ながらも老人ホームで観客みんなの腕時計を止めるというマジックを披露している最中、勢い余ってペースメーカーまで止めてしまい、老人が3人も死んでしまった!殺人罪に問われイギリス中から注目されてしまったハロルド・スミスの運命やいかに?そしてヴィンスの恋の行方は・・・?
70年代後半の風俗は少々こっ恥ずかしさも混じって魅力的。ビー・ジーズの「恋のナイト・フィーバー」、ピストルズ「アナーキー・イン・ザ・U.K.」など挿入歌も見逃せない。
1946年12月20日、イスラエル生まれで、両親はハンガリー人とオーストリア人。スプーン曲げで一斉を風靡し、日本を含め全世界を熱狂させた超能力者。現在はイングランド南東部(サリー州だったか?)に豪邸を構えているらしい。
詳しくは>>オフィシャルサイト
http://www.urigeller.com/
http://www.uri-geller.com/
脚本を書いたベン・スタイナーがシェフィールド出身ということもあってか、この作品の舞台はシェフィールドのようだ。実際にロケもここで行われている。のちにハロルドが透明の筒に入った釘を曲げられるか?という実験を行った時も、その釘は鉄鋼業で有名なシェフィールド製だった。(*字幕には出ていない)
ヴィンスの家にはクリスマス・トゥリーが飾られており、みなで紙冠をかぶって祝う。家族全員がひとりひとり芸を披露する習慣になっていて、ここでハロルドの超能力に皆が驚くことに。毎年恒例の女王陛下のクリスマス・スピーチの前にラジオから国歌が流れてきた時、みんなで起立して帽子も取って歌う。
ジョアンナの家でもクリスマスの飾り付けがされており、一家に届いたクリスマス・カードは綺麗にひもに吊るしてある。
ハロルドが皿洗いをしている場面。 柄付きブラシを使い、洗った後洗剤をゆすがずかごに入れていく・・・といういかにもイギリス的な皿洗いの流儀。
ヴィンスの部屋にはTetley's(ビールメーカー)のパブ・ミラー(または小さなポスター?)が。
ハロルド・スミスが手にしている新聞は、タブロイド紙「Mirror」。
ヴィンスがピアス穴を空ける道具として用意したのは、昔から英国の家庭で伝統的に使われているタイプの(『ケス』で少年がハヤブサの餌用の肉を刻んでいたような)円形カッティング・ボード。
「Very Groovy(=イカしてる)」など、現在では古めかしい表現が使われているのも時代を感じる。
ハロルド・スミスはTV鑑賞が趣味だが、特にお気に入りの番組は『チャリーズ・エンジェル』。2000年冬にリメイクされた映画が公開されたが、もともとは大人気TVシリーズ。ファラ・フォーセットなど美女三人組が活躍する番組で、現在もなおファンが多い。
すっかり有名になってしまったハロルド。外にフィッシュ&チップスを買いに行っても、街の人たちが集まってきてしまうので、悲しげに「I'm just having me tea.」と言ってお引き取り願う。「tea」というのは「紅茶」だけを指す言葉ではなく、「軽食」という意味でも使われる。特にワーキング・クラスの人々は、夕食のことを「tea」と言うことが多い。「my」でなく「me」となるのは、イングランド北部の方言。
ハロルドが買ったフィッシュ&チップスは、屋台のF&C屋がよくするように新聞紙でくるまれている。現在はわら半紙のような紙で包まれることが多いようだ。
メインキャンパスとホール(Octagon Centre)が登場している
(情報提供:hiromiさん)
Whatever Happened To - The Buzzcocks
Night Fever - The Bee Gees
Right Back Where You Started From - Maxine Nightingale
I Love To Love - Tina Charles
Boogie Nights - Heatwave
You To Me Are Everything - The Real Thing
Ever Fallen In Love - The Buzzcocks
Anarchy in the UK - Sex Pistols
White Riot - The Clash
Peaches - The Stranglers
No More Heroes - The Stranglers
Raw Power - Janus Stark
Personality Breakdown - Janus Stark
Tom Courtenay .... Harold Smith (Vinceの父・超能力者?・55歳)
Lulu .... Irene Smith(Vinceの母・夜遊びが大好き)
Michael Legge .... Vince Smith (法律事務所勤務の弁護士の卵・18歳)
Matthew Rhys .... Ray Smith(Vinceの兄・怪しげなマジシャン"Mightyザンキーニ")
Rosemary Leach .... エルシー(Haroldの母)Stephen Fry .... Dr. Peter Robinson(大学教授・物理学専門家・Joannaの父)
Amanda Root .... Margaret Robinson (Joannaの母)
Laura Fraser .... Joanna Robinson (法律事務所勤務・Vinceの同僚)
Charlotte Roberts .... Lucy Robinson (Joannaの妹・9歳)David Thewlis .... Kieth Nesbit(法律事務所ボス"The Turd Tache(う○こヒゲ)")
Charlie Hunnam .... Daz (パンク・グループのリーダー)
James Corden .... Walter (Vinceの親友)
Mark Williams .... Roland Thornton(TV討論番組"Thornton Tonight"司会者)
Keith Chegwin .... Hugh Pimm(レポーター)
Jeremy Child .... Doctor Bannister(Peterの主治医)
Andy Rashleigh .... Sergeant Tom Higgins(巡査部長)特別出演:
Uri Gellerカメオ出演:
Alan Wicker, John Craven, Angela Rippon, Jan Leeming, Keith Chegwin
- Michael Legge(Vince):『アンジェラの灰』 Angela's Ashes (1999) でハイ・ティーンのフランク少年を演じた。
- Matthew Rhys(Vinceの兄):『タイタス』極悪兄弟の片割れ、『ハート』でサスキア・リーブスの息子役など。
- LuLu(Vinceの母):10代に歌手デビューして以来息の長い活動を続けカルト的人気のあるシンガー。「いつも心に太陽を」は世界的なヒットを記録した。
- Charlie Hunnam(Daz):『モダン・ラブ(Queer as Folk)』のネイサン役でおなじみ。今回のパンク野郎はずいぶん変わった役柄でびっくり。
- Alan Wicker:モンティ・パイソン(第3シリーズ第1話)でもおちょくられている、BBC『Wicker's World』という番組でおなじみの旅行ジャーナリスト。
Amazon.JAPAN
国内盤DVD
(1999年 イギリス 96分)
監督:ロマン・ポランスキー
キャロルは姉のヘレンとロンドンのフラットで二人暮らし。エステサロンで優雅なマダムたちを相手に仕事をし、やさしいボーイフレンドもいる。そんな彼女を悩ませていたのは、姉の恋人の存在。彼は既婚者らしいのだが、毎日のようにヘレンを訪れては夜を共にしてゆく。感じやすい年頃のキャロルは、薄い壁を隔てて伝わってくるふたりの息遣いに嫌悪感を募らせてゆく。そんな時ヘレンが恋人とともにイタリア旅行に出かけ、キャロルの精神の均衡が崩れ始める・・・シュールな映像と若き日のカトリーヌ・ドヌーヴの美貌が冴えわたるサイコ・スリラー。
ボーイフレンドのコリンを待つ間にオーダーしたフィッシュ&チップスの皿を見てげんなりするキャロル。油ギトギトで皿からあふれんばかりの揚げ物の山は、心神耗弱状態になりかけていた彼女には辛すぎた。
コリンが友人たちとパブでビターを飲む場面も。
ロンドン・サウスケンジントン駅周辺
Catherine Deneuve .... Carol Ledoux
John Fraser .... Colin(キャロルのボーイフレンド)
Yvonne Furneaux .... Helen Ledoux (キャロルの姉)
Ian Hendry .... Michael (ヘレンの恋人)
Patrick Wymark .... 大家
Valerie Taylor .... Madame Denise(エステサロンの主人)
Helen Fraser .... Bridget (キャロルの友人)監督のポランスキーはSpoon Playerとしてカメオ出演
(1965年 イギリス B&W 105分)
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