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タイトル*く


『空軍大戦略』Battle of Britain

監督:Guy Hamilton

Story

1940年の夏、チャーチルはヒトラーとの和平交渉を拒否し、イギリスはナチス・ドイツによる爆撃を受け始めた。ナチスのメッサーシュミットはドーバー周辺のレーダー基地を次々と攻撃。英国空軍(RAF)はスピットファイヤーやハリケーンで応戦するが・・・英国映画界の豪華スター共演が話題に。

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スピットファイヤーなどの当時の最新鋭戦闘機は、現代の我々の目から見るとクラシカルだが、空中戦の映像は迫力あり。

空軍基地には女性軍人も腰にガスマスクケースを下げて多数勤務している。

スコットランドから来た兵士たちはInnでスコッチを楽しむ。

戦闘指令本部ではレーダー基地からの報告を受けて、手動で敵に見立てたブロックを動かし作戦を練っている。司令部の建物がすてき。

ロンドンでは、地下鉄の駅構内を防空壕に利用している。(Aldwich駅が映っていた)

印象に残る台詞

Never in the field of human conflict was so much owed by so many to so few.(Winston Churchill)

人間の戦いにおいて、かくも少数でかくも多数を守ったことはなかった。(W.チャーチルの言葉)

ロケ地

ロンドン:
セントポール大聖堂
Dragon Road(SE15)
Katherine docks

North Weald Aerodrome, Essex
Royal Air Force Duxford, Cambridgeshire, England
RAF Hawkinge, Kent, England

その他:スペイン、フランス

キャスト

Harry Andrews .... Senior Civil Servant
Michael Caine .... Squadron Leader Canfield
Trevor Howard .... Air Vice Marshal Keith Park
Curd Jurgens .... Baron von Richter
Ian McShane .... Sgt. Pilot Andy
Kenneth More .... Group Captain Baker
Sir Laurence Olivier .... Air Chief Marshal Sir Hugh Dowding
Nigel Patrick .... Group Captain Hope
Christopher Plummer .... Squadron Leader Harvey
大佐(Maggieの夫)
Susannah York .... Maggie Harvey分隊長(Harvey大佐の妻)
Sir Michael Redgrave .... Air Vice Marshal Evill
Sir Ralph Richardson .... Sir David
Robert Shaw .... Squadron Leader Skipper
Patrick Wymark .... Air Vice Marshal Trafford Leigh-Mallory
Alexander Allerson .... Major Brandt
Edward Fox

(1969年 イギリス 127分)


『鯨が来た時』 When the Whales Came (1989)

監督:Clive Rees
原作:Michael Morpurgo(小説 _Why the Whales Came_)

Story

イングランド南西部沖に浮かぶシリー諸島のひとつ、Bryher島。この辺鄙な小島に住む人々は、漁業と、そしてたまに打ち上げられる漂着物の恵みを受け暮らしていた。いつも仲の良い少年ダニエルと少女グレーシーは、海岸で"バードマン"と呼ばれている老人からの贈り物を見つける。世捨て人のようにひとり村から離れた小屋で暮らす彼は、聴力を失っていたがバードカービング(木彫)の名手で、なぜか嵐の日になるとボートでサムソン島に渡るという不思議な人物だった。

まもなく第一次世界大戦が始まり、グレイシーの父ジャックは海軍に志願。残された妻クレミーは気丈にも慣れない漁に出るが、男手のない生活は苦しい。やがてジャックが戦場で行方不明になったというショッキングな知らせが来る。

ある日海岸にイッカククジラが打ち上げられた時、この鯨を殺そうと集まってきた島民たちに、バードマンはサムソン島で体験した70年前の悲劇を繰り返させるまいと必死に止めようとするが・・・雄大な自然を背景にしたファンタジー。

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豊かな自然

イギリス本土から離れた(コーンウォール半島の沖)小島なので、手付かずの自然がそのまま残っている。海辺に出ればアザラシやパフィンなどがすぐ近くまでやってくる。

「漂着物は神からの恵みとして島民皆で分け合う」という掟があるため、嵐の後に流れ着いた材木はみんなでさっさと拾ってしまい、イングランド本土からやってきたお役人に尋問されても隠し通す。鯨が打ち上げられた時も、人々はこの掟に沿ってやってきたのだが・・・

戦争の暗雲

この作品の舞台は、第一次大戦が始まった1914年。学校で旧約聖書のサムソン(*)について学んでいた時に「我々にとってのペリシテ人はドイツ人だ。」と、先生は厳しい顔で話し出す。

*怪力のサムソンはペリシテ人の手先である美女デリラに惑わされて、力の元である髪を切られてしまったが、再び信仰を取り戻し自分の命とともに敵を葬り去ったというエピソード。

遠くで爆撃音が聞こえたり、時には撃沈した軍艦の乗組員の遺体が打ち上げられたりすることもある。漂着した軍艦Valiant号の救命浮き輪で子供たちが遊んでいたのをみつけたジャックは、"大勢の人が死んだんだぞ!"と叱り、ある決意をするのだが・・・

"God Save The King"
開戦以来毎日、学校で子供たちは国歌"God Save The King"を歌う。

"Tipperary Song"
「It7s a Long way to Tipperary〜」海軍に志願することにしたジャックは壮行会の翌朝、酔っ払ってウィルとともにこの歌を口ずさみながら帰宅する。行軍歌の一種で、映画『Uボート』でも乗組員たち(ドイツ人)によって歌われていた。(注:敵である英国軍のラジオから流れてくる歌を覚えたらしい)

学校

このあたりに住む子供たちは舟で学校に通うらしく、スクールバスならぬ手こぎのスクールボートで集団登下校する。子供といっても親の手伝い(漁網の修繕など)をしたりしなければならないので、なかなか毎日は登校できないようだ。厳しい先生の名前が「Mr Wellbeloved」(=well-beloved)というのも面白い。

ロケ地

シリー諸島(コーンウォール半島沖)

キャスト

Paul Scofield .... The Birdman(Mr ウッドコック。サムソン島出身の老人)

Helen Pearce .... Gracie Jenkins
David Threlfall .... Jack Jenkins (Gracieの父)
Helen Mirren .... Clemmie Jenkins (Gracieの母)
Barbara Jefford .... Mildredおばさん

Max Rennie .... Daniel Pender
Dexter Fletcher .... Big Tim (ダニエルの長兄・意地悪)
John Hallam .... Treve Pender (ダニエルの父)
Kerra Spowart .... Margaret Pender
Barbara Ewing .... Mary Pender

David Suchet .... Will (Jackの気のいい友人)
Nicholas Jones .... 島の牧師

Jeremy Kemp .... Mr Wellbeloved (学校の先生)
Joanna Bartholemew .... Miss Tregarthen (学校の先生)

Video
Amazon.UK: Hardcover/Paperback/Audio Cassette

(1989年 イギリス 101分)


『クライング・ゲーム』 The Crying Game(1992)

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『グリーンフィンガーズ』Greenfingers (2000)

監督・脚本:Joel Hershman

Story

コッツウォルズ地方にある開放的なエッジフィールド更生刑務所。鉄条網も高い塀もない理想的な刑務所なのに、ここに移送されてきた囚人のひとりコリン・ブリッグスは人生を諦めたような表情を浮かべていた。部屋に植木鉢を置いて可愛がっている同室の老人ファーガスは、そんな彼を見てクリスマス・プレゼントだと、ひと袋の種子を手渡す。「種から植物を育てるのなんてただでさえ難しいのに、こんな真冬に蒔いて育つはずがない!」ところが春が来ると、コリンの蒔いた種からは瑞々しいニオイスミレが花開いていた。そう、コリンには園芸の才能があったのだ。

所長のアイディアで、コリンを中心に6人の囚人チームで刑務所内に庭園を造ることになった。見事美しい庭を造ることに成功した彼らは、ガーデニング園芸専門家ジョージナの助言もあってかめきめき腕を上げ、近隣のマナーハウスの造園をも任せられるように。囚人たちによるガーデニングという話題性もあってか、ついに王立園芸協会からハンプトンコート・フラワー・ショウへの出場資格が与えられたのだが・・・。実話を元にした、驚くべき現代の寓話。

 

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「Greenfingers」とは

「Greenfingers」とは直訳すると"緑の指"だが、イギリスの口語で「園芸の才能がある人」「天才的庭師」という意味になる。米語では「Green Thumb(緑の親指)」。

「薔薇は赤く、すみれはブルー(Rose are red, Violets are blue)」

冒頭でコリンが手紙にしたためている言葉は、マザー・グースの唄。この後押し入った花屋でブーケを作る時、セロファンの上からさりげなくラフィア(紐の一種)を巻くなんて洒落てる。
『すみれはブルー(Violets are blue)』という映画(1986年アメリカ映画/シシー・スペイセク&ケビン・クライン主演)も、このマザー・グースからとられたタイトルだろう。

Roses are red,
Violets are blue,
Sugar is sweet
And so are you.

紅茶を出してくれる刑務所なんて

エッジフィールドに移送されてきた囚人たちは、運ばれてきた紅茶とビスケットに感激。ホーリーはその後カモミールティーも勧めてくれる。

ここの朝食は、スクランブル・エッグに、ベイクド・ビーンズ(大豆のトマトソース煮)、ソーセージなどがついた豪華なもの。

刑務所で迎えるクリスマス

欧米のクリスマスは「家族で過ごす」もの。この日ばかりは刑務所も特別に飾り付けられ、囚人たちの家族が招かれてパーティが開かれる。みな紙冠をかぶってはしゃいでいるところに、コリンだけはひとりポツンを時間を持て余している。

ガーデニングに目覚める

コリンが園芸に目覚めるきっかけになった花の種(ニオイスミレ)は、有名な「Thompson & Morgan」社のもの。

贈り主のファーガスじいさんはScented Garden(芳香のある植物で構成された庭園)が好きなので、ニオイスミレというのはいかにも彼らしい選択。

庭造りを命じられた囚人たちが適当な場所を探している時の台詞:
「日当たりが欲しいな」「ここはイギリスだ、無理言うな。」

所長の妻スーザンに貸してもらった豪華なハードカバーのガーデニング研究書の他、「Gardens Illustrated」(BBC発行・日本でも大手書店で手に入る)のような雑誌も参考にして、みなでアイディアを練っている。

オズルベリー・ハウスでの民間労働

庭の世話を依頼した持ち主のローレンスとナイジェルという男性二人はちょっとゲイっぽい雰囲気。パイやトライフル(スポンジケーキ、カスタード・クリーム、フルーツ、生クリームなどを順々に容器に入れて冷やしたお菓子)をすすめてくれる。
壁にかかっている由緒ありげなタピスリーは、400年以上も昔のものだとか。柄はレディとユニコーン。

トニー

部屋にプレミアリーグのWestham Unitedのポスターを貼ってある。他の囚人たちが種蒔きをしたりしている一方で、トニーがホリー相手に愛の種を蒔いている・・・というシチュエーションに、ティアーズ・フォー・フィアーズの名曲「Sawing the Seeds of Love」が流れているというツボにはまった選曲。

ガーデニング専門家ジョージナ

コリンたちが獄中で読んでいたハードカバーの園芸手引書は、ジョージナが著したものだった。彼女は園芸の専門家らしく、いつも花柄の明るい色合いの服を着ており、フラワー・ショウの解説番組に出演した際にはたくさんの花がついた帽子をかぶっているという凝りよう。釈放されたコリンをお茶に呼んだ時も、花柄のティーセットを使っていた。お茶菓子は手作りっぽい。娘は「プリムローズ(桜草)」という名前に似ず、ガーデニングは得意でないらしい。

R.H.S. /王立園芸協会

R.H.S. (The Royal Horticultural Society)
1804年にまで歴史をさかのぼる、世界の園芸協会の代表的団体。フラワー・ショウの開催、新種の開発、園芸情報の提供、出版、園芸相談と、園芸の発展のために多大な貢献をしてきた。"flagship garden"としては、ウィズリー・ガーデン(サリー)、ローズムーア(デヴォン)、ハイドホール(エセックス)があり、四季を通じて訪れる人々の目を楽しませ、ガーデニングの研究に寄与している。総裁はエリザベス女王とエリザベス皇太后。
http://www.rhs.org.uk/

 

ハンプトンコート パレス・フラワー ショウ

RHSの主催により7月初旬に行われる。1990年に第一回が開催され、毎年20万人以上の観客を集める。この映画は、実際に1999年のフラワー・ショウの際に撮影された。チューダー・ローズ賞というのは、審査員が全員一致でなければ与えられない名誉ある賞。
http://www.rhs.org.uk/events/mn_hampton_court.asp

ロンドンから南西に約20km、テムズ河沿いにあるハンプトンコートは1514年にトマス・ウルジー枢機卿によって建築されたチューダー朝の壮麗な宮殿で、これを気に入ったヘンリー八世が召し上げ、以後200年に渡って王家の宮殿として使用される。
http://www.hrp.org.uk/hcp/indexhcp.htm
East Molesey, Surrey KT8 9AU

チェルシー・フラワー・ショウ

囚人チームはのちにこのフラワー・ショウにも挑戦することに。
1913年に始まった、世界で最も名高く伝統のあるフラワー・ショウ。RHSにより、毎年5月下旬に開催。

開催場所Royal Hospital, Royal Hospital Roda, Chelsea, Lonon (最寄り駅:地下鉄Slone Square)
http://www.rhs.org.uk/chelsea/index.asp

ガーデニングに関する名言

バーナード・ショー
「神を見つけるのに最適な場所は庭だ」
The Best Place to seek God is in the Garden. You can dig for Him there.

エリザベス女王
「イギリスはガーデニングの国。これほど人を選ばず愛される職業もない。」
Gardening has been a national obsession for centuries. There cannot be any other occupation that absorbs equally every section of society.

実際イギリス人にアンケートをとると「趣味」の一位は圧倒的に「ガーデニング」である。

 

ロケ地

コッツウォルズ地方

Yehudi Menuhin School, Cobham, Surrey

・・・エッジフィールド更生刑務所として
名ヴァイオリニスト、ユーディー・メニューイン(1916-1999) の名を冠した音楽学校。
http://www.yehudimenuhinschool.co.uk/ymschool/
Address: Stoke D'Abernon, Cobham, Surrey

Nornay Grange, Surrey(ノルネイ農場屋敷・Sarry州Guildford近郊)

・・・オズルブリー・ハウスとして
オフィシャル・サイトによると「19世紀の建築家ボルセイによって造られた建物で、チューダー様式の窓や、アール・ヌーボーの金属細工、さらにゴシック様式、ロマン様式が混在する実験的な建造物」とのこと。

バーンズリー・ハウス

Barnsley House Garden, Barnsley, Cirencester, Gloustershire GL7 5EE
園芸家でありガーデンライターのローズマリー・ベレーによる、コッツウォルズ地方にある庭園。見事なキングサリの他、ハーブ・ノット・ガーデン、ボーダー・ガーデンなどで知られる。

RHS本部(Vincent Square, London SW1P 2PE)

ハンプトンコート パレス

#冒頭でコリンが花束を置いてきた場所は、門のところに「Warley House, Gunford」と書いてあった気がするのですが、イギリスのどのあたりにあるのでしょう。この屋敷をご存知の方は情報をお寄せください。("Warley House"で検索するとハリファックスと出るのですが、ここのことかどうかは不明)

 

音楽

Sawing the Seeds of Love - Tears for Fears
All I need is you - U2(釈放されたコリンがプリムローズと車に乗る場面)
I wouldn't Believe your Radio - Stereophonics
Twenty Five to Midnight - Sting
If I Should Fall Behind - Bruce Springsteen

 

キャスト

Clive Owen .... Colin Briggs(囚人)
David Kelly .... Fergus Wilks(年老いた囚人)
Danny Dyer .... Tony (ちょっとお調子者の若い囚人)
Adam Fogerty .... Raw (コワモテの囚人)
Paterson Joseph .... Jimmy (家族想いの囚人)

Helen Mirren .... Georgina Woodhouse(有名なガーデニング専門家)
Natasha Little .... Primrose Woodhouse(Georginaの娘)

Warren Clarke .... Governor Hodge (エッジフィールド更生刑務所長)
Lucy Punch .... Holly (刑務所勤務・Tonyと恋仲に)
Peter Guinness .... Dudley

Danny Dyer:『ヒューマン・トラフィック』
Adam Fogerty:『スナッチ』『シーズン・チケット』
Warren Clarke:『時計仕掛けのオレンジ』で主人公を陥れる太った仲間役を。

(2000年イギリス91分)

国内盤DVD


『グレアム・ヤング毒殺日記』 The Young Poisoner's Handbook(1995)

監督・脚本:Benjamin Ross
脚本:Jeff Rawle

Story

ヒトラーと孤独を愛し、14歳で継母を毒殺した少年グレアム・ヤング。1960年代から70年代にかけて活躍し、1990年に刑務所で謎の死を遂げた若き毒殺魔の実話を元にした作品。

グレアム・ヤングは幼い頃から科学に興味を持ち、なかでもとりわけ毒に関する研究に魅せられていた。ソリのあわない継母に少しずつタリウムを投与し、病気に見せかけて殺害に成功するが、運悪く警察に疑われ逮捕されてしまう。異常性格者として一生を刑務所の中で送るはずだったが、名医のもとに治療が行われ、奇跡的に社会復帰を許される。

研究所の倉庫管理係として就職し、誰も彼の過去を知らない環境でまじめに仕事に打ち込み、職場の仲間ともうまくやっていたが、ふと薬品棚の中にあの懐かしい薬瓶を見たことで、彼の中の何かが狂っていった・・・

 

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グレアム・ヤング

"I want to be the greatest poisoner the world has ever seen!"
The Bovingdon Poisoner
としても知られる、イギリスの有名なシリアル・キラー(連続殺人者)。父は技師、継母はパブ"The Spotted Dog"のアコーディオン弾き。1990年8月22日に刑務所で謎の死を遂げる。

食べ物

Yeoman Mustard
イギリスで人気のあるマスタードのメーカー。グレアムはこの中に・・・

フィッシュ&チップス:
普通は塩と酢だけで食べるが、グレアムはケチャップを山ほどかけるのが好き。

Bootsの目薬

日本にも上陸したイギリスの人気薬局チェーン「Boots」。Bootsで買った目薬に仕掛けをされた姉のウィニーはひどい目にあう。それを聞いた叔父たちは、「Bootsにはワイン・メイキング・キットのような、ちゃんとしたものも売ってるのに」と不思議がる。イギリスのブーツでは、ワインやビールの醸造キットが人気商品として売られている。

Boots WebSite

ハーブ園

グレアムの治療の一環として、ハーブ園の管理を任せるというところがいかにもイギリス?

お茶の時間

倉庫係のグレアムは、同僚のためにひとつひとつ違う柄のマグカップを覚えて、砂糖、ミルクの分量などのレシピをノートに付けている。ほとんどの人はミルクティーで、カップには紅茶より先にミルクを先に注いでおくMIF(milk-in-First)式。

土産物屋でよく見かけるようなユニオン・ジャック柄のマグがアッと言わせる使い方をされている。

塀の中でのグレアム

再び逮捕されたグレアムの独房には、壁に壁の事件を報道した新聞記事がずらり。「Daily Mirror」「Evening Standard」など。

Online Mirror
Evening Standard Online

音楽

セルジュ・ゲンズブールの「ジュテーム・モワ・ノン・プリュ」をはじめとして、懐かしいポップスが効果的に使われている。

 

ロケ地

Neasden
Harshurst Prison
Dudley and Hunter Factory

Cast

Hugh O'Conor .... Graham Young
Antony Sher .... Dr. Ernest Zeigler(精神科医)
Charlotte Coleman .... Winnie (姉)
Roger Lloyd-Pack .... Fred (父)
Ruth Sheen .... Molly (継母)
Paul Stacey .... Dennis(姉の婚約者・商務省の監督官)
Samantha Edmonds .... Sue (グレアムの憧れの女の子)
Jack Deam .... Mick (グレアムの親友)
Vilma Hollingberry .... Pantyおばさん
Frank Mills .... Jackおじさん
Charlie Creed-Miles .... Berridge (刑務所で知り合った若い元兵士)
Roger Frost .... 工場長

(1995年 イギリス 99分)

『グレアムヤング毒殺日記』訳者:高橋啓/飛鳥新社


『クローサー・ユー・ゲット』The Closer You Get (2000)

監督:Aileen Ritchie
制作:UBertoPasolini・・・『フル・モンティ』
脚本:William Ivory
原作:Herbie Wave

Story

アイルランドのドネゴール北西部にある海辺の田舎町キルバラ。過疎の村の例に漏れず、ここでも若者たちは結婚難に悩みロマンスの相手を探していた。村の独身男たちはマイアミの新聞に広告を出して、アメリカ娘たちを聖マルタ祭のダンス・パーティーに招待しようと盛り上がり、モテる男になるために奔走する。そんな彼らを横目で見ながら、女たちは入港中のエキゾチックでセクシーなスペイン人漁師たちをダンスに招き楽しそう。独身男たちのひとり、肉屋のキーランは、これまで無視してきたシボーンの美しさに気付いて焦りを覚える。近づけば近づくほど見えなくなる身近にいる人の魅力に気付きはじめた人々は・・・?

 

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キルバラ

「Kilvara」は「海のそばの教会」という意味。
大西洋に面した村なので、むらにたったひとつのパブの名前も「The Atlantic Bar(大西洋のバー)」

結婚難

マローン神父が"葬式は経験があるがこの村で結婚式をしたことがない"というほど、最後に結婚式があってから久しいキルバラ。アイルランドの田舎の方では結婚難に悩む地域が少なくなく、村全体でお見合いパーティーを開くところも。
参考:『恋はワンダフル!?』The MatchMaker (1997)

引き潮の浜にはボートを担いで

満潮になるとイアンとキーランの兄弟はボートに乗って、干潮時はボートを担いで浜を歩いてパブに通う。ロケに使われた海辺の教会も、満潮時には壁まで潮が満ちてくるとか。

教会で映画上映

教会では月に一度宗教的な映画上映会を開いているのだが、ある時間違ってチャールトン・ヘストンの『十戒(The Ten Commandments)』のかわりに、女優ボー・デレクの水着姿も眩しい『テン(10)』を流してしまった。スクリーンのセクシーな美女を見たのをきっかけに、村の男たちはロマンスへの憧れを膨らませてゆく。
『テン』1979年 アメリカ映画・共演:ダドリー・ムーア

郵便局

田舎の郵便局では雑貨屋も兼ねていることが多く、メアリーの経営するこの郵便局でも野菜やお菓子、日用雑貨を売ってる。困ったことに、彼女は差し出される郵便物や届いた荷物をかってに開けてしまう。

ギネス

パブでみんなが飲んでいる黒いビールはギネス。キーランの部屋にもギネスのロゴ入りパブミラーが壁にかけてある。スペイン男を招待したダンス・パーティでは、スペイン人の好むサングリアと、アイリッシュの好むギネスが振る舞われ、大いに盛り上がる。

ひつじのショーン

Ellaの部屋には、「ウォレスとグロミット」のキャラクター、羊のショーンのリュックがかけてある。

ジョン・ダンの詩

イアンが去って行くケイトに向かってスピーカーを通じて朗読したのは、ジョン・ダン(John Donne)の詩。

ロケ地

ドネゴール北西部Kincaslough村を中心に撮影された。
"アイルランド版『ローカル・ヒーロー』"のようなイメージでロケ地探しをしたとか。
海に近い教会の外部はKincaslough Parish Churchで、内部はDochary churchで撮影された。

その他、海岸の場面はBurtonportで、農場はMaghoryで。

音楽

オリジナルスコア担当:レイチェル・ポートマン
・・・『エマ』で米アカデミー賞オリジナル作曲賞受賞
『サイダーハウス・ルール』で米アカデミー賞ノミネート

その他
「Kiss to Build a dream on」(ルイ・アームストロング)
去っていくケイトにイアンが教会のスピーカーから流した曲

キャスト

Ian Hart .... Kieran O'Donnagh(肉屋)
Sean McGinley .... Ian O'Donnagh(牧場経営・Kieranの兄)
Niamh Cusack .... Kate(パブ経営)
Ewan Stewart .... Pat(パブの主人・Kateの夫・元サッカー選手)
Deborah Barnett .... Ella(Kateとの娘)
Ruth McCabe .... Mary(郵便局経営・Seanの母)
Sean McDonagh .... Sean(Maryの息子・18歳)
Cathleen Bradley .... Siobhan(肉屋店員・Kieranが好き)
Pat Shortt .... Ollie Doyle (36歳童貞)
Risteard Cooper .... Hubert Mallone神父
Maureen O'Brien .... Dollie(Ollieの母)
Pat Laffan .... Giovanni (理髪店主)
Britta Smith .... Mrs Duncannon
Frank Laverty .... Brian(郵便配達員)
Dessie Gallagher .... Mickey
Michael McDougall .... Liam

(2000年 イギリス 93分)

Official Site(英語日本語

Video(US版タイトル:American Woman)
Soundtrack


『グロテスク』 The Grotesque (1995)

監督:John-Paul Davidson
原作:Patrick McGrathの小説_The Grotesque_

Story

イーストアングリア(イングランド東部)に佇む美しいカントリーハウスに、執事のフレッジとその妻ドリスが新しく雇われた。館の当主である没落貴族のヒューゴ卿は恐竜の化石研究に没頭するあまり、妻をほとんど省みることなく、彼女は常に欲求不満。ヒューゴ卿が溺愛するひとり娘のクリオは、駆け出しの詩人シドニーと恋愛中。フレッジは何ごともソツなくこなす有能な執事だったが、彼が来て以来、家族は次第におかしくなってゆく。フレッジは、ヒューゴ卿夫人のハリエットに続き、クリオの恋人シドニーまで誘惑する。やがてシドニーが謎の失踪を遂げ・・・

不気味な執事が貴族一家を崩壊させる、謎とブラックな笑いに満ちたイギリスらしいグロテスクさが溢れる作品。豚やひき蛙(Todd)がたまらなくグロテスク。

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屋敷の様子

ワインセラーやゲームルーム(=狩猟の獲物を保管する部屋)なども備えた屋敷であるにもかかわらず、没落貴族の悲しさか屋内の電気配線をやりかえる資金もなく、ろうそくとランプで暮している。キッチンにはトロフィー(鹿など獲物の首の剥製)がいくつも飾られており、食器棚には年代物の皿や銀のカトラリーがたくさん。

ヒューゴ卿の屋敷では豚を飼育しているので、ディナーには子豚の丸焼きが出た。この丸焼きは口に半月型のトマトをくわえさせられているのだが、イギリスのスーパーでは魚の口に半月型に切ったレモンをくわえさせてディスプレイしているのをたまに見かける。

自分のところで育てた豚をつぶして、ポークパイを作って客に振る舞うことも。
参考:ポークパイが登場する作品・・・『スウィーニー・トッド』 (1998),『ハンドフル・オブ・ダスト』(1988)

ティータイムの風景

シドニー失踪事件を調べに来た警部に、ハリエットは三段がさねの皿に菓子を盛ってもてなす。

クリスマスの風景

暖炉の上にクリスマスカードが飾ってあり、部屋にはクリスマスツリーも見える。その様子を見たリンプ警部はヒューゴ卿に「Happy Christmas」と挨拶する。アメリカで「Merry Christmas」というのが一般的なのに対し、イギリスでは「Happy Christmas」と言うことが多いとか。

マザーグース"This little piggy"

フレッジの妻ドリスは、ヒューゴ卿の足の爪を切っている時に、マザーグースの歌"This little piggy"を口ずさむ。これはよく赤ちゃんや小さい子をあやす時に歌われるもので、足の親指から小指まで順番につまんでゆき、最後に足の裏をくすぐる遊び歌。植物人間状態になって、赤子のように世話が必要なヒューゴ卿の足の爪を順番に切りながらこの歌を口ずさむドリス---恐ろしいブラックユーモアである。

This little piggy went to market,
This little piggy stayed home,
This little piggy had roast beef,
This little piggy had none,
And this little piggy cried,
Wee, wee, wee, all the way home.

 

ロケ地

Heydon Hall, Norfork, England

キャスト

Alan Bates .... Sir Hugo Coal(当主・恐竜研究に夢中)
Theresa Russell .... Lady Harriet Coal (Sir Hugoの妻・アメリカ出身)
Sting .... Fledge(執事)
Trudie Styler .... Doris (Fledgeの妻)
Lena Headey .... Cleo Coal (Sir Hugoの娘・Oxford在学中)
Jim Carter .... George Lecky (代々Coal家に仕える使用人)
Chris Barnes .... John Lecky (Georgeの弟)
Steven Mackintosh .... Sidney Giblet (Cleoの恋人・詩人)
Anna Massey .... Mrs Giblet (Sidneyの母)
Maria Aitken .... Lavinia Freebody (Mrs Gibletの連れ)
James Fleet .... Limp警部
John Mills .... Sir Edward Cleghorn(ヒューゴ卿の恐竜説に異議を唱える知人)
Annette Badland .... Connie Babblehump(ディナーに招かれた太った女性)

Trudie Stylerは実生活でも執事のフレッジを演じたStingの妻。

imdb.com

 

(1995年 イギリス 104分)

Video
Video Title: _Grave Indiscretion_

Book
The Grotesque : A Novel
(Vintage Contemporaries) by Patrick McGrath

 


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