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The Forsyte Saga (2002) - TVミニシリーズ

監督:Christopher Menaul / Dave Moore
脚色:Stephen Mallatratt/Jan McVerry
原作:John Galsworthy _The Forsyte Saga_

テーマソング:ブリン・ターフェル

グラナダTV製作、全六話のミニシリーズ。 ジーナ・マッキーヨアン・グリフィズルパート・グレイヴズなど豪華キャストが話題に。

DVDは三枚組ピクチャーディスク仕様でした→

 

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Story(注:ネタばれです)

Episode 1

1874年ロンドン。 資産家Forsyte家のYoung Jolyonは、幼い娘Juneのガヴァネス(家庭教師)であるHeleneに淡い想いを抱いていたが、妻のフランシスに責め立てられたことをきっかけに、財産も名誉も全て捨ててHeleneと家を出ることを決意する。 Young Jolyonの父、Old Jolyonは残されたJuneを引き取り養育する。

Forsyte家の親族会の席で、WinifredMontague Dartieとの婚約を発表する。

その9年後、イングランド南部のリゾート地ボーンマスで、Soamesはコンサート会場で美しい女性Ireneを見初める。 彼女は父を亡くしたばかりで、父の後妻であるMrs. Heronに付き添われていた。 SoamesはたちまちIreneに夢中になり求婚するが、Ireneの方はなかなか彼を愛することが出来ない。 しかし"もし結婚生活に失敗したら私を自由にして欲しい"という条件をつけて、とうとうIreneは求婚を受け入れる。

一方、出奔したYoung JolyonHeleneとの間に子をもうけ、額に汗して働いていた。 家に残してきた妻フランシスが37歳の若さでなくなったことを知り、ようやくHeleneと正式に結婚した。

Young Jolyonの娘Juneは祖父の元で美しく成長し、今や17歳。 29歳のハンサムな新進建築家Phillip Bosinneyを結婚を考えている男性として祖父に紹介する。 Forsyte家に招かれたBosinneyIreneの間には、目が合った瞬間、微妙な感情が生まれた。

Ireneはこの頃Soamesとの結婚は完全に失敗だったと感じ始めていた。 触れられても嫌悪感しか感じない。 ついに彼女は夫と寝室を別にすることを願い出る。

Episode 2

Winifredは夫が知らぬ間に莫大な借金を作っていたことを知り愕然とする。

舞踏会でBosinneyIreneと熱い視線を見交わしながら踊り、その様子を見たJuneはショックを受けて逃げるようにその場を去る。

Soamesは妻との関係を何とか修復しようとして、趣向を凝らした家Robin Hillを新築する。 設計を依頼されたのは気鋭の建築家として評判が上がっていたBosinneyで、このことがBosinneyIreneをさらに近づける結果になってしまった。

IreneSoamesとの夫婦関係の破綻は決定的となり、Ireneは家を飛び出してしまう

Episode 3

SoamesIreneの溝はますます深まるばかり。 Robin Hillの家はついに完成したが、最初の契約より予算がオーバーしてしまったため、SoamesBosinneyを訴える。

傷心を癒すために外国旅行に出ていたJuneがスイスから戻ってこの訴訟の話を聞き、かつての恋人Bosinneyの窮状に胸を痛める。

一方でBosinneyIreneは互いにますます思いを募らせるようになり、密会を繰り返しついに一線を越えてしまう。 そして訴訟の後ともに駆け落ちする計画を立てていた。

ある夜Soamesは自分を拒むIreneに暴行し、そのことを知ったBosinneyは激昂してクラブに乗り込むが放り出され、その帰り道に悲劇的な事故で命を落としてしまった。 そうとは知らずにBosinneyが現れないまま裁判は終わり、不審に思って彼の家を訪ねたIreneJuneと鉢合わせし、互いの胸の内と感情をぶつけ合うことに。

Episode 4

Bosinneyの死を知ったIreneは結婚指輪を残し、家を出て行った。 いまやの遺作となったRobin HillOld Jolyonによって買い取られた。

その5年後、Young Jolyonの愛妻Heleneはふたりの子供を残して病死した。Old Jolyonはオペラ座で行方不明になっていたIreneを見かけ、その数日後にRobin Hillの近くでBosinneyとの思い出に浸っていたIreneを再び見つけ、Robin Hillに招待する。 このことをきっかけにIreneは度々Robin HillにいるOld Jolyonを訪ねてやって来るようになった。

Winifredの夫Montyもオペラ座でIreneを見かけたが、彼も妻でない女性を同伴していた。

やがて年老いたOld Jolyonの寿命は尽き、遺言で不遇なIreneにも遺産が贈与されることになった。 Old Jolyonの死後初めてJuneYoung Jolyonは、彼がIreneと親しく行き来していたことを知り驚く。

Episode 5

7年の月日が過ぎた1899年、Soamesは45歳になっていた。 Ireneが去ってから12年経ち、ようやく彼も年若いアネットというフランス娘と交際するようになる。 アネットと彼女の母親を別荘に招待したりして、真剣に結婚を考え出すようになったが、その前にSoamesは別居中の妻Ireneと離婚手続きをする必要があった。

一方、Soamesの妹Winifredも夫婦の危機を迎えていた。 夫のMontyは若いスペイン人の愛人に入れ込み、かつて長女Imogen出産の記念にとWinifredに贈った真珠のネックレスまで盗み出して愛人に与えていた。 すでに救いようが無いと、Soamesは妹に離婚を勧める。 MontyWinifredの息子Valは、自分の父が賭博場で酔っ払って愛人と戯れていたところを目にし、ショックを受ける。 やがてどうにもいかなくなったMontyは、ひとりブエノスアイレスへ旅立ち、行方知れずになる。

Ireneと正式に離婚するためにSoamesは彼女のフラットを訪ねるが、久しぶりに会った妻は相変わらず美しく、Soamesの心に消えかけていた情念の炎が再燃する。 恐ろしくなったIreneSoamesから逃げるために、ひとりパリへと逃れる。

Soamesの甥Valと、Soamesと敵対関係にあったYoung Jolyonの娘Hollyは、親たちの思惑もよそに若い恋を育ててゆくが、Jollyは妹とValが交際するのを快く思わない。 やがて南アフリカでボーア戦争が勃発し、世間に不穏な空気が流れ出す。

Episode 6

Valはオックスフォードに進学せず、Jollyとともに志願してボーア戦争に出征することになった。 若い二人を見送るフォーサイト一族。

SoamesIreneに対する妄執は一層深まり、探偵を雇って彼女を尾行させる。 彼女の身を案じてパリにやってきたYoung JolyonIreneは恋に落ち、結ばれる。 Ireneにとっては今やSoamesのことなど疎ましいだけで、彼女を追ってパリに現れたSoamesを見て戦慄する。

Valはボーア戦争から戻ると、親の世代の確執を乗り越えてかねてから恋仲であったHollyと結婚し、周囲を戸惑わせる。

SoamesはようやくIreneを諦め、離婚が成立。 Annetteとの新しい愛に生きることを決意する。 フォーサイト一族に彼女を紹介するが、彼女がフランス人で、しかもSOHOのレストランで働いていたことを知ると周囲は微妙な反応を見せる。

Annetteは難産で、Soamesは医師に「母体か子供か」の選択を迫られる。 手術すれば母体は助かるがもう二度と子供は望めないと。 結局Soamesは子供の命を優先したが、Annetteの命も九死に一生を得た。 しかし蓋を開けてみれば、生まれたのは跡継ぎにならない女の子、しかもAnnetteはもう二度と子供を産めないだろうという非情な宣告が下される。 死の床にあったSoamesの父は「生まれたのは男の子」だと嘘の報告を受け、そのまま安らかに息を引き取った。

一方で再婚したYoung JolyonIreneの間には男の子が産まれ、Robin Hillは幸せに包まれる。

 

Check

原作者:ジョン・ゴールズワージー

John Galsworthy(1867-1933)
ロンドン近郊、サリー州Kingston Hillに、裕福な弁護士の子として生まれる。 パブリックスクールのハロー校からオックスフォード大学New Collegeに進学、自らも弁護士の資格を取る。1932年ノーベル文学賞受賞。ゴールズワージー作品の映像化としては、他に『サマー・ストーリー』A Summer Story(1988)として映画化された『林檎の木』が日本では知られている。

The Forsyte Saga」は、_The Man of Property_(1906)_In Chancery_ (1920) To Let (1921)という三つの長編と、_Awakening__Indian Summer of a Forsyte_ふたつの短編を併せて、1922年に出版された。ゴールズワージーは、実生活でもちょうどこの「The Forsyte Saga」と同じようにいとこの妻と不倫の関係にあった。

 

アッパーミドルクラスの生活

Mr. Soames Forsyteの職業はソリシター(事務弁護士)。 職業を持たず先祖代々の財産で暮らす貴族階級とは違うが、たいへん裕福な典型的アッパー・ミドル・クラスの男。

ガヴァネス(女家庭教師)

Young Jolyonが娘のガヴァネスと駆け落ちしてしまったという事件は、ヴィクトリア朝に生きる人々の倫理観からすると、とんでもないスキャンダル。 Young Jolyonはフォーサイト一族を離れ、自立の道を選ぶ。 たとえば『ジェイン・エア』Jane Eyre (1996) も、ガヴァネスが当主と結ばれる物語だが、これは当時の考え方からすれば大変な身分違い。 Young Jolyonとその妻は、ガヴァネスが"servant"か否かをめぐって口論する。

ガヴァネスとは、主に住み込みで上流から中流階級の子供の教育にあたった女性家庭教師のこと。19世紀のイギリスでは、働いて収入を得る女性はレディではないと見なされており、未婚の女性がレディの体面を保ちつつ就ける仕事はガヴァネス以外にはなかったとか。 かといって、ガヴァネスは時として"servant"と冷遇されることもあり、その地位はきわめて不安定なものだった。

参考文献:『ガヴァネス ヴィクトリア朝の<余った女>たち』川本静子・著/中公新書
サッカレー『虚栄の市』、シャーロット・ブロンテ『ジェイン・エア』、ヘンリー・ジェームズ『ねじのひねり(ねじの回転)』など、イギリス小説に登場するガヴァネスを題材に歴史的背景を解説した本。

ヴィクトリア朝のインテリア

Episode 1Young Jolyonがいる部屋には、ウィリアム・モリス・デザインの壁紙が。 ちょうどモリス率いるアーツ&クラフツ運動華やかなりし時代。

 

日本趣味

ヴィクトリア朝のイギリスでは日本に対する関心が高まっていて、ファンションとしてインテリアに取り入れるものも少なくなかった。

Forsyte家の暖炉に上には、日本の扇が飾ってある。

Ireneが和傘のようなものをさしている場面も。

IreneBosinneyが日本庭園を散歩しているところに、ちょうどそこでスケッチをしていたYoung Jolyonに出会う場面が。

 

舞踏会

Ireneのダンスの相手とその表情に注目。 Soamesと踊った時のとまどい、全身から恋する女のときめきがにじみ出ていたBosinneyとのワルツ、そしてYoung Jolyonに手をとられている時の心を許した笑顔・・・と、それぞれ比べてみるのも面白い。

ボーア戦争(Boer War 1899-1902)

19世紀末、ヴィクトリア朝の繁栄を極めた時代のイギリスが、南アフリカにあったボーア人が支配する二つの共和国、トランスバール(Transvaal, 南アフリカ共和国とも)とオレンジ自由国(Orange Free State)を併合するためにひき起こした戦争。 ともに金鉱など豊かな資源を持つ地域で、オランダ系移民の白人(=ボーア人)が支配していた。 1902年のフェリーニヒング条約(Treaty of Vereeniging)により、このふたつの国はイギリスの植民地支配下に置かれた。

参考:Anglo-Boer War Museum

 

Annetteに対する態度(第6話)

SoamesAnnetteを連れて親戚一同に引き合わせたのは、ちょうどヴィクトリア女王が崩御した直後(1901122)。 彼女が黒い服を着ていたのを見て、「フランス人なのに、まぁ」といわれる。

AnnetteSOHO(ロンドンの歓楽街・劇場街)にあるレストランで働いていたと聞き、ジョージやモンティは声をそろえて驚きの声をあげる。 有産階級の淑女はそのような場所で働くはずが無いので、彼らはSoamesがそのような階級の、しかも外国人を妻にするつもりだと知って驚く。

リメイク

本作は、1967年BBC製作の伝説的な大ヒットドラマ「The Forsyte Saga」のリメイク。

映画:『フォーサイト家の女』That Forsyte Woman (1949) imdb.com

TVシリーズ:The Forsyte Saga (1967) imdb.com

 

ロケ地

Lyme Park

・・・Old JolyonJuneが暮らす屋敷として。

BBCの人気ミニシリーズ『高慢と偏見』Pride and Prejudice (1995)のロケ地となった屋敷としても有名。
2002年初夏、私が訪れたときはちょうどこの「The Forsyte Saga」撮影に使用されたコスチュームが展示されていた。Damian LewisGina McKeeIoan Gruffuddが実際に身に着けた衣装を目の前に感激。)

Address: Lyme Park, Disley, Stockport SK12 2NX Cheshire(地図)

リバプール

 

Cast

Damian Lewis .... Soames Forsyte
Gina McKee.... Irene Forsyte(Soamesの美貌の妻・旧姓Heron)
Ioan Gruffudd .... Phillip Bosinney(建築家・Juneと交際していたがIreneと恋に落ちる)
Gillian Kearney .... June Forsyte (Young Jolyon
の娘・Bosinneyと交際していた)
Rupert Graves .... Young Jolyon Forsyte(画家・家庭教師と恋に落ち家を出る・Soamesのいとこ)
Corin Redgrave .... Old Jolyon Forsyte(Young Jolyon
の父)

Ben Miles .... Montague Dartie (Winifredの夫)
Amanda Root .... Winifred Dartie(Soames
の妹)
Julian Ovenden .... Val Dartie (Winifred
Montagueの息子)
Alice Patten .... Imogen (Winifred
Montagueの娘)

John Carlisle .... James Forsyte (Soamesの父・Juneのおじ)
Barbara Flynn .... Emily (Soames
の母)

Judy Campbell .... Aunt Ann (老婆)
Ann Bell .... Aunt Hester
Wendy Craig .... Aunt Juley
Alistair Petrie .... George Forsyte

Amanda Ooms .... Helene Hilmer/Forsyte(Young Jolyonと恋に落ちるJuneの家庭教師)
Amanda Ryan .... Holly (Young Jolyon
Heleneの娘)
Christian Coulson .... Jolly Forsyte (Young Jolyon
Heleneの息子)
Sarah Winman .... Frances (Young Jolyon
の妻・Juneの母)

Beatriz Batarda .... Annette(のちにSoamesと結婚するフランス娘)
Kika Markham .... Mme. Lamotte(Annette
の母)

Malcolm Raeburn .... Parfitt (Old Jolyonの執事)
Robert Lang .... Swithin
Jowanna Rose .... Smither (Ann
付きのメイド)
Maggie Fox .... Bilson (Soames
のメイド)

Joanna David .... Mrs. Heron(Ireneの父の後妻)
Terence Wilton .... Mr. Beech(Mrs.Heron
の知人)

David Schofield .... Polteed(探偵)

キャストについて補足

Amanda Root(Winifred)・・・ジェイン・オースティン原作『待ち焦がれて』 Persuasion (1995) のヒロイン。

Gillian Kearney(June)・・・『旅する女 シャーリー・バレンタイン』Shirley Valentine (1989) で、ヒロインの少女時代を演じる

Barbara Flynn(Soamesの母)・・・『心理探偵フィッツ』 Cracker (1993-1996)でフィッツの妻を演じる

Judy Campbell(Aunt Ann)・・・ジェーン・バーキンの母、シャーロット・ゲンズブールの祖母

 

参考資料とソフト

imdb.com

Project Gutenberg:原文テキスト

ソフト

Soundtrack
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(字幕なし・メイキング映像、撮影中のスナップ写真、キャスト・原作者紹介など特典映像つき)

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