タイトル*き
1988年の『ワンダとダイヤと優しい奴ら』のキャストが再集結したコメディ。 今回もモンティ・パイソンのJ・クリーズが制作・脚本・主役をこなす。脚本を自分で書いているから「ワンダ・・・」でもこの作品でもオイシイ役をやっているのか?(笑)
アトランタの大企業に買収されたロンドンのマーウッド動物園。香港支社から派遣された新任の園長ロロ・リー、他社から引き抜かれたヤリ手の女性重役ウィラ、社長の馬鹿息子ヴィンスの三人は、動物園の収益を改善させるためにさまざまな手を打つ。
客を呼べる猛獣だけを飼育して、キツネザルなどの可愛いおとなしい動物を処分しようとするリストラ策を打ち出す園長に対して、飼育員たちはさまざまな作戦を練る。一方社長の息子はスポンサー獲得作戦に出るが、動物園は混乱に陥るばかり・・・
園長のロロ・リー(ジョン・クリーズ)が、足の怪我をしたご婦人の血を慌ててなめた時、「ロロ・リー?」「クリストファー・リーよ!」と周囲が騒ぎ出したのは、ハマー・プロの往年の名作『吸血鬼ドラキュラ』などでドラキュラ役をあたり役としていたスター、クリストファー・リーとこの園長の姓が同じこと、血を吸ったことから連想されるギャグ。
Marwell Zoological Park, Marwell, Hampshire(マーウッド動物園)
チャンネル諸島ジャージー島
John Cleese .... Rollo Lee
Jamie Lee Curtis .... Willa Weston
Kevin Kline .... Vince McCain/Rod McCain
Michael Palin .... Adrian "Bugsy" Malone
Cynthia Cleese .... Pip Small Mammalsケヴィン・クラインは、社長とその馬鹿息子の、ひとり二役
(1997年 アメリカ 93分)
監督:ラース・フォン・トリアー
1970年代初めのスコットランドの寒村。油田の採掘現場で働くよそ者のヤンと結婚したベスは、教会の清掃奉仕を進んで行う敬虔な信者で、しばしば神との対話を夢想する、繊細ながらも内なる激情を秘めた女性だった。何の産業もない寒村なので、村の男たちは海か油田に出稼ぎに行って家を空けるのが常だったが、新婚のベスは耐えかねて「ヤンを返してくれ」と神に祈り続けた。ある日出稼ぎに行っていたヤンが、油田の事故で全身麻痺の重態に陥ってしまう。「自分が彼の帰宅を強く望んだからこんなことに」と自責の念に駆られるベスに、ヤンは自分のために他の男と関係を持てと命令するのだった・・・
聖餐式を行ったり戒律を重んじたりする厳しい信仰を守る村の教会。
アルコールが忌まれているのか、ベスとヤンの結婚式の時にヤンが飲むビールを苦々しく見つめる老人。教会にも”鐘は人間の手によるものだから神は喜ばない”とはずされてしまって鳴らされることはない。教会は離婚を許さないし、教会で発言できるのは男性のみで、女性は一段低い位置に置かれていた。
「あなたがたの誰もベスを地獄に送る権利はない!」というドドの悲痛な叫び・・・「人間が人間を裁けるのか」というテーマは、カソリックを題材にした映画で永遠に追求されるモチーフだろう。子供たちに石もて追われるベスの姿は「まず罪のないものが石を投げよ」という新約聖書の言葉を思い起こさせる。(→参考:『司祭』)
結婚のお祝いの席で出席者たちはカントリーダンスを踊り、バグパイプを演奏してくれる人もいる。ヤンの友人たちが飲む黒ビールの銘柄は「Tartan」。
公衆電話の赤いボックスのなかでひたすらヤンからの電話を待つベス。当時は電話が各家庭まで普及していなかったのだろうか。周りには人家が全くなく、いかにも寒村と言う雰囲気。
1970年代の、しかもベスが住んでいたような地方の村では、教会でも女性は自分の意見を述べることが許されていないなど、男女の区別・差別がはっきりしていた。当然、村のパブに集まる客も男ばかり。 エールを飲んだりスヌーカーをしてくつろぐ男たちでいっぱいのパブに、娼婦のような服装をしたベスが入っていた時、客たちの視線は彼女に集中する。
派手な服を着て港にいったベスが佇んでいたのは、フィッシュ&チップスの移動販売車の前。 スコットランドの漁港の周辺は新鮮な魚が手に入るので、シーフード・レストランやフィッシュ&チップス店が賑わっていることが多い。
各章の冒頭にエルトン・ジョンの「Goodbye, Yellow Brick Road」やデビッド・ボウイなど1970年代のアーティストの曲が挿入されている。
準主役とも言うべき重要な役割を担っているのは、ベスの兄嫁で看護婦のドド。ドドもまた排他的な村に嫁いできたよそ者で、夫のサム(=ベスの兄)の死後も村に留まり続けたのはベスの存在が大きかった。この役を演じるKatrin Cartlidgeは『キャリア・ガールズ』で主役を演じている。
ジャン・マルク=バールやウド・キアーなど、ラース・フォン・オリアー監督作品の常連俳優たちも。
カンヌ映画祭審査員特別大賞
スコットランド…スカイ島(Glendale)、Mallaig
デンマーク…Copenhagen、Hellerup、Lyngby
Emily Watson .... Bess McNeill
Stellan Skarsgard .... Jan (Bessの夫)
Katrin Cartlidge .... Dodo McNeill (Bessの義姉)
Jean-Marc Barr .... Terry (Janの友人)
Adrian Rawlins .... Dr. Richardson (医師)
Jonathan Hackett .... 神父
Sandra Voe .... Bessの母
Phil McCall .... Bessの祖父
Udo Kier .... サディスティックな船員(1996年 デンマーク 158分)
『奇跡の海』ラース・フォン・トリアー (著)
斎藤 敦子 (翻訳) 幻冬舎文庫(1997/04/01)
監督: ジョシュア・ローガン
製作: ジャック・L・ワーナー(ワーナー・ブラザース創設者の一人)
原作戯曲: アラン・ジェイ・ラーナー&フレデリック・ロウ
原作小説: T.H. White_The Once and Future King_
脚本: アラン・ジェイ・ラーナー
撮影: リチャード・H・クライン
作詞: アラン・ジェイ・ラーナー
音楽: アルフレッド・ニューマン/フレデリック・ロウ/ケン・ダービー
マーリンの手助けによって理想的な王国キャメロットを築き上げたアーサー王は、美しいグィネヴィアを王妃に迎え、国中から優れた騎士を集め、王国の基盤を磐石なものにしていった。王の呼びかけに応じてフランスから馳せ参じた騎士ランスロットは、その抜きん出た資質によって、アーサー王と主従を超えた信頼関係を育ててゆく。しかしこのランスロットと王妃グィネヴィアが道ならぬ恋に落ちてしまい、ランスロットを非難する騎士たちを追放したりしていったのも重なって、しだいにアーサーの繁栄にも翳りが見えはじめるが・・・。
『マイ・フェア・レディ』My Fair Lady(1964) に続くラーナー&ロウによるブロードウェイ・ミュージカルの映画化。アーサー王、グィネヴィア、ランスロットの三人の関係に焦点を当てた豪華なスペクタクル・ミュージカル。
ランスロットが到着したのは5月1日、ちょうどグィネヴィアらが五月祭でピクニックを楽しんでいた日だった。イギリスでは5月1日のMay Dayに春の到来を祝う風習があり、若い娘たちは野に花を摘みに出かけたりする。起源は、古代ローマの花の女神フローラを祝ったものであるとか、古代ケルトの太陽神を祭ったものだとか諸説あるが、キリスト教伝来以前の古い風習に基づいていることは確か。
イギリス国内でのロケは行われず、カリフォルニアのワーナースタジオ内に巨大セットを組み立てて撮影された。キャメロット城のモデルとなったのは、スペイン・セゴビア近郊のコカ城。
リチャード・ハリス、ヴァネッサ・レッドグレイヴら出演者本人の歌声が披露される。フランコ・ネロのパートはGene Merlinoによる吹き替え。アーサー王の歌"Camelot"、ランスロットとグィネヴィアの切ない恋の歌"If Ever I Would Leave You"などが聴きどころ。
フランコ・ネロ:イタリア出身。『続・荒野の用心棒』のジャンゴ役でマカロニ・ウェスタンのスターとなり、『天地創造』で国際的にも広く知られるように。私生活ではヴァネッサ・レッドグレイヴとの間に一子あり。(結婚はせず)
デイヴィッド・ヘミングス:『欲望』Blow-up(1966) のカメラマン役が印象的な英国人俳優。のちに監督業も手がけるように。『欲望』ではヴァネッサ・レッドグレイヴと共演。
米アカデミー賞:音楽(編曲)賞、美術監督・装置賞、衣裳デザイン賞受賞、2部門ノミネート(撮影賞、音響賞)
米ゴールデン・グローブ賞:コメディ・ミュージカル部門男優賞(リチャード・ハリス)、音楽賞、歌曲賞(It I Shoud Ever Leave You)賞
Richard Harris .... アーサー王
Vanessa Redgrave .... グィネヴィア王妃
Franco Nero .... ランスロット
David Hemmings .... Mordred(アーサー王とその異父姉の息子)
Lionel Jeffries .... King Pellinore(アーサーの客人)
Laurence Naismith .... Merlyn(魔法使い・アーサーの師)
Pierre Olaf .... Dap
Estelle Winwood .... Lady Clarinda (グィネヴィアの侍女)
Gary Marshal .... Sir Lionel(騎士・ランスロットと一騎打ち)
Anthony Rogers .... Sir Dinadan (騎士・ランスロットと一騎打ち)
Peter Bromilow .... Sir Sagramore (騎士・ランスロットと一騎打ち)
Sue Casey .... Lady Sybil
Gary Marsh .... Tom of Warwick(ラストでアーサー王が出会う少年)
Nicolas Beauvy .... 少年時代のアーサー
国内盤DVD
メイキング、プレミア映像、予告編、解説など特典映像つき
(1967年 アメリカ 182分)
監督・脚本:マイク・リー
アニーは大学時代のルームメイトだったハンナに会いに、はるばる6年ぶりにロンドンに遊びに来た。口が悪くサバサバした英文学専攻のハンナ、繊細な心理学専攻のアニーと、性格はまるっきり違ったが妙にウマの合う親友だった。ハンナが家を買うためにアニーと物件巡りをしているうちに、ふたりは学生時代に知り合った人々と次々に不思議な再会を果たす・・・現在と過去が交錯する週末の三日間。違う道を歩きながらもひとつひとつの経験を「キャリア」として積み重ねた現在の二人の姿が心を打つ。
ふたりがともに大好きだったロックバンド「The Cure」の音楽がしばしば流れ、壁にはキュアーやデイビッド・ボウイのポスター。現在は不動産屋になってバリッとしたスーツに身を包むエイドリアンも、昔は「The Smiths」のTシャツを着ていた。
冒頭の場面。車窓を流れるのはイングランドらしい緑の平原。テーブルの上にはチョコバー(TWIX)とコーヒー。「キングスクロス駅まで一時間半かかった」という台詞とドンカスター(イングランド北部)の花瓶をお土産に持ってきたことを考え合わせると、アニーはドンカスターあたりの出身なのだろう。ブロンテ姉妹の家(ハワース)も近くにあると言っていた。
ハンナは「Ms Bronte, Ms Bronte...」と言いながら『嵐が丘』のペーパーバックを開き、そこに書かれた言葉で占いをする方法を信じていた。英文学専攻らしい?
学生時代にシェアしていたフラットは、同じ建物にChinese TakeAwayの店があり、遊びに来たリッキーもしばしば食べ物を買っていた。Chinese TakeAwayは庶民に人気の中華を中心としたお持ち帰りができる食べ物が揃っており、リッキーのお気に入り(?)はチップス(=細切りジャガイモの素揚げ)にカレーをかけたもの。
(米語では異なるのかもしれないが)英語で「What's the tea?」は「夕食は何?」という意味になる。teaが軽い食事を指すのだ。「紅茶」と明確に表わしたい時は「a cup of tea」と言った方が間違いが少ない。
ハンナやアニーが学生時代を過ごしたポスターをたくさん貼ったチープな部屋、現在のハンナのキャリア・ウーマンらしいシンプルでセンスの良いフラットの一室、不動産物件探しで訪ねたビッグベンやタワーブリッジが見える高級マンション、ヴィクトリア朝風の暖炉のついた一戸建て(またはセミ・デタッチド?)など、室内の様子に目を凝らすのも楽しい。
音楽を担当したMarianne Jean-Baptisteは、Mike Leigh監督作品の『秘密と嘘』で主人公の娘Hortenseを演じた。
主にロンドン(King's Cross駅、Primrose Hillなど)
イングランド南部の海岸(ヘイスティングス?)Primrose Hill・・・Flat探しをしていたHannahとAnnieが歩いていた公園
(情報提供:Eikoさん)
Katrin Cartlidge .... Hannah
Lynda Steadman .... Annie
Kate Byers .... Claire (元ルームメイト)
Mark Benton .... Ricky (太った青年・Annieに片思いしていた)
Andy Serkis .... Mr Evans (高級マンションの住人)
Joe Tucker .... Adrian (不動産屋・昔のBF)
(1997年 イギリス 87分)
Amazon.UK
Screenplay
好きになった相手が同性しか愛せない人物だったら・・・?イギリスの女流画家ドーラ・キャリントンと作家リットン・ストレイチーを軸にした異色のラブ・ストーリィ。
愛するリットンの心を繋ぎ止めるために、彼の意中の男性と結婚するキャリントン。だが、やがてその夫も愛人(女性)を作る。一つ屋根の下で繰り広げられる奇妙な人間模様〜リットンとその恋人、夫とその愛人という二組が愛し合う様をひとり見詰めるキャリントンの瞳が切ない。 精神の愛と肉体の愛について考えられさせられる作品。
時代背景とエピソード=戦争がヨーロッパに影を落とす1915年から物語は始まる。リットン・ストレイチーの「良心的徴兵拒否」の有名なエピソードも。ストレイチーは痔持ちなのでゴム製のドーナツ型クッションが手放せない。 レディ・オットリーンは当時の社交界の中心的存在。彼女の英国庭園での上流階級の乱痴気騒ぎ、彼女の別荘でキャリントンとリットンが過ごした幸せな日々。。。
原作はMichael Holroydによるリットン・ストレイチーの伝記がベースになっている。 音楽はマイケル・ナイマン。カンヌ映画祭審査員特別賞、主演男優賞(J・プライス)
ブルームズベリーグループについて詳しくはこちらをご覧ください
>>ブルームズベリー・グループ (Bloomsbury Group)
Dora de Houghton Carrington (1893-1932)
画家。1910年に入学したスレイド美術学校で絵画を学び、数々の賞を獲得。また、在学中に知り合ったマーク・ガートラーと恋愛関係になる。 ガートラーの紹介でオットリーン・モレルと知り合い、ブルームズベリーグループの文化人たちと交流するようになる。 1915年にリットン・ストレイチーに出会う。 映画ではヴァネッサ・ベルの家で初めて会った事になっているが、モレル夫妻のガーシントン・マアーで紹介されたという説も。 ガートラーは同性愛者のストレイチーが彼女との仲立ちを務めてくれるものと期待していたが、それに反して彼女はストレイチーに恋してしまった。 1917年にキャリントンとガートラーとの関係が破綻すると、ストレイチーはTidmarshにあるMill Houseを借り、キャリントンと同居を始める。
1918年に弟Noelのオックスフォード時代の友人レイフ・パートリッジと知り合い、1921年に結婚する。 1924年にパートリッジとストレイチーはハム・スプレイ・ハウスを購入し、キャリントンと三人の共同生活を始める。 映画にも登場するキャリントンが手がけた室内装飾が興味深い。1926年頃からパートリッジはフランシス・マーシャルと愛人関係になり、彼女も週末ごとにHam Spray Houseで共同生活を始める。 また、ストレイチーの若い愛人ロジャー・センハウスもしばしばやってきていた。
1931年11月にストレイチーは重篤になり、キャリントンは12月20日閉め切った車庫で車にエンジンをかけて自殺未遂を図る。 翌年1月21日にストレイチーが亡くなり、キャリントンは3月11日に銃で自殺。 Ham Spray Houseを訪れたレイフ・パートリッジ、フランシス・マーシャル、デイビッド・ガーネット(作家、ダンカン・グラントの愛人)に看取られた。
キャリントンについて:
Jane Hill著_The art of Dora Carrington_
(Giles) Lytton Strachey (1880-1932)
伝記作家。ロンドン生まれ。ケンブリッジ大学で学び、ブルームズベリー・グループの一員として頭角をあらわした進歩的文化人。作家としては、当初批評家としてそのキャリアをスタートさせたが、のちに伝記作家に転向。心理小説の手法を取り入れた新しい伝記文学を創りだした。ゲイであることを公にし、反戦主義を貫き徴兵拒否した。作中でも言及されていたヴァージニア・ウルフへのプロポーズは1909年のこと
Ham Spray House
1917年にストレイチーが購入したカントリーハウス。彼は死ぬまでの16年間をここで過ごした。
near Hungerford, Berkshire『ヴィクトリア朝名士伝』Eminent Victorians (1918)
Queen Victoria (1921)
『エリザベスとエセックス』Elizabeth and Essex (1928)
#映画『モーリス』のリズリーも、リットン・ストレイチーがモデル。
1915年ストレイチーは汽車に乗ってヴァネッサ・ベル夫妻を訪ねた折りに、男の子のようなショートカットのキャリントンに出会う。
この家はヴァージニア・ウルフの別荘Asham Houseだが、姉であるヴァネッサもしばしば借りて訪れていた。
ヴァネッサ・ベルはブルームズベリー・グループの画家で、ヴァージニア・ウルフの姉、夫のクライブ・ベルは文芸評論家。 ベル夫妻は互いに愛人を持っており、ヴァネッサの愛人画家ダンカン・グラント(ストレイチーのいとこで、以前ストレイチーの同性愛の恋人でもあった)と、クライブの愛人メアリー・ハッチンソン(ストレイチーのいとこ)も連れ立って、キャリントンとストレイチーを加えた合計6人で見晴らしに居場所に散歩に行く場面が。 ヴァネッサ・ベルが描いたメアリー・ハッチンソンの肖像画「Mrs St John Hutchinson」(1915, Tate Gallery収蔵)は有名。メアリーはヴァネッサやダンカン・ベルらのオメガ・ワークショップのパトロンとして彼らの活動を援助していた。 ベル夫妻の愛人がふたりともリットン・ストレイチーのいとこだというのも興味深い。
キャリントンの最初の恋人として登場するガートラーも画家で、「君はレディだが、俺はイーストエンド育ちのユダヤ人ってわけか」という台詞にあるようにスピタルフィールド生まれ。 第一次大戦をテーマに描いた彼の著名な作品「Merry-go-round」 (1916)も登場する。
Mark Gertler(1891-1939)
1891年12月9日、ロンドン・イーストエンド(Spitalfields)に生まれる。親はポーランドから移民したユダヤ人。
Slade美術学校で美術を学び、在学中にキャリントンと知り合う。ウィンストン・チャーチルの秘書だったエドワード・マーシュや、オットリーン・モレルらも彼の才能に目をつけ彼の作品を購入していた。彼も良心的兵役拒否者として、イギリスが第一次大戦に参戦することに反対の立場をとっていた。1939年6月23日自殺、遺体はWillesdenユダヤ人墓地に葬られる。
1871年にロンドンに創立されたアートスクール。(ヨークシャーの裕福な美術コレクターFelix Sladeの資産によって建てられたことからこの名が付いた。)1910年代にキャリントンやマークはここで美術を学んでおり、ジョン・ラスキンやロジャー・フライらも教授陣に名を連ねていた。 のちにヴァネッサ・ベルの息子クウェンティン・ベルも教授となる。 ちなみにデレク・ジャーマン(1964年入学)や、「ブラウン神父シリーズ」の作者G.K.チェスタトンもこの学校に通っていた。絵本画家のレイモンド・ブリッグスやブライアン・ワイルドスミス
第一次大戦が勃発すると、ブルームズベリーグループの人々は「良心的兵役拒否者」としての立場をとるものが少なくなかった。バートランド・ラッセルも兵役を拒否したため監獄に送られた。
リットン・ストレイチーは「徴兵反対国民会議」に参加。実際は次々と医者の診断書を持ち出して何とか兵役を逃れようとしていたらしい。 審問かいでストレイチーの証人として現れたのは、フィリップ・モレル。
自由党議員フィリップ・モレルと彼の妻オットリーン・モレルは、オックスフォード郊外のガーシントン・マナーに、良心的懲役拒否をする知識人たちに農作業などの職を与えて兵役を免除させ、庇護した。 平和主義者のフィリップは主に自由党員らによって組織された「民主的支配同盟 (UDC:Union of Democratic Control)」のメンバーだった。
キャリントンとストレイチーがモレル夫妻に招かれてガーシントン・マナーを訪れる場面があるが、この映画の撮影も実際にガーシントンで行われた。実際にここでブルームズベリーグループの文化人たちを集めてよくパーティーが開かれていた。
この邸宅にはしばしば知識人たちが集まり、夫妻は良心的兵役拒否者たちに農作業などの職を与えて庇護した。 バートランド・ラッセルやヴァージニア・ウルフ夫妻を始めとするブルームズベリーグループの人々や、D.H.ロレンスやオルダス・ハクスリー、キャサリン・マンスフィールド、イエイツらの作家を中心とした親しい友人たちを招いてしばしば集まりを催す。
マークを拒み続けるキャリントンを評してオットリーンが言った台詞。 昔のイギリスではきゅうりは温室で大切に育てられる高級野菜で、それゆえにアフタヌーンティーのサンドウィッチに挟まれるきゅうりは生活の余裕の証でもあった。 この台詞はそんな時代を感じさせる。
・・・リットンがヴァネッサを訪ねたAsham Houseとして
・・・キャリントンとリットンの家Tidmarsh Mill Houseとして
・・・キャリントンとリットンの家Ham Spray Houseとして
ナショナルトラスト管理施設
・・・レディー・オットリーンの邸宅。
・・・ウェールズ旅行の場面
Emma Thompson .... Dora Carrington (画家)
Jonathan Pryce .... Lytton StracheyRufus Sewell .... Mark Gertler (画家・キャリントンの最初の恋人)
Steven Waddington .... Ralph Partridge (元軍人・キャリントンの元夫)
Samuel West .... Gerald Brenan (Partridge の軍隊時代の友・キャリントンの愛人になる)
Jeremy Northam .... Beacus Penrose(船員・キャリントンの愛人)Janet McTeer .... Vanessa Bell (画家)
Richard Clifford .... Clive Bell(Vanessa の夫・美術評論家)
Gary Turner .... Duncan Grant (画家・Vanessa の愛人)
Annabel Mullion .... Mary Hutchinson(Clive Bellの愛人)Penelope Wilton .... Lady Ottoline Morrell (ブルームズベリーグループの擁護者)
Peter Blythe .... Phillip Morrell (政治家)Alex Kingston .... Frances Partridge (Ralph Partridgeの愛人、のち妻に)
Sebastian Harcombe .... Roger Senhouse(Lytton Stracheyの愛人)
Mark Gertler(1891-1939)
http://www.spartacus.schoolnet.co.uk/ARTgertler.htmSoundtrack(マイケル・ナイマン)
その他関連書籍
Carrington
by Christopher Hampton
The Art of Dora Carrington
by Jane Hill, Michael Holroyd
Carrington : A Life
by Gretchell Gerzina, Gretchen Holbrook Gerzina
Lytton Strachey : The New Biography
by Michael Holroyd
(1995年 英=仏 122分)
監督:Geoffrey Sax
原作・脚本:Lynda La Plante
イングランド南東部の海辺の町ブライトン。大学で心理学を学んでいるスコットは、フラットメイトのジョー、スージーとともに共同生活を送っていた。
そんなスコットが最近はまっているのがインターネット。チャットで知り合った謎の美女チャーリーとブライトン名所のパレス・ピアで待ち合わせ、一夜を共にする。日ごとチャーリーへの思いを募らせるスコットだが、彼女にはすでに彼氏がいて、あろうことかスコットのことを笑いものにした記事をニュースグループに流していた。
傷心のスコットは、アダルト・チャットの相手"セクシー・セイディ"から、ゾクゾクするようなコンピューターゲーム"キラー・ネットUK"のCD-ROMを送ってもらう。それはブライトンの町を舞台にしたリアルな殺人ゲームで、スコットはチャーリーをターゲットにジョーやスージーに協力してもらいつつゲームを進めるが・・・?
『第一容疑者(Prime Suspect)』シリーズの、リンダ・ラ・プラント原作のサスペンス。あっと驚くどんでん返しが?! BGMに使用されているブリット・ポップの数々もGood。
3人は一週間交代で家事を担当。当番を忘れていたスコットは、ジョーに「コーヒー、パン、マーマイト、卵・・・何にもないじゃないか!」と罵られる。
スコットは映画好きらしく、自室の壁にはさまざまなポスターが。その中でも一番目立つ位置に貼られているのが映画『シャロウ・グレイヴ』のポスター。3人のフラットメイト(男ふたり、女ひとり)が死体を隠匿し・・・という内容の作品で、のちにスコット、ジョー、スージーの3人が"キラーネット"で死体を隠すゲームに興じることを暗示しているのか。
他に貼られているポスターは、『ファーゴ』(ドアの外側)、『007/ドクター・ノオ』など。
Old Pier(ゲームセンターやアトラクション)
Palace Pier(旧桟橋)
Punt Street
am Williams .... Scott Miller (Sassex大学心理学部の学生)
Paul Bettany .... Joe Hunter (Sassex大学法学部の学生)
Emily Woof .... Susie(看護学生・Joeの恋人)
Cathy Brolly .... 'Charlie'ことCharlotte Thorpe/本名Heather Ringwall
Jason Orange .... Brent Moyer (Charlieの彼氏・DJ)
Simon Meacock .... Tony 'Scruffy' O'Reilly (Sassex大学の学生・Scottの悪友)
Gareth Marks .... John Dome ("キラーネット"の作者)
Christopher Neame .... Det. Supt. Collingwood
Richard McCabe .... George Colby警部補
(1998年 イギリス Channel4-TV作品 120分)
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